企画は,通常自分の「こんなものがあればいい」という関心や「こうしたい」という問題意識だけで立ち上げることは少ないと思います。
たとえば,よくあるのは,
@上司や関係者から「〜について企画してくれないか」といった指示や要請,要望
A関係部署や出先から「〜について企画にならないか」といった依頼や問い合わせ,要望
B部下や後輩から「〜について企画したいのだが……」といった相談や申し入れ,依頼
C客先やユーザー等から「〜について企画はないのか」といった要求や問い合わせ,要請
D顧客からの要望から「〜について企画してみてはどうか」といった問題意識
E自分自身の仕事上で「〜について企画にならないか」といった問題意識や思いつき
上司から,「〜について企画してくれないか」という指示があったとき,「何をすればいいか」を考えるため,通常は「よそはどうしている」と,横並びで同業他社,他省庁,他部署,他業界,他国はどうしていると考えるところから,はじめるのではないでしょうか?
しかし,そういう発想は,本コースでは外して考えようと思います。もちろん,そういう企画づくりが無意味とはいいません。
たとえば,温泉饅頭。どの温泉地にもあるお土産ですが,最初の発案者は,自分の温泉地の何かを解決しようとしてはじめたはずなのです。たとえば,いい土産ものがない,名産がない,客を呼べる名物がない等々。しかし,それを真似た温泉地が,うちもと真似ただけなのだが,結果として,自分たちの名産がないという問題を解決していたとすれば,それでも企画であることには変わりがないからです。
しかし,ここでは,オーソドックスに,独自にいいアイデアを考えていくというプロセスを中心に企画づくりを考えてみたいと思います。
その意味では,企画づくりは,
@企画は,立てることが目的ではないはずである
Aその企画を立てて,何を実現したいのか(目的)がはっきりしていなければならない
Bそれがはっきりしなくてはアイデアは面白さや成功例を拾い集めることになる
C目的がはっきりしていなくては,その企画が適切だったかどうかの評価ができない
ということなのです。まず,企画は,「何を実現(達成)するために立てるのか」(目的),現実をどう動かそうとするのか,の確認からはじめなくてはなりません。
自分の企画でなければ,その依頼主のそれによって実現したいことを確認することが,きかく目的のすりあわせになるはずなのです。
「このままでいいのか」という“現状への問い”(これが問題意識)から企画は始まるのですが,その“問い”は自分自身の問いだけとは限りません。上司,顧客・ユーザー,関係者,部下(後輩)等々の“問い”かもしれません。しかし,それを明確な企画(の達成すべき)目的と定めたときから企画は始まるはずなのです。
では,依頼された場合と自分の問題意識から企画にする場合と,どこがちがうのでしょうか?ちょっと考えてみてください。
依頼された企画も,その趣旨を実現しなくては依頼に答えることになりません。そうすると,その依頼「〜について企画して欲しい」の依頼主旨によって,何を達成したいのかを確認せざるを得ません。それをさかのぼることは,依頼主(個人とは限りませんが)の問題意識を明確にすることになるはずです。
依頼企画も自主企画も,そのアプローチの仕方は違っているようにみえますが,何を解決すべく企画を立てるかを明らかにするために,そもそもの問題意識を明確にするところから出発する必要があるのです。