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マネジメントに求められる
コミュニケーションスキルA〜聴くスキル

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◇われわれは,起きているときの72.8%はコミュニケーションに使っている。そのうち45%は聞くことに,30%を話すことに使っている(残り15%は読む,10%は書く)。しかも,1分間の話すスピードの5〜10倍を聴き取ることができる,といわれている。
◇聞く力には,

 @相手の話を受け止める力
 A相手のいっていることを,正確につかみとる力

 の二つがある。聞くのは,相手がどういう考え方見方をしているのかその枠組みをどうやって理解するかかのためにこそ「聞く」。それには,相手の,@経験(何が起きたのか),A行動(何をしたのか,しなかったのか),B情緒(どういう思い,感情をいだいたのか)を確かめ,明確にしていくことである。どうしても,つかみとるほうに力点が偏るが,相手の聞いてもらったと思わない限り,聞いていることにはならない。そのために,まず,相手に自分がきちんと聞こうとしていること,聞きとっていることを,相手に伝えることがいる。そのために,

 @聞いていることを態度で示す

 A聞いていることを,言葉で返す

 まずは,きちんと聞いていることを相手に示す。うなづいたり,相槌というのは,単に相手の話を聞いていることを示しているだけでなく,相手がいま話していることを認めている,という姿勢でもある。

 そして,きちんと聞くというということは,ないように反応するということでもある。たとえば,内容に応じて,感嘆した言葉を返したり,承認したり,わからなければ確かめる,ということだ。それが言葉によるフィードバックである。そのとき,相手の話を単なる他人事の情報や伝聞として聞くのではなく,相手が向き合っている状況や世界を,

 ・そのとき相手が見たり,聞いたり,感じたり,味わったりする感情を受けとめ,

 ・そのとき相手がおかれた立場や役割に立って,その状態や心理を理解し,

 ・そうやって自分が相手の世界を理解したことを,言語的にも非言語的にも,相手にきちんと伝えられる

 姿勢が必要となる,それを,共感性と呼ぶのはこうした背景がある。

 B内容を確かめたり,掘り下げたりする質問をする

 聞くには,耳を傾ける「聴く」と質問する「訊く」がある。訊く,つまり質問とは,究極的に相手の話をどれだけ的確に聞きとっていたかの目安となる。質問は,尋問ではない。質問が,相手に聞きとっているからだと信頼を得られるのは,前段の@Aがあってこそ,機能する。

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聴くスキル〜どう間合いを取るか

 @間を取る
 部下と向き合うとしゃべりたくなる。間が持てないこともあって,何かを要求したり,問い質したり,自分の考えを述べたてたりしたくなる。それを押さえて,
 ・少ししゃべらないで黙る
 ・黙って相手が語るのを待つ
 ・じっと相手を見守る
 ということも必要だ。それによって,少なくとも,相手との間が取れる。間が取れるということは,
 ・自分の気持ちや感情との距離が持てる
 ・相手との距離がもてる
 ・その場や状態を眺められる
 つまり,その場,相手,自分自身を,客観的に眺められるということだ。黙っていることで,どちらが困るかは,お互い様なのだ。そこで,相手を見守りながら,
 ・その場のやり取りの「テーマ」をつけてみる
 ・その場のやり取りの意味を表現してみる
 ・その場のやり取りの結果を予測してみる
 ・その場のやり取りの効果を予測してみる
 と,その場や自分の役割を言葉としてみることで,全体との間合いを取ることができる。スキルとして,このことが一番大事だ。

 Aまずは相手の言っている事柄を受け入れる
 この場合,受け入れるということは,それを認めるということではない。うなずくというのは,相手に賛成したのではなく,「相手の言っていることが届いている」という合図なのだ,というのと同じである。部下の言っていることを,その 賛否,当否は別にして,「そう言っている」「そういう状況に合った」「そういう理由があった」ことを,ひとまず受け入れることだ。
 なぜなら,
 ・批判したり,否定すれば,そこで,後を言うことをためらうだろう。誰だって,自分がかわいい
 ・咎められることを喜ぶ人間はいない。批判されるとわかれば,自己弁護のために,事実を都合よく歪曲するか,そうしないまでも合理化したくなる。事実をそれ以上語るのをやめるかもしれない。
 ・咎めるのは,自分の価値観や意志を押しつける部分がある
 からだ。何のために,コミュニケーションをしているのか,という目的にもよるが,まずは「〜について」話すための会話の土俵をきちんと作る必要がある。

