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Critique Back Number 46


高沢公信"Critique"/2006.9.20

 

発想力を高めるためのベースを強化する-5-

発想マインドをチェックしてみます
まず、いくつ思いつくかをためしてみます
発想を妨げるもの
どうしたら発想量が増やせるのか〜具体化の4原則(1)
どうしたら発想量が増やせるのか〜具体化の4原則(2)
発想への伸びしろをチェックする
発想の基本スタンス〜まずここから始める
発想力を高めるバラバラ化の4つのスキル
バラバラ化のツール〜ブレインストーミング
バラバラ化のツール〜チェックリスト


  • 発想力を高めるバラバラ化の4つのスキル

    • 具体化効果のもつ意味

      発想するためのポイントを、

       @具体的に考える

       A強制的に、あるいは見たいように見る

       Bシリーズ化する

       C5W1Hあるいはストーリーを描く

      の4つに整理して、実際にいろいろトライしていただきました。

      なぜ、発想効果につながったのかを、再度確認しておくところからはじめたいと思います。

      「具体的」ということに、「具体的であるとはこれである」といった唯一の解答はありません。具体的とは特定することですから、特定化された数だけ具体化できるということです。「どこまでいったら具体的になったことになるのか」に、際限はないのです。それが、発想です。発想は数であるということです。

      行宗蒼一氏より 

       たとえば、いままで再三使った上図が『円に直径』と見えたとします。それを具体的に言ったらどうなるのか、それを更に具体的に言ったらどうなるのか、更にそれを具体的に言ったらどうなるのか等々を、意識的にすすめていくやり方が、上記の4つでした。こうして具体化していくスキルを、バラバラ化と名づけておきたいと思います。

       その意味を整理しておきたいと思います。

       たとえば、この図を、一種の情報を見た場合、これを見ながら「何に見えるか」を集める場合、発想としてやる場合と、いわゆる情報収集・分析する場合と、どう違うのでしょうか?それとも同じことなのでしょうか?ちょっと考えてみてください。

       基本的には同じだと思います。情報の収集・分析の場合も、円と直径であるところから出発して、その意味するものは何かを考えていきます。その場合も、具体的であり、特定されたほうが、情報としての価値があることは間違いありません。たとえば、どこどこの出入り口を横から見たものといったほうが、開閉する出入口という情報より、価値が高いはずです。

       しかし大きな違いがひとつあります。

       情報の価値は、その目的にかなうかどうかです。情報を収集・分析するのは目的ではなく、それによって何らかの目指していた目的が達成されなければ意味がありません。それは、たとえば暗号の解読であったり、仮説の検証であったり、現実の再現や確認であったり、意味の発見だったりします。ジグソーパズルのピースを集めて、図を完成させるのに似ています。

       たとえばある犯罪が起きて、Aという犯人のアリバイを調べようとするときに、Aという人が同じ時間どうしていたかとかのみが重要です。無関係のBがどこで何をしようと、その現場と同じ環境のところは他にどこかとか、そこでのファッションとか購買傾向とか、そこにいる男女比率とか、平均身長とか、平均収入とかは無意味です。徹底した目的指向の、均質な一定レベルの情報が必要なのです。当然売れる商品づくりのマーケティング分析という目的なら、また別の情報分析が必要になるはずです。

       しかし、発想では、違います。均質な情報では意味がないのです。たとえば、りんごに見える、桃に見える、という情報は均質ではないかという疑問をいだくかもしれません。でも、同じ図が桃に見えるのとりんごに見えるのとは均質ではありません。むしろ桃に見えたり、りんごに見えたりする、図表2−6の異質性が際立ってくるはずです。

