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リーダーシップに必要な5つのこと【2】


自分の仕事に旗を掲げる〜自分の仕事のポジションと役割が明確にできているか
組織全体とリンケージできる〜自分の旗を意味づけられる
コミュニケーション・チャンネルを確立できる〜常にパブリックをつくる
もっていき方を構想できる
必ずやり遂げる仕組みをつくる〜実現可能性を明確にする


◇自分(チームをあずかっていれば,自分たち)は,組織全体の中で,何をすることを求められているのか,自分(自分の預かるチーム)の存在意味(チームの目的)を,明確にしなくてはならない。同時に,何の何某という個人として業務を遂行する以上,自分の意思がなくてはならない。自分(自分のチーム)の使命と自分自身の意思を織り込んで,自分(あるいはそのチームのチーム)として何をするのかの旗を掲げてはじめて,リーダーシップは機能する。


  • コミュニケーションの土俵をつくる〜ジョハリの窓

    @パブリックな部分(開放した領域) 行動・感情及び動機について,自分がよく知っていて,他人にも知られている部分。ここでは,「自分は……の人間である」と思っているし,他人もそう認めている。自他共に認めている自分の姿がある。ここでは,自分の考えや言動は容易に相手に通ずる。他人とのコミュニケーションもよく通ずる。

    Aブラインドな部分(気づかない部分) 行動・感情及び動機について,他人からは見られ,知られているが,自分自身ではまだ知らない部分。ここでは,自分だけが自分のことを気づいていない。たとえば,周りは皆その欠点を認めているのに,自分だけがその欠点に気づいていない。自分が自分に盲目になっている。

    Bプライベイトな部分(隠した部分)  行動・感情及び動機について,自分自身はよく知っているが,他人には意識的に隠している部分。ここでは,自分だけが胸に秘めていて,他人に知らせていない自分の姿がある。

    C未知の部分(わからない領域)  行動・感情及び動機について,自分も知らないし,他人にも知られていない領域。ここには,自分も他人も気づいていない自分の姿がある。 ABCの世界では,コミュニケーションは通じない。

     

  • 言いたいことを明確に伝える

    ◇言いたいことを表現するための言葉のもつ3つの力。

     ・自分が何を言おうとしているかが明確であること《指示対象・内容の明確さ》(指示内容の明確性)

     ・わたしはそう考える,わたしはそう思う,《自分自身を表現する力》(「私」の発言であることの表現)

     ・相手はどう受け止めているのか,《フィードバック感受力》(相手の「受信状態」へのアンテナ感度)

     チームリーダーが言葉を発するのは,みずからの意思をキチンと伝えるためである。いくら指示が明確でも,意思のない言葉に力はない。意思の力とは,自己確信である。そしてそれが相手にどう伝わっているかを確かめつつ発信することができる必要がある。

    ◇信頼のバックボーンは,言葉である。といって聖人君主である必要はない。怒りも腹立ちもなくすことはできない。それならなまじ「バカヤロー」と言いたい気持ちを隠すよりも,「ぼくは,バカヤローといいたい気分だ」「そう大声で怒鳴られると萎縮してしまいます」と,アサーティブに言葉にすることだ。それが,感情を直接ぶつけるのとは違う,言葉によるやり取りを可能にするはずだ。感情を感情としてではなく,それを言葉として表現しようとしたことで,@自分の感情との間合いが取れる,A相手の感情とも距離を取れる。感情のやり取りを感情のぶつかりあいでなく,感情を言葉にするコミュニケーションの土俵ができる。必要なのは,語っていることへの「私」性を常に保つことだ。「『〜』と言いたい気分です」「『〜』と考えます」と言うように。

    ◇しかし,それだけでは独善かもしれない。大事なのは,内容や「私」性という主観的な言葉発信力が,独りよがりにならず,相手に伝わっているかどうかを確かめる力があってはじめて,その人の言葉に力がある,といえるはずである。つまり,自分のいうことに対して,相手がどんな身振り,手振り,感情,言葉,振る舞い等々から,相手に伝わったかどうかを,相手の無意識のフィードバックからきちんと読み取り,相手の状況に対応しながら,臨機応変に発信するスタイル,様式を考えながら,相手がどう受け止め,どう感じ,どう理解してくれているかを推し量ることが出来ることである。それが真の意味の,自分の言葉の伝達力であり,言葉の力の源である。

     