 B相手を支持すること
 仕事ができるとは,「自分が努力すれば,周囲や自分に好ましい変化を生じさせられるという自信と見通し」をもっていることである。この能力と自信を「有能感」「有効感」という。この“有能感”“有効感”の手ごたえは,そこで自分が仕事をしている意味を周囲に認めてもらえている,自分は必要とされている,役に立っているという“貢献感”“存在感”と表裏一体である。それを,認めること,あるいはきちんと言葉として,「よくやっている」「評価している」「努力は認めている」「頑張っている」「大変だったな」等々と,表現することが必要である。それは,部下をメンバーの一員として,きちんと承認していることである。とすれば,頭ごなしの叱責や批判はありえないはずだ。

 C受け止めていることを相手に返す
 聴いているというのは,黙ってうなずいたり,相槌を打ったりすることだけではなく,相手の言っていることを,きちんと受けとめていることを,相手に返すことが必要だ。それは,@きちんと聴いてもらえているということの反映であり,A中身の確認であり,B言いたいこととの齟齬があれば,それが更に相手に話を進めさせる素材となる,効果がある。その反映のさせ方としては,
 ・相手の言っている事実や事柄(5W1H)を返す
 ・意味内容を返す
 ・感情や思いを返す
 の3つがある。返し方には,
 ・要約(中身や経過,論旨をまとめてみる)
 ・キーワード(話の鍵となりそうな言葉や事実を返す)
 ・「それと他に」「その意味は」と追加を促す(それで?そして?と更に促す言葉で返す)
 ・感情や気持ちを表現する(それは悔しいねといった感情をくみとって返す)
 ・焦点をあてる(方向性や根拠,意味か理由か,何か一つのものか,人にか,焦点をあてて返す,)

 D自分の受け止めたことのフィードバック
 そのとき,自分が受け止めたことを,自分の感想や意見として,伝える。「〜というように受けとめたが,どうか」「それはこういう意味と感じるが」等々とフィードバックする。フィードバックには,
 ・相手が自分のことを相手の目を通してみること
 ・相手が自分のことをどう受け止めたかを聞くこと
 の2つの効果がある。それを通して,@言っていることの確認であり,A曖昧な点の明確化の作業であり,B両者の受け止めた事実と意味の共有化の作業であり,C今後の方向性を確認していく作業である。この作業は質問につながる。

 Eどうしたいのかの確認と次へのステップ
 結局相手はどうしたがっているかを確認する。
 ・単に報告しているだけなのか
 ・答えを求めた相談なのか
 ・問題状況の報告と共有化を求めているのか
 ・明確な指示やアドバイスを求めているのか
 ・問題解決のアドバイスとサポートを求めているのか
 ・問題解決の共同当事者になってほしいのか
 ・解決プランを求めているのか
 ・対策の選択を求めているのか

