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Critique Back Number 55


高沢公信"Critique"/2008.5.20

 

企画づくりの中心・コンセプトをつくる【1】

コンセプトとは何か
コンセプトをつくる

コンセプトをつくるスキル〜スクランブル法
スクランブル法の進め方
“コンセプト”をつくるコツ
コンセプトのプロファイル化〜コンセプトを膨らませる


  • コンセプトとは何か
    • コンセプトとはこだわりの表現

      “コンセプト”は,別に「テーマ」の概念(意味内容)を表現するものではない。また,テーマの言い換え(別表現)でもない。それなら,サブタイトルにすぎない。正確には,一般的な意味内容をどう企画者の“こだわり”にどう焦点を絞るか,こだわる意味譲れない部分をどう表現するか,に“コンセプト”をつくる意味がある。コンセプトは,テーマの私的な方向づけ私的意味づけ)なのである。テーマに,ウエイトづけし,シフトさせ,ある意味で特定部分にフォーカスすることである。その意味でできることよりほしいことあるといいものに焦点を当てるほうが望ましい。

      そうしてフォーカスしたものが,そのまま受け入れられたのが,固有名詞が一般名詞化したカタチで生き残っていくことになる。もちろん,ネーミングとコンセプトはイコールではないが,「セロテープ」「ウォークマン」「カップヌードル」「ごきぶりホイホイ」「ほか弁(ほっかほっか亭)」「ポストイット」「(スーパー)ガン保険」等々をみると,何にシフトし,どこに焦点を当てたかが鮮明に見える。

     

    • コンセプトの意味

       “コンセプト”は,キャッチフレーズやキャッチコピーとは違う,2つの意味がある。

      「テーマの焦点」(何をしたのか,どこが新しいのか,どこが違うのか,何を訴求したいのか)を明確化する

      「テーマの達成水準」(創ろうとするものの“新しさ”をどこまで実現するのか)を明確化する

      つまり,

       @創ろうとしている企画の「新しさ」の表現(「企画の意味づけ」)

       A創ろうとしている企画の目指しているもの(達成基準)の明確化(「企画の方針」)

      を明確化する意図がある。つまり,自分が変えようとする動かそうとする実現しようとする)何か,の焦点を絞ることである。そうすることで,「どこが新しいか」「どこが違うか」という企画者のこだわり(いままでの常識や前提からの偏り,シフトのさせ方)を鮮明にする。

      そのために,次の2つの意味がある。

      @コンセプトは「創ろうとしている企画」の新しさ(特徴・効用・値打ち)を明確に意味づける

      「コンセプト」の「新しさ」が、何が、どう、どの程度なのかを表現するのは次の4つです。

      企画の新しさの表現

      テーマの方向性の指示 「テーマ」に込めた意図(「何を重視しているか」「何を大切にしているか」),願望(「何がしたかったのか」「何を実現させたいか」)といった「狙い」をはっきりさせる
      テーマの範囲(境界)の確定 「テーマ」を,どこまでやるのか(ほんの手直しか,抜本的な見直しか)という,取り組みの「覚悟」を明らかにする
      テーマの価値(意味)の掲揚 「テーマ」のもつ「新しさ」「強み」「特徴」「コトバ」として明示する
      テーマの感性の表現 「テーマ」のもつ「面白さ」「楽しさ」「熱中」を「イメージ」として表すこと

       こうした「コンセプト」の明確化には,「テーマの確定」作業をきちんとやっていればいるほど,何が新しさで,何をめざしているのか,が鮮明になっており,容易に焦点が絞りやすいはずなのである。改めてつくるのではなく,テーマ絞込みの中で,ある程度明確になっていなくてはならないことでもある。

       当然「テーマ」が同じでもコンセプトは異なる。コンセプトが異なることによって目指すものは変わり,達成水準も違う。達成水準が違えば,実現方法も違うし,当然達成結果も変わることになる。

      Aコンセプトは,企画づくりを通しての“旗印(方針)”となる

      コンセプトの意味づけによって,テーマが目指すこと(達成基準)”(どこまで,どれくらい)を明確化する。それによって「テーマ」の“落としどころ"が明確になり,企画づくり作業を通して,その基準や水準となり,「ずれ」や「逸脱」を正す規範となる。

      基準の明確化によって,「何を重視するか」「何を優先させるか」の判断基準として,何を取り,何を捨てるかのメリハリをつけ,企画の“目玉”(何が他と違うのか)の焦点が絞り込みやすくなる。


  • コンセプトをつくる
    • コンセプトは企画づくりの“へそ”である

       以上からもわるように,コンセプトは,二重の意味で“企画のへそ”です。

       第1は、企画づくりのへそである。企画づくり作業の基準であり、水準であるという意味で、企画をつくっていく上での“コアビジョン”となります。

       第2は、企画そのもののへそである。目指す企画そのもののもつ意味と新しさの中心となる部分、“コアイメージ”です。

      コンセプトの条件と表現の要件

      コンセプトがもつべき条件

      コンセプトに表現すべき要件

      イメージが具体的である(わかりやすい)こと

      ターゲットにマッチしていること

      他(他の競争相手)との違いが明確であること

      組織のイメージに外れていないこと

      新鮮であること

      テーマの価値、新しさと意味を表していること

      テーマの方向、何を目指しているかを示していること

      テーマの射程、どこまでやるつもりなのかを明示してあること

      テーマの感性、ウキウキ、ワクワク、ゾクゾク等々を感じさせること

     

  • コンセプトをつくるスキルスクランブル法

スクランブル法は,使い慣れた言葉の意味・価値,見慣れたモノやコトの意味・機能・役割に,隠れた意味や新しい価値を見つけ出す。このステップを俯瞰すると,3つのステップ(分ける/グルーピング/組み合わせる)を織り込んだ作業となっている。この作業を通して,テーマに新しい意味と価値を発見するコンセプトをどう創り出すか。本技法は,池辺陽氏のデザインスゴロクを簡略なステップ化した岩崎隆治氏のトライアングル法の変形版。

《スクランブル法によるコンセプトづくりの狙い》

 テーマの持つ概念を分解し,グルーピングしなおして再構成する作業を通して,改めて,テーマの中のどこに焦点を当てるかを絞り込み,言語化する作業になる。

【スクランブル法フォーマット】

以下続く

企画づくりの全体像については,『企画の立て方・作り方』をご覧ください。


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