       発想で必要なのは、この異質性です。

       今まで見えないような現実の見え方、

       そうとは気づかなかった現実の一面、

       そんなふうにも見えるのかという驚き、

       等々こそが必要なのです。行き詰まっている現状を突破するには、いままでとは異なる異質性こそが必要なのです。そして異質性は、個別化の中にこそあるのです。

       たとえば、犯人の顔写真を、誰かと特定するためには、顔として認識してもらい、その人が犯人かどうかを同定してもらわなければ、情報としての役には立ちません。

       しかし、発想にとっては、それが顔であると同時に、かぼちゃであり、ゴリラであり、マスクであるという多様で、異質な可能性の方が意味があるのです。

       それは、通常の情報収集は、現実から自分たちの正解を確かめたり、発見したりしようとしているのに対して、発想では、それが正しいかどうか、現実的かどうかはさておいて、そこに可能性のあるものすべてを洗い出そうとするからなのです。

       もちろん、最終的には発想も、見つけ出したアイデアを現実の中で実現しなくてはなりません。その場合、それでいいかどうかを確かめる情報収集の作業は必要になりますが、まず必要なのは、現実性や評価や判断ではなく、現実の多様性・異質性を浮かび上がらせることで、今まで見えなかった新しい答えを見つけることなのです。

       

    • バラバラ化の効果を高める

      @もっと具体化する

       いままでいろいろな図形を使って試みた「何に見えるか」の発想作業は、ひとつの情報から、どれだけ多角的な意味や可能性を引き出すか、という試みなのです。だから、これをバラバラ化と呼びます。

       当然対象を、意識のレベルで多角化、多様化するだけではなく、現実にそうしてみることは有効なはずです。たとえば、切り裂く、切り刻む、膨らます、引っ張る、伸ばす、拡大する等々。

       カタチをバラバラにすれば見え方が変わる

       見え方が変われば見方が変わる

       からです。それも発想を促すには悪いことではありませんが、現実的な変化と同じことを、こうしたらどうなるかと、仮定してみるのが、発想の多様性、多角性というものです。

       だから、物理的な細分化、逆転、拡大縮小、膨張収縮等々と同じことを、具体的に想定してみる、たとえば、

       @元の輪郭、形態、文脈、意味、属性がなくなるくらいできるかぎり細分化する

       A誰がいつどうした、何がどうなったと個別化することで、意味をはみ出す

       B一方向だけではなく多方向、多角的な見方をすることで、一定の見え方を崩す

       C拡大縮小、膨張収縮、伸張収縮などの変形によって、固定したカタチをなくす

       Dもとの条件を変えてしまう

       等々を具体的に想定してみることによって、より具体的に発想することができるはずです。だからバラバラ化なのです。

      Aバラバラ化の効果

       大事なことは、このバラバラ化によって知っている意味や輪郭から切り離され、

       ・いつもの見方がしにくくなるだけでなく、

       ・自分の中に隠れていた知覚・イメージ・感覚が触発され、

       ・元の意味や形から切り離され、

       ・バラバラの素材同士に別のつながりがあぶり出されてくる、

       ところなのです。そこに、何かの意味のつながりや、何かの輪郭の断片を見分けることではありません。それ自体独立した素材として、直接に記憶の中のバラバラの知覚、感覚、イメージへの刺激となることなのです。

       バラバラな情報が、文脈や意味のネットワークに収まっていた想い出・記憶の断片に直接刺激し、そこで気泡が浮くように切り離されて浮かび上ってくる効果をねらっているのです。

       たとえば、何気ない友人との会話の言葉から、不意にとうの昔に忘れていた幼い頃の出来事を思い出したりします。プルーストの『失われた時を求めて』では、一口のマドレーヌの味が過去の一切を呼び戻しました。

       ちょうど、脳の一部に電気の刺激を与えられると、きれぎれに記憶のイメージが浮かぶのと同じように、意味のつながり、経験のつながりとは切れた断片が直接引き出されるのです。それが、まったく異質な情報の間の予期せぬつながりを発見させるのです。

       われわれが手に入れられる知識は、自分で気づいているよりもはるかに大きいと言われています。脳は意識している以上のことを知ってます。無意識のネットワークは通常、意識的に明らかにできるよりもはるかに多くのことを知っているのです。記憶の中の、思い出、エピソードに代表される個々人の経験、学んだ知識、身につけたスキルの多くは、意識からは埋もれてしまっています。それが、バラバラの情報からの刺激によって、開かれる、あるいは誘い出されるのです。いわゆるハッと思いつく、ひらめく、というのはこういう状態です。これがバラバラ化効果です。

