コミュニケーションタブー十ヵ条 コミュニケーション効果を台なしにするタブーには次の10タイプがある。
1.話し手をしめだす
「あいつの話はおもしろくない」「どうせたいしたことじゃない」「いつもくだらないことしか言わない」「いつも言い訳ばかりだ」という態度をしていないだろうか。そうなるとほとんど聞いていないし,当方が聞いていないことは相手にわかるものだ。
2.早まった結論を出す
「そこまで聞けばわかった」「よっしゃ」「まかせておけ」「みなまで言うな」と勝手に早呑込みしてしまっていないだろうか。相手はもっと別のことをいいたいのかもしれないのに!
3.自分の期待を読み込む
「おれのことは,わかってくれるはず」「あそこまで言ったんだ,やってくれるはず」「あれだけ教えたんだ,できるはず」という,一方的な思い込みはないか。それでは相手のことが見えてはいない。逆に,「そうだろう,よくわかる」「そうだ,それがおれの言いたいことだ」と,自分の期待や願望だけを聞き取ってないか。それでは,相手の本当に聞いて欲しいことは聞こえていない。
4.厭な部分には耳をふさぐ
「そういうことを言いたいんじゃないでしょ」「そんなことは聞いていない」と,途中で遮ってしまっていないか?言いたいことを決めるのは,相手なのに。
5.空想の羽根を広げる
相手の話から勝手に自分のイメージを広げて,相手の言うことを聞いていない。勝手に解釈する。片言聞いただけで,勝手に自分の空想やアイデアを肥大させていく。そこには相手の気持も考えも全く入り込む余地はない。
6.前もって答を予行演習する
相手の話の途中から何を言おうかと一生懸命考えていて,結局聞いていない。大体どう叱るかとかどう言い訳するかとか,自分の都合や事情にこだわっているいるだけ。それならコミュニケーションする必要などなくなってしまう。予想しない結論になるから会話がある。
7.感情的な言葉に反発する
後輩のくせに,新人のくせに,そういう生意気なことを言うのか。相手の言葉尻にこだわっているのは,結局自分の立場やプライドを傷つけない心地よい言葉を重んじているだけ。中身が自分の意向や趣旨に反すれば聞く耳をもたないのだと,相手は受け取るだけだろう。
8.話し方を評価する
そういう言い方はあまりいい表現でない,言い方が間違っている,表現にミスがある,と口の利き方を問題にして,自分の価値観でつい説教を垂れる。たまたま表現スタイルで文句をつけているが,結局形式を理由に中身を聞く耳をもたず,自分の価値観を押し付けているだけ。
9.相手の人格を拒否する
「そういう反抗的な人の言うことは聞きたくない」「文句ばかり言う人への聞く耳はない」という表現を使ったら,二度と会話をする機会を失ったと考えていい。権威や威厳だけで会話する者は本人もそれに弱いということを露呈しているにすぎない。
10.選択して聞く
聞きたいこと,おいしいことだけしか聞かない(人を選ぶ,情報を選ぶ)。おいしいことしか聞かない人には,おいしいことしか 誰も言わないということにほかならない。とても相手の悩みに聞く耳をもてそうもない。
デビッド・アウグスパーカー『聞く』に加筆した
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