●プロジェクトのコンセプトが明確である
・顧客が明確であるか。つまりユーザーは特定されているのか。
・製品・サービスが明確か。つまり何が解決さるのか,あるいは何が実現されるのか。
・差別性が明確か。つまり何が違うのかがはっきりしているのか,他にない何があるのか,等々。
●支援するトップと支援するミドルマネジメントが不可欠である
成功した開発プロジェクトの第一要因は,「トップの理解と励まし」である。このトップが,社長であることもあるし,研究開発部門のトップの場合もある。最初は少数のトップの支援でも,その人の影響力で多数のトップのコンセンサスをとりえるからなのである。幸運にも,社長がそのテーマに強い関心をもっている場合もあるかもしれないが,トップの関心をひきつける努力はプロジェクトチーム,特にリーダーのトップへの関わり方にある。仮に名目上であれ,実質的であれ,最終意思決定権者が,ほっておいてもプロジェクトに関心をもち,強くバックアップしてくれるというのは他人任せにすぎる。みずから,どうすれば,強い関心と支援をもらえるか,チームメンバーとともにアイデアをしぼらなければならない。
そのとき忘れてならないのは,プロジェクトに関心をもってくれる,ミドルをみつけることである。それでなくても,新規のプロジェクトは既存の事業にとって強力なライバルになりうるし,また自部署から有力な人材を割かれていたりもするので,利害に反することが多く,ともすれば足を引っ張られる。そんなとき,ミドルクラスに,理解者と支援者を見つけることは,実質的なプロジェクト運営にとって,協力な援護射撃になる。
●目標が明確であり,責任がはっきりしている
プロジェクト成功要因で多いのは,「目標が明確,テーマが明確」「責任が明確」である。テーマが明瞭で,限定されており,期限が明確で,予算の裏づけがあることで,チームにやる気を起こさせる。それが自社にとって重要な課題であるほど,トップの関心も高く,達成にやりがいが高くなる。
●リーダーが優れ,メンバーが優れた異種混合チームであること
成功要因に多いのは,「チームリーダーが優秀」「メンバーの質と量」「チームワークがいい」である。リーダーにとって,メンバーは所与だが,与えられたリソースをどう有効に機能させて,ひとりひとりの力を引き出し,チームワークを高めていくかは,リーダーのリーダーシップそのものである。
●情報収集力がある
・外部情報,特に基盤技術の情報,特許情報,その他消費動向,市場情報など,ニーズに適応する情報,他社情報
・内部情報,異種の知識や情報の交換
・その他非公式の情報源,人的情報源のネットワーク
意外に,情報の多くは,社内やチーム内にあることがある。それが特定の誰かに秘匿されていることがある。それは待っていても見つからない。チーム側から働きかけていく。人を介して探していくことになる。その協力関係づくりも,バックアップを得るための手段になるはずである。
●関係部門との協力関係をつくっている
結局社内のコンセンサスをどうとるかが,プロジェクトの成果を実践していくときに問われる。しかしそれはプロジェクト推進中から関係部門との調整,協力関係をどうとってきたかにかかっている。
トップの関心や関係部署のバックアップは,実は,チームメンバーのやる気や元気につながるのである。関係部門から,どんな意見であれ,コンタクトがあったということは,そことまだ協力関係ができていないということである。そこでどうきちんと考え方を示し,バックアップしてもらう関係にするかが重要である。重点関係部門をピックアップして,そのことを,チームメンバーときちんと協議し,それぞれの役割を分担しながら,対応策をとっておく必要がある。
●チームメンバーにとっての動機づけと達成感がある
個々のメンバーにとって,このプロジェクトに参加することが社内的にどうとらえられているかということと関係があるが,誇りであったり,それ自体に名誉であったりという動機づけと,これに参加していくこと自体が,自分のキャリアにとって意味があると感じられることである。それは与えられるものではない。周囲に認知されることを通してえられるはずである。チーム内に自己完結させず,周囲への働きかけることを通して承認と認知が得られていくはずである。
●チーム内の円滑なコミュニケーションがとれている
情報の共有化,問題意識のすりあわせ,ざっくばらんな会話が保証されている。チームワークのよさと関連するが,ミーティングのような制度化されたコミュニケーションだけでなく,日常のさりげない会話やすりあわせがふんだんに行われていることが必要である。それはリーダーから働きかけていける。「なにかあった」「僕のサポートできることはない」「何かあったら聞かせてね」等々。
●スケジュール管理が十分行われていること
スケジュールの計画と進捗管理がきちんとできていること。これは,コミュニケーションの機会や場があることと関連があるが,マイルストーンごとの中間報告やチェックが厳密に行われていることで,やりなおしや後戻り,停滞を最小化する。中間報告は,当然関係部署との関係強化にも機能するはずである。