      しかも、記憶などの内部情報は、口に出す、文字に書く、図に描く、写真にする、表にすることで、われわれにとって異質なものになるのです。頭の中では、話すスピードの何十倍で言葉やイメージがかけまわっていると言われています。それを文字にする、言葉にすることで、考えがまとまることもありますし、言葉にすることで頭の中で感じたり考えていたことと微妙なギャップが生まれることもあります。それが大事なのです。

       

    • バラバラ化のスキル

@4つの具体化との関連

バラバラ化効果をスキル化するヒントは、既に述べたところから明かです。

 物理的な細分化、逆転、拡大縮小、膨張収縮等々と同じことを、具体的に想定してみることで、バラバラ化が促進することを述べました。例として、

 @元の輪郭、形態、文脈、意味、属性がなくなるくらいできるかぎり細分化する

 A誰がいつどうした、何がどうなったと個別化することで、意味をはみ出す

 B一方向だけではなく多方向、多角的な見方をすることで、一定の見え方を崩す

 C拡大縮小、膨張収縮、伸張収縮などの変形によって、固定したカタチをなくす

 Dもとの条件を変えてしまう

 等々を想定するによって、より具体化できると述べました。これがバラバラ化のスキルです。

これを整理したものが、次の4つの切り口です。これが、著者の語れるスキルです。

 @視点の異質化

 上から見たもの、下から見たもの、横から見たもの、前から見たらもの、後ろから見たもの、等々、多様な視点(位置から)のものの見方であること。

 Aカタチの異質化

 大きさのレベル(細分化、巨大化)、表現レベル(具体的、抽象的)、スタイル(図表、数式、写真)等々、モノやコトがさまざまな形態・様式で表現されていること。

 B意味の異質化

 人ごとに勝手意味づけ、主観の交じった感情、文脈や意味を共有化しない、意味・価値のバラバラ化。あるいは連想、類比、具体例の列挙等々で、意味の中心から関連あるものへと広げて、意味をずらしていく。

 C条件の異質化

 過去現在未来、朝昼夜、条件設定がバラバラであること。いつ使うのか、誰が使うのか、どういう場所で使うのか、どんな使い方をするのか等々、条件、状況、つながりを変えてしまう。言い換えると、

 @視点を変える

 Aカタチを変える

 B意味を変える

 C条件を変える

という4つになります。第1章で挙げた、

 @具体的に考える

 A強制的に、あるいは見たいように見る

 Bシリーズ化する

 C5W1Hあるいはストーリーを描く

 の4つのポイントとの関連を、あえて説明しますと、Cがストーリーで、@ABは、具体化する切り口になっていますと同時に、そのままシリーズ化として活用できるはずなのです。

 これにいくつか具体化例を加えて整理し直しますと、下表のようになります。

@視点(立場)を変える いまの位置・立場そのままでなく、相手の立場、他人の視点、子供の視点、外国人の視点、過去からの視点、未来からの視点、上下前後左右、表裏等々

A見かけ(外観)を変える 見えている形・大きさ・構造のままに見ない、大きくしたり小さくしたり、分けたり合わせたり、伸ばしたり縮めたり、早くしたり遅くしたり、前後上下を変えたり等々

B意味(価値)を変える 分かっている常識・知識のままに見ない、別の意味、裏の意味、逆の価値、具体化したり抽象化したり、まとめたりわけたり、喩えたり等々

C条件(状況)を変える 「いま」「ここ」だけでのピンポイントでなく、5年後、10年後、100年後、1000年後あるいは5年前、10年前、100年前、1000年前等々

4つのアプローチを、更にその具体例に細分化して、図解したのが、下図です。

多角的な見方をするための4つの切り口 (バラバラ化)

