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Critique Back Number 77


高沢公信"Critique"/2011.9.20

 

上司を動かすチームリーダーのリーダーシップ【2】

チームリーダーの役割とは
チーム目標の意味
組織全体の中でのチームの位置づけを再確認する

チーム目標も組織全体の動きと連動している
チーム内での方針を固める
上司と合意点を見つけるための5つのポイント


チームリーダーが,上司の方針や考えを意識していないということは,会社全体がどういう方向に向かっているのかが,ほとんど意識されていないことを意味する。それは,チームの目標は見えているが,その意味が見えていないことを意味する。意味が見えていないことは,それを達成することの意味が共有化されていないことであり,目標達成そのものが目的化されている恐れがある。役割意識なきところに問題意識(何とかならないか)はないが,役割意識は,何のためにそこにいるかという目的意識なしにはありえない。目的意識あってこそ,その役割として実現しようとする自分の目標の意味が見える。目的達成のために自分にどういう役割があり,それにふさわしくどんな目標を立て,それをどうやって達成していくかが自己点検できるためには,自分のポジションは「何をするためにあるのか」という目的の明確化こそが大前提となる。

この問題で,仮に上司である課長を巻き込んで自チームをサポートしてもらうには,それが,上司にとって動ける意味のあるものになっていなくてはならない。それは,組織全体の方向性とリンクしていることだ。自分(あるいは自分のチーム)は,組織全体の中で,何をすることを求められているのか,自分(自分の預かるチーム)の存在意味(チームの目的)を,明確にしなくてはならない。自分(自分のチーム)の使命と自分自身の意思を織り込んで,自分(あるいはそのチームのチーム)として何をするのかを明確にしてはじめて,チームリーダーのリーダーシップは機能する。

 

その意味で,これだけパフォーマンスをあげているのだから,残業規制とはけしからんというのは,チーム内に自己完結したものの見方にすぎない。組織全体の方向性にかなうように,どうチームを運営していくかを考えなければ,リーダーシップを発揮しているとは言えないのである。

 まずは,全体の方向性を見定めなくてはならない。たとえば,大きな経営の方針のもとに,たとえば,業務の効率化という方針のもとに,残業削減が位置づけられているのか,あるいはコスト削減の一環として,シーリングが定められているのか,それによって,取り組み方が変わってくる。つまり,組織全体の方向性にどう関わるかということは,何のために残業削減するかの位置づけが変わるのである。たとえば,いきなり総枠規制をかけるのか,業務や仕事の効率化の積み上げとして削減をはかっていくのか,によって枠組みに添うように,仕事を変えるのか,仕事の変え方に応じて減らしていくのかが変わってくる。一番大きいのは,メンバーのそれへの関わり方である。

いずれにしても,チームにとって,営業成績のクリアしつつ残業を見直すことは,同じ人員で,いかに少ないインプットで効率的なアウトプットを引き出すか,ということを共有化することである。組織全体がそのことで目指している方向にリンクさせながら,自分たちの意味づけを共有化していかなくてはならない。自分たちなりにそれをすることの意味を見つけ出さなくては,単なるやらされ感で仕事をしているのと同じである。それをしないためには,本格的に全員の役割分担,仕事の仕方を,あわせてい見直さなくては,意味がない。それは,チーフをおいて,口火をきることはできないはずである。

仮に,総枠規制が全社の方針でも,それをチーム内で徹底するとき,いきなり結論を下すのではなく,その結論を出すプロセスに,メンバーも参画し,その意味を共有化することである。場合によっては,総枠に添うように,仕事を見直すアプローチをとっても構わないのだ。そのとき,

●チーム内で努力できること(チーフのコントロールできること)

●チーム間で調整できること(チーフ間でコントロールできること)

●上司の決裁を要すること(上司の裁可のいること)

にわけて,チーム内で徹底して検討する必要がある。まず,自チームの事情だけでは,上司は動かない。チームでできること,チーム間でできることをしておいた上で,

●上司の部署全体の位置づけ(上位部署との関係)を考え,

●その部署内での自チームの役割,責務を考え,

●それを達成するために,どういうことが必要なのかという提案をする,

という姿勢が必要なのである。それは,その提案こそが,上司の部署のパフォーマンスにとっても不可欠であるということを,きちんと説明できるものでなくてはならない。

いままで,きちんと話す場をつくってとこなかったようだから,まずは,上司との共通の土俵をつくらなくてはならない。そこで必要なのは,相手が何を求めているか,相手は何を大切にしているかをつかむことだ。ポイントは,5つである。

●上司の大切にしていることをつかむ

 上司が何に価値をおいているのか,何を大切だと考えているのかをきちんとつかみ,それをこちらが理解していることを伝えなくてはならない。自分にとって,何が大事かを考えていないと,相手のそれが見えないかもしれないが,たとえば,「自分は,チームにとってこういうことが大事だと考えている」「課長のご方針はここがポイントと理解して,チームではこういう具体的な展開をしている」と伝えることを通して,上司の価値観とすり合わせていく。

●相手とつながりを築く

 課全体としての残業削減の中で,自チームの残業削減の意味と役割を,一緒に話し合う限り,その点では,相手も自分も,この場で何かを決する役割をになっているという立場は同じである。その立場のまま対立するか,逆にその共通の立場であるからこそ,その土俵から見れば,すべては共通の視界になる,ということもできる。そのとき,少なくともお互いに満足感を残しながら,できるだけ時間や資源を無駄にしないで,解決したいという,共通の目的をもっているはずである。そこで必要なのは,ともに会社の目的を実現するという意識である。

●お互いの自律性を尊重する

 要求は相手を拘束する。それは相手にネガティブな感情を引き起こす。提案は,その選択肢が多く,それを決める自律性を相手に与えている限り,相手の自由を縛らないはずであり,決定したという感覚を相手に残せる。相談なら,相手と一緒に考えている状況をつくり出せる。自律性を高めるには,

・まずは,自分にできることを自分で制約していないか。何ができるのか,何をすれば,少なくとも現状を動かせるのか,を考える

・意思決定する前に,意思決定のための案を作ることはできる。それは,自分の視点からだけではない選択肢をたくさん考えることである。

・一緒にブレーンストーミングをしてみる。両者は共通のテーマのもとに,一緒にさまざまな選択肢を検討し,よりよいものにしていく。

●上司の課長としての役割の意味を尊重する

 当然,課全体の方向性にどう関わるかが前提である。ひとは,自分の役割意識を疎かにされると,軽視されたと感じ,感情的に反発する。どうすれば相手を尊重したことになるか,がポイントである。それには,まずは,

・礼儀正しいこと。ぞんざいに扱われて喜ぶ人はいない。

・正直であること。ごまかしや偽りなく,真摯に向き合うこと。

・そのとき,その場にふさわしい対応ができること。

●相手に不本意な役割を強いない

 誰もが自分の望む,満足できる役割を演じたい。交渉の中で,不本意な役割を甘受させられれば,屈辱や怒りを感じさせ,交渉が不首尾に終わることになる。満足できる役割には,重要な意味がある。

・何のためにしているかが自分に意味づけられれば,その役割を演ずることのの筋道ができる。

・お互いに,協力関係の中で,役割を担いあうことで,お互いに満足できる役割を再確認する。(完)

リーダーシップについては,「リーダーシップとは何か」「リーダーシップ論」「リーダーシップに必要な5つのこと【1】【2】」を参照してください。
交渉については,「
交渉・折衝のスキル1」「交渉・折衝のスキル2」を参照ください。


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