  • 聴くスキル〜どう間合いを取るか

    ・相手の言っている事柄を受け入れる

     部下(後輩)の言っていることを,その賛否,当否は別にして,「そう言っている」「そういう状況に合った」「そういう理由があった」と,ひとまず受け入れる。

    ・相手を支持すること

     仕事ができるとは,「自分が努力すれば,周囲や自分に好ましい変化を生じさせられるという自信と見通し」をもっていることである。この能力と自信を「有能感」「有効感」という。この“有能感”“有効感”の手ごたえは,そこで自分が仕事をしている意味を周囲に認めてもらえている,自分は必要とされている,役に立っているという“貢献感”“存在感”と表裏一体である。それを,認めること,あるいはきちんと言葉として,「評価している」「よく努力している」「頑張っている」「大変だったな」等々と,表現することが必要である。

    ・自分が受け止めていることを相手に伝える

     聴いているというのは,黙ってうなずいたり,相槌を打ったりすることだけではなく,相手の言っていることを,きちんと受けとめていることを,相手に返すことだ。それは,@きちんと聴いてもらえているということの反映であり,A中身の確認であり,B言いたいこととの齟齬があれば,それが更に相手に話を進めさせる素材となる,効果がある。その反映のさせ方としては,

     ・相手の言っている事実や事柄(5W1H)を返す

     ・意味内容を返す

     ・感情や思いを返す

     の3つがある。

    ・自分の受け止めたことのフィードバック

     そのとき,自分が受け止めたことを,自分の感想や意見として,伝える。「〜というように受けとめたが,どうか」「それはこういう意味と感じるが」等々とフィードバックする。フィードバックには,

     ・相手が自分のことを相手の目を通してみること

     ・相手が自分のことをどう受け止めたかを聞くこと

     の2つの効果がある。それを通して,@言っていることの確認,A曖昧な点の明確化,B両者の受け止めた事実と意味の共有化,C今後の方向性の確認,等々の作業となる。この作業は「訊く」(質問)につながる。

    ・どうしたいのかの確認と次へのステップ

     結局相手はどうしたがっているかを確認する。


  • もっていき方を構想できる
     

    ◇状況の読み

     自分を取り巻く状況はどうか/どういう立場(スタンス)でかかわっていくのか/どういう目的をもっていくのか(どこまでいくのか,だれをどうしたいのか)/最終期限として何時までにするのか,働きかけのタイミングはいつか/どういうスケジュールで進めていくのか,部門間の波及効果をどう読むか/経費の負担は何処がもつのか,どんなもっていき方をするか/最終責任者は誰(何処)か,だれが実力者か

    ◇着手の着眼点

     ・周囲に気づいてもらう(問題の共有化)

     ・メンバーに対するアプローチ

      実施主体となるべき人へのアプローチ/上の承認/根回し=協力者の獲得/問題意識の共有/突破口の発見と経路づくり/メンバー固め

     ・案をどう通すか

      決裁経路の把握/側面援助,からめ手,各個撃破等の方法の把握/妥協案,譲歩案,次善策の用意

     ・案のPR

      どうやれば明確に,鮮明にできるか/どんな方法で,どうやって,誰に,何処で,誰がやるか

      ・動き易い状況づくり

    制約条件の除去/促進条件の強化

     ・行動態勢づくり

        役割の確定/動くメリットの確保/チャンネルづくり


     
  • 必ずやり遂げる仕組みをつくる〜実現可能性を明確にする
  • 解決行動プランは2つ以上考える

    当り前のことながら,目指しているものを実現してこそ解決行動である。解決案には,それがないと目的実現とはいえないもの(絶対に譲れない条件)が実現できているかどうかを評価基準として,それを満たす対策の中から,リソース(ヒト・モノ・カネ・時間・ノウハウ)との兼ね合いで,できれば望ましい条件がどれだけ達成できるかを勘案し,対策案を選択する。選択肢として,2つ以上の案,できうれば3つ考えておくのが常識である。

  • アクションプランを立案する

    ◇プランの意味づけができている

     @解決しようとしていることの全体像は明確か

     Aどこからやるか,そこからスターとさせることの意味と効果ははっきりしているか

     Bそれをやることで,全体の実現や更なる目標達成にどうつながるかが描けているか

     Cそれを確実に遂行する仕組みとチェックの仕掛け

    ◇アクションプランのポイント

     @主体(誰と誰がするのか,どこまで協力してくれるのか)が明確であること

     A解決行動の狙い,意図が明確であること

     Bリソースの見積もりが性格で納得性があること

     C手段はアクションまで詰めてあること

     後使える時間の中での優先度は決まっているか

     E広がりへり目配り

     F想定される障害について対応策が練られていること

     D確実に遂行できる仕組みと進捗度のチェックの仕組みができていること

    E継続へのフォローの仕組みはできていること


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