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訊くスキル〜どう事実を共有化するか

 @何のために質問するのか
 一般に,「なぜだ」「なんでそんなことをした」という質問は,マイナスだといわれる。それは,質問は,相手の咎を究明する尋問ではないからだ。「なぜ」という問いを立てるのは,
 《問う側》「おれがこんなに心配しているのに」「おれの責めになるじゃないか」「このままじゃどうにもならない」
 ・正当性はこちらにあるという意識
 ・相手は間違っている,失敗したという前提で,咎めている
 ・事実や行動の評価ではなく,「だからこいつはだめだ」という人物評価が先だつ
 ・期待はずれのがっかりした気持ち,腹立ち,憤りがある
 《問われる側》「どうせ何を言っても聞いてもらえない」「どうせ失敗したんだから」「ただ謝っておけばい」
 ・事実より言い方や口調,態度に反発(自己防衛)
 ・言い訳,合理化(自己弁護)
 ・耳を塞ぐ(逃避)
 ・ふてくされる(抵抗)
 ・落ち込む(自己懲罰)
 ・ひねくれる(コンプレックス)
 と,両者がすれ違うのを助長するだけだ。質問,特に部下とのコミュニケーションで必要なのは,相手をしかるのでも,叱責するのでもいいが,それがメンバーとしての戦力アップや本人の成長につながらなければ意味がない。そのためには,部下本人が,自分の行為や行動,能力レベル,結果を避けたり,逃げたり,合理化したりせずに,向き合わせなくてはならない。それは,
 ・自分自身と
 ・自分自身の行動と
 ・自分の置かれたシチュエーションと
 ・自分の立場と
 ・自分の結果と
 ・自分の感情と
 ・自分の思いと
 ・自分自身の仕事の意味と
 ・自分自身のキャリアと
 等々と向き合い,「どうすればよかったのか」「何がまずかったのか」「どんな選択肢が考えられたのか」「もっと他にどんなことができたか」「何が欠けていたのか」等々と,自分自身と対話させるものでなくてはならない。そうしなくては,自分自身の中から,自分としての動機も意欲も生まれてくることはないからだ。内からの「このままではだめだ」「何とかしなくては」「どうすればいいのか」という自律的な自己決定の意欲を持たせるために,部下とコミュニケーションするのでなくてはならない。それなしに,質問のスキルだけを身につけても意味はない。

 A開かれた質問
 しゃべりたくない相手に,「はい」「いいえ」で答えられる質問をしてはいけない,という言い方をする。その真意は,相手に語らせるためだ。語るということは,間を置くことにつながる。相手に言葉で表現するようにさせることで,相手も自分の状態や感情との間が取れる。言葉で表現 しようとすれば,自分自身の感情や思い,その時の状況も含めて,ある程度客観的に眺めざるをえない。
 《質問例》
 ・どうしたらよかったと思うか
 ・何がその原因だと思うか
 ・他にどんな選択肢があったと思うか
 ・誰だといいと思うか
 ・何か気になることはないか?

 B質問を煮詰める
 ・具体例で質問する 「具体例を挙げてみて」「たとえば,それはどういうこと?」
 ・質問を細かく細分化する 5W1H(誰が,いつ,どこで,何を)で噛み砕く
 ・仮定を立てる 「それがダメだったとしたらどうしたらいいと思う?」「それが達成できたとしたら?」
 ・意見を聞く 「君はどうしたらいいと思う?」「君はどう思う?」
 ・問題を確かめる 「何に気になる?」「何かまずいことは?」「どこに矛盾がある?」「未解決は?」
 ・曖昧さを確かめる 「それはどういうこと?」「もう少しはっきりさせるとすると?」
 ・意味を確かめる 「どんな意味があると思うか?」「どれくらいの重要度だと思う?」「何が大事?」
 ・根拠を確かめる 「どうしてそう思う?」「その根拠は?」
 ・事実を確かめる  いつ,どこで,だれが,何を,どうしたをピンポイント化
 ・思いを確かめる 「どうしたかったのか」「どうなればいいのか」「どんな感じ?」
 ・本音を確かめる 「君の本心を聞かせてくれないか」「どうしたいと思う?」
 ・影響を確かめる 「どうなると思う?」「このままでいくと何が起きると思う?」
 ・ニーズを確かめる 「どうしたい?」「何がしたい?」「どういう状態がいい?」
 ・価値を確かめる  「何に重きをおいているのか?」「何を大切にしているのか?」
 ・課題を確かめる 「どうすべきだと思う」「何をしたらいいと思う?」

参考文献:國分康孝・大友秀人『授業に生かすカウンセリング』(誠信書房)
A.B.アイビイ『マイクロカウンセリング』(川島書店)

コミュニケーションスキルB

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