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TA分析から考える
コミュニケーション力を決めるものU
〜コミュニケーションの3つのパターン〜


  • 自我状態のやりとりからコミュニケーションパターンを探る〜やりとりの3つのタイプ

◇自我状態のPACの区別は誰にでもある。やりとりは,一人の人のPACのどれかと,相手のPACのどれかとの間でなされる。一対の応答(やりとり)に人間関係の単位を見て,そこから,コミュニケーションのパターンをみようとするのが,ここでの狙いである。

  • 相補的(平行型)やりとり〜期待されたやりとり

    相補的(平行型)やりとりとは,やりとりが平行で,2つの自我状態だけが関係しているもの。たとえば,A⇔A,C⇔Cのように,同じ自我同士のやりとり,あるいはP⇔Cのように,やりとりが平行している。相補的(平行型)やりとりのように,方向が平行である限り,コミュニケーションは無限に続く。

    ◎このやりとりは,図にあるように,双方の矢印が,平行になっているときである。このときときは,お互いの関係が“期待された通りの関係”にあるやりとりであるから,コミュニケーションはスムースで,お互いが続けようと思えば,いつまででも続く特徴をもっている。


  • 交差型やりとり〜行き違うやりとり

交差型やりとりは,やりとりの方向が平行ではなく交差している。期待された応えが返ってこない。交流が中断され,気まずい雰囲気や緊張を生ずる。ここでやめたらコミュニケーションは止まる。交差しているコミュニケーションは破綻しやすい。つづけることで,平行型へと戻す必要がある。

「いま何時ですか?」(A→A)→←「自分で調べろよ」(P→C)

「あの件どうなっていますか?」(A→A)→←「いま忙しくてそれどころじゃないよ」(C→P)

「やっとこの予算とりつけてきたんだよ」(P→C)→←「でも隣の課では2ヵ月前にすんでるそうですよ」(A→A)

「大体君が間違っているんだ」(P→C)→←「いけないのは君じゃないか」(P→C)

「困ってるんですよ,助けて下さい」(C→P)→←「こっちこそ猫の手も借りたいよ」(C→P)

「一杯飲みたいね」(C→C)→←「いまそんなことしてる場合じゃないだろ」(P→C)

相手に傾聴するには,Aから聞く姿勢。Pは色眼鏡,Cはいい子になろうとする。Aへもどす工夫がいる。

 @気まずくなってストップする場合

 A行き違になっているやりとり

◎何か気まずいやりとりだったと思うときは,大体,やりとりの矢印は,交差しているはずである。こうしたやりとりになるのは,やりとりを開始する人が期待した反応に反した返事が返ってくるためである。このとき,会話を始めた人には,裏切られた感じがしてしまう。@は,自分が現実的な会話をしているのに,それに対比して,反応が,PないしCからのものになったために,行き違った場合,逆に,Aの場合は,双方ともに別の点からの発言となっていて,その意に反した返事となっている場合である。


  •   裏面型の(隠された)やりとり〜こじれるもとになるやりとり

裏面型の(隠された)やりとりには,「角度のある」やりとりと「二重」のやりとりとがある。コミュニケーションの結果は,心理レベルによって決定されることになる。

 @角度のあるやりとりは,3つの自我状態を含み,発信側の1つの自我状態からのメッセージが,反応する側の2つの自我状態に向けて同時に送られるときに起こる。

 A二重のやりとりは,2人のそれぞれ2つずつ,つまり4つの自我状態を含む。二重のやりとりが行われているときには,一方は社会的レベルで,他方は心理的レベルでの,二重の会話が同時に起こっている。表面のやり取りの下に,隠れたやりとりがある。本音を確認するのは,A→Aで考えることである。

「今日は特売日です」(A→A)《本音「今日買っておかないと損するよ」(A→C)》

「欠点を直したいのです」→(A→A)→←「どういう欠点ですか」(A→A)《本音「どうか助けて下さい」(C→P)》

「ちょっと場所を変えて打ち合わせましょう」(A→A)→←「そうしますか」(A→A)《本音「一杯やりましょう」(C→C)→←「いいですな」(C→C)》

「今度Aさん部長になったそうだよ」→←「そうだってね」(A→←A)《本音 「君はだめだね」(P→C)→←「どうせおれはだめさ」(C→P)》《その本心「君もなんとかしろよ」(C→C)→←「何とかしたいんだがね」(C→C)》

@角度のある隠されたやりとり

A二重の隠されたやりとり

◎このやりとりは,一見平行的な(相補的な)やりとりに見えるが,その言葉の裏では,無言のうちに態度やしぐさ,声の調子等々で,別の意味やメッセージが示されている。

参考文献:S・ウーラムス&M・ブラウン&K・ヒュージィー『TA入門』(深沢美智子・六角浩三他訳 組織行動研究所 1978)エリック・バーン『人生ゲーム入門』(南博訳 河出書房新社 1967)
中村和子・杉田峰康『わかりやすい交流分析』(チーム医療 1984)杉田峰康他『交流分析入門』(チーム医療 1984)新里里春他『交流分析とエゴグラム』(チーム医療 1986)


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