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Critique Back Number 68


高沢公信"Critique"/2010.7.20

 

問題意識をどう育てるか【2】

問題意識とは
問題とは何か
問題を意識するとはどういうことか
どういう問題を意識するのか
どうすれば問題を意識しやすくなるか
求められている問題意識とは何か
問題意識を高めるチームとしての取り組み
チームとしてのモニタリングのしかけをつくる


 問題意識を高めようとするとき,その要因には,

 @チーム全体が目的意識がクリアでなく,方向性がばらばら,

 A自分のなすべき役割がはっきりせず,自分のなすべきことが見えていない,

 Bどういう状態にすべきかが,目的と対比してもはっきりさせられない,

 C問題は見えていても,どうしたらいいかのアイデアが行き詰まってしまう,

 D日々ついつい問題を意識せず,後から気づくことが多い

 等々,さまざまなレベルがある。それをひとりひとりのスキルアップで対応していくのも一つだが,チームとして,実務の中で,問題意識をもった仕事の仕方そのものを求めていくほうが効果的な気がしている。そういう考え方で,以下,チームとしての問題意識の高め方を展開してみる。

 問題の特性から,次の点が言える。

  第1は,問題が誰かの目を通してのみ問題になるのだすると,共通な問題があるのではなく,ひとりひとりが問題にしている問題を,共通な問題にするプロセスを経る必要がある。

第2は,問題とする“基準”,たとえば達成すべき目標,保持すべき正常状態,守るべき基準等々が共有化されていなくては,何を問題とするかがバラバラになる。基準が共有化されてこそ現状に対して“問題”を共有化できる。

第3は,基準と関わるひとりひとりの意識には,理想との差,目標の未達,不足や不満,価値や意味との距離等々あるから,チームとして目指すもの(目的),期待する成果(目標)をすりあわせる必要がある。

 そこで,「問題を意識する」ことを高めるには,次の4点が重要になってくるはずである。

 @チームの仕事についての知識・経験をもっていること

 A目的が何であるかを知っていること(目的意識)

 Bそのために自分が何をすべきかを考えていること(役割意識)

 Cそれをしなくてはならないのは自分であると感じていること(当事者意識)

 つまり,問題意識があるから問題が見えるのではない。問題が見える立場と意識があるから問題意識が強くなる。そうすると,チームとして,どういう状態だと問題が見えやすい状態にすることができるか,である。それは,チームの目指すものは何かという目的意識があるから,その中で自分は何をすべきかが意識でき,その役割意識があるからこそ,自分にとって何が問題かに気づきやすいのである。これをたえず,チーム内で確認し,すり合せることが必要となる。

問題意識を高めるために,ひとりひとりのレベルアップももちろん必要だ。しかしそれだけではなく,ひとりひとりが問題意識を強くもてるようなチームの仕組みをどうつくるかが,マネジメントの課題なのである。たとえば,報告・連絡・相談がある。これは上位者の管理ツールでも部下のアリバイ証明でもない。それを,共通の目的達成のために不可欠なものにできているかどうかが問われている。ひとりひとりのかかえている問題意識をきちんと共有化し,チームとして取り組もうとする機会にできていれば,それが自分が向き合うべき問題なのか,チームとして向き合うべき問題なのか,組織を挙げて向き合うべき問題なのかをすりあわせられるし,その問題意識を介して,チームの目的を確かめ合い,当人の役割意識のあり方,当事者意識のもち方をただすことができ,自分の抱え込んではいけない問題(たとえば上司のマターやチーム全体のマター)をひとりで抱え込んで,追い詰められる事態を避けることもできる。

 大事なことは,ひとりひとりの問題意識を,一個人のスキルや能力として自己完結させないことだ。ひとりでできることは限度がある。どんなにすぐれた問題意識の持ち主でも,個人の発想の枠から出ることはできない。それよりは,どんな些細な気がかりでも,どんなつまらなそうな違和感でも,チームメンバーの問題意識にさらすことで,「どうです?」「ひょっとしたら」「前にもこんなときが」「それならこうしたら」等々といった,キャッチボールを通して,掘り下げる場があることだ。それは,ミーティングや会議だけではない。何気ない会話,雑談,立ち話,重要なことはそうした場で気づけることも少なくない。それを可能にするチームの雰囲気が,ひとりひとりに自分の問題意識に敏感にさせていくはずである。


 チームとして,個人の問題意識→メンバー相互の問題意識のすりあわせ→チーム全体の問題意識と展開する,そのプロセスそのものが,各自の,相互の,チーム全体のキャッチボールの場になる。ひとりひとりの問題への気づきのレベル差を,マイナスと考えるのではなく,もののとらえ方の異質さと考え,それを生かして,チーム全体としての問題意識を高める場とできればいい。

 ひとりでは気づけないことがある。全員の耳と目で感知したものを,全体の中でチェックすることが,チーム全体の問題意識を高めることにつながるはずである。たとえば,下のようなシートを使って,日々の些細な問題意識をざっくばらんにすりあわせる作業が,チームの目的と目指すレベルの確認となり,メンバーに共有化されていく。そうしたプロセスが,ひとりひとりに自分の問題意識を研ぎ澄ます機会となり,チームとしての問題意識を高め,チームとしての成果に近づく好循環になるはずである。それを支えるために,互いの問題意識をキャッチボールできる機会をつくりつづけることである。

気になるシート

 つまり,こうしたモニタリングの機会そのものが,

・チームの目指すものを確認し,ベクトルを揃えることになり,

・どういうレベルの問題意識が必要なのかの共通認識となり,

・どんなことを見逃さないことが大事なのかを教えあうことになり,

・ひとりひとりの問題意識を切磋琢磨することになり,

・チームとしての問題意識を研ぎ澄ますことになり,

・問題意識をもって仕事をするとはどういうことかを確かめることになり,

・チームとしてのパフォーマンスにつながる

 はずなのである。それをチームでできるのはチームをあずかるもののマネジメントしかないのである。【了】

問題意識については ,問題意識を育てる問題意識と気づきの共有化を参照ください。


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