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Critique Back Number 58


高沢公信"Critique"/2008.11.20

 

企画」づくりの基本スタンス
〜誰のために企画するのか〜

依頼されて企画する場合
自主的に企画していく場合
ゼロから企画を立ち上げるタイプ〜企画を問題からまとめ上げていく
企画テーマを絞り直していくタイプ〜企画にしたいものが漠然としてあるものを純化していく
ぼんやり企画したいことからテーマを絞る〜何を実現したいのかを明確にする


◇企画づくりでは,

 @企画は,立てることが目的ではない

 Aその企画を立てて,何を実現したいのかがはっきりしていなければならない

 Bそれがはっきりしなくてはアイデアは面白さや成功例を拾い集めることになる

 C目的がはっきりしていなくては,その企画が適切だったかどうかの評価ができない

 のである。まず,企画は,「何を実現(達成)するために立てるのか」の確認からはじめなくてはならない。

◇依頼企画も自主企画も,そのアプローチの仕方(迫り方)は違うが,何を解決するために企画を立てるかを明確にするところから出発することに変わりはない。


◇依頼企画の場合,いきなり,その企画のために何をしたら言いかと,企画アイデア(それは企画実現の手段)に走ると,依頼者の要請からずれることがままある。それは,企画者自身も,その意図や意味を十分わかっていないことからきている。その場合,その目的(その企画によって何を解決しようとするのか)を探ることで,その解決には,依頼の考えている「企画」とは別の企画の方がふさわしいことに気づくことがある。その目的→テーマの掘り下げは,自主企画の掘り下げと同じになる。

◇自主企画は,@上司からの指示や顧客からの要請といったカタチで始まる場合と,A自分で,ぼんやり企画したいと思っていることを,企画のテーマとして確定していく場合と,ふたつある。整理すれば,次のように,

@現状で感じた問題そのものの解決をはかるために,何をすればいいのかを詰めて企画へとまとめ上げていく,【ゼロから企画立をち上げるタイプ】

A自分の企画テーマ(企画したいこと)を企画テーマに絞り込んでいくもの【ぼんやりした企画を明確に絞り直していくタイプ】

のふたつのタイプになる。

【問題意識からスタートしてゼロから企画を立ち上げるタイプの場合の構造】

この企画を立てるときは,いつもの手慣れた自分の仕事エリアや専門領域であり,どんなものが企画になるか,どこに企画の種があるか等々,企画づくりに慣れや既視感があり,あらためて目的や背景を考えることがない。しかしどんな企画づくりも,その目的から外れては,企画としての成功はない。これは,改めて,企画づくりの目的や背景を再確認し,いわば初心に立ち返って,企画したいこと→その目的(その企画で何を解決ないし実現したいのか)→その背景となること(時代,ニーズ等々)と,企画の意図を明確にし,その意図実現の方法を新たに検証し直し,企画したいことをピンポイントのテーマに絞り直して明確にしていく。ある意味で,通常当該企画領域の仕事をしている人にとっては,当然これは企画になるという勘が,ベテランであるほど働くはずである。そのとき,あらにためて自分の企画を,いままでの惰性や慣れではなく,改めて自分の問題意識を解決するのに,本当にそれで本当にいいのかを検討し直していく,企画テーマの絞り直し型である。これは依頼企画と明確化していくのと似た作業になる。

【自分がぼんやり「〜について企画」と思ってスタートとしたものが,目的をさかのぼったところ,全く別の企画を必要とした場合の構造

 

【ぼんやり企画したいものからテーマを絞り直す型の自主企画の構造】

◇いずれのアプローチも,自分が何を問題にしているかを人に説明できなくては,その企画は人と一緒には企画づくりができない。それは,自分一人の問題意識から始まったときでも,人の依頼から始まったときでも,協働作業として企画づくりを進めようとすると,その大元の現状の確認から始めて,自分が何を問題としているか,その人は何を問題としているかを一緒になって確認し,その現状を一緒になって向き合うことなしには誰にとっても自分の企画とはならない。自分の企画とならないところで,自分の発想が生まれてくることはない。自分の発想が生まれなくて,自分が乗れる企画にはならない。自分の乗れない企画に,いったい誰が乗ってくれるだろうか。 

◇要は,自分の企画であれ,上司に依頼された企画であれ,顧客やユーザーに依頼された企画であれ,自分が自分の仕事の現状で,自分の問題に向き合わなくては企画にならないように,上司やユーザーの向き合う現状に一緒に向き合い同じ問題を問題にしそれを解決しようとしなければ,企画の目的のない企画であり,そう言うプロセスを経て,自分自身の企画とすることができる。


たとえば,ぼんやり企画したいことがある場合,そのテーマの絞り方には3つのタイプがある。

@企画したいと思ったことがそのままテーマとして確定できる場合

Aテーマの目的を確認することで,テーマが少し変わる場合

B企画テーマが更に絞れる場合

 いずれの場合も,次のをチェックしながら,本当にこの企画で実現したいのは何かを明確にしていく必要がある。

 @企画したいと思ったことによって,何が達成されるのか,何が実現できるのか。場合によってはその目的となる問題の背景までさかのぼることで,現実の何を動かせるかを絞ることで,目的が明確になる。

 Aそれは,企画したいことの真の目的になっているか。違っている場合,問題の背景となっている現状に立ち戻らざるをえない。当然問題が別の場合は,企画そのものが変わってくる可能性がある。

 B目的がそのままでも,企画したいと思ったことが,その解決になっているかどうか。その目的からみて,当初仮に企画したいと思ったことは,書き直したり,別の企画にしなおさなくてもいいか。

 C企画したいと思ったことは,以上の結果から,何をすべきかが明確なものになったかどうか

(了)

企画づくりの全体像については,『企画の立て方・作り方』をご覧ください。


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