視点を変える

(1)位置を変える
(2)立場を変える 
(3)方向を変える
(4)価値(気持)を変える
 (5)機能(働き)を変える
 (6) 目のつけ所を変える
(7)データ(情報)を変える

意味を変える

(1)まとめる(一般化する) 
(2)具体例で考える(具体化する)
(3)言い換える
(4)(全体と,他と)対比してみる
(5)区分(区切り)を変える
 (6) 連想する
(7)喩(たと)える

見かけを変える

(1)カタチを変える
(2)大きさを変える
(3)量を変える
(4)性質を変える
(5)状態(あり方)を変える
(6)動きを変える
(7)位置(順序)を変える
(8)構造(仕組み)を変える
(9)関係(つながり)を変える
 (10)似たものに変える
 (11)現れ方(消え方)を変える

条件を変える

(1)理由(目的)を変える
(2)目標(主題)を変える
(3)対象を変える
(4)主体を変える
(5)場所を変える
(6)時を変える
(7)やり方を変える
(8)水準を変える
 (9)前提・制約を変える

 

Aバラバラ化を使いこなす鍵

表でいう、「変える」とは、それを意識するという意味です。

例えば、「視点を変える」の、「視点を意識する」は、「〜と見た」とき、「いま自分は、どういう視点・立場からみたのか」と振り返ってみる、ということです。

そのとき、会社の立場で見たのだとすれば、それ以外の、父親として見たらどうなるか、客の立場で見たらどうなるか、子供の視点で見たらどうなるか、老人の視点で見たらどうなるか、身体の不自由な人の視点で見たらどうなるか、車椅子に乗った状態で見たらどうなるか、外国人の立場で見たらどうなるか、未来の人間から見たらどうなるか等々。

無意識にとっていた視点を、ひとつ意識するだけで、それを起点にして、「では、別の視点ならどうなるか」と、それ以外のさまざまな視点が上がってくるはずです。少なくとも、自分の取った視点を振りかえることで、「そうでない別の視点」を、最低限もうひとつ取ることはできるはずです。

自分の取っている視点を意識することで、それとは異なる視点を、意識して探していくことができる、そのきっかけとして、自分の視点を意識してみることが大事なのです。それは、発想というものが、天性でも、感性でも、思いつきでもなく、意識的する作業であるということを意味しているからなのです。

こうしたひとつの情報を異質化することをバラバラ化と名づけた真の意味は、ここにこそあるのです。発想を促進するのも自分であり、つまずくのも自分です。発想は、自動的な作業ではなく、主体的かつ、意識的な作業であり、ほっておけばそれまでですが、意識的にすれば、自分の中に埋もれていた、あるいは眠っていた回線(脳細胞のネットワーク)を復元し、活性化することができるのです。

Bバラバラ化実験

たとえば、おなじみの図を例に、バラバラ化スキルを使って、数を出してみましょう。みなさんも試みてください。

いかがでしたか?数が出しやすかったですか?

ちょっと考えてみましよう。まず、センターサークルというのが思いついたとします。その「センターサークル」という着想が、「いま自分は、どういう視点・立場からみたのか」と振り返ってみると、仮想的に、サッカーのピッチを上から見ていたことに気づいたとしましょう。とすると、横から見たら、何に見えるか、と考えていきます。たとえば、

弓の的、ホイールキャップ、スクーターのタイヤ、台車の車輪等々。

それだけではすぐ詰まりますから、的シリーズで考えてみると、射的の的、宝くじの当選番号を決めるダーツの的、射撃の的等々

行き詰まったら、では、下から見たら、何に見えるか、と考えていきます。たとえば、

お尻、福岡ドーム球場の天井、天文台天体望遠鏡の天井等々。で、お尻シリーズで続けていくなら、豚のお尻、赤ちゃんのお尻、牛のお尻、イノシシのお尻、桃のお尻等々というように、シリーズ化して展開して行くことになります。

それに、いつ、どこでという視点を加えれば、面展開にしていくことができます。(以下続く)

発想力トレーニング』については,ここを御覧下さい。


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