交差型やりとりは,やりとりの方向が平行ではなく交差している。期待された応えが返ってこない。交流が中断され,気まずい雰囲気や緊張を生ずる。ここでやめたらコミュニケーションは止まる。交差しているコミュニケーションは破綻しやすい。つづけることで,平行型へと戻す必要がある。
「いま何時ですか?」(A→A)→←「自分で調べろよ」(P→C)
「あの件どうなっていますか?」(A→A)→←「いま忙しくてそれどころじゃないよ」(C→P)
「やっとこの予算とりつけてきたんだよ」(P→C)→←「でも隣の課では2ヵ月前にすんでるそうですよ」(A→A)
「大体君が間違っているんだ」(P→C)→←「いけないのは君じゃないか」(P→C)
「困ってるんですよ,助けて下さい」(C→P)→←「こっちこそ猫の手も借りたいよ」(C→P)
「一杯飲みたいね」(C→C)→←「いまそんなことしてる場合じゃないだろ」(P→C)
相手に傾聴するには,Aから聞く姿勢。Pは色眼鏡,Cはいい子になろうとする。Aへもどす工夫がいる。
裏面型の(隠された)やりとりには,「角度のある」やりとりと「二重」のやりとりとがある。コミュニケーションの結果は,心理レベルによって決定されることになる。
@角度のあるやりとりは,3つの自我状態を含み,発信側の1つの自我状態からのメッセージが,反応する側の2つの自我状態に向けて同時に送られるときに起こる。
A二重のやりとりは,2人のそれぞれ2つずつ,つまり4つの自我状態を含む。二重のやりとりが行われているときには,一方は社会的レベルで,他方は心理的レベルでの,二重の会話が同時に起こっている。表面のやり取りの下に,隠れたやりとりがある。本音を確認するのは,A→Aで考えることである。
「今日は特売日です」(A→A)《本音「今日買っておかないと損するよ」(A→C)》
「欠点を直したいのです」→(A→A)→←「どういう欠点ですか」(A→A)《本音「どうか助けて下さい」(C→P)》
「ちょっと場所を変えて打ち合わせましょう」(A→A)→←「そうしますか」(A→A)《本音「一杯やりましょう」(C→C)→←「いいですな」(C→C)》
「今度Aさん部長になったそうだよ」→←「そうだってね」(A→←A)《本音 「君はだめだね」(P→C)→←「どうせおれはだめさ」(C→P)》《その本心「君もなんとかしろよ」(C→C)→←「何とかしたいんだがね」(C→C)》
@角度のある隠されたやりとり
A二重の隠されたやりとり
◎このやりとりは,一見平行的な(相補的な)やりとりに見えるが,その言葉の裏では,無言のうちに態度やしぐさ,声の調子等々で,別の意味やメッセージが示されている。