チェックリストは,ここに既存のチェックリストの大半を紹介していますが,技法は自分の頭の中にはいっているものしか使い物にはなりません。
チェックリストは,自分にスクリーンをかけ,発想を促すことです。そのため,
・発想に必要な視点をあらかじめ設定しておく
・発想の漏れや落ちをなくすことができる
・必要点をある程度カバーすることで,発想を効率化できる
・準備なく発想しようとするときと比べて,発想の手掛かりが与えられる
・チェックすることで,自然に必要な視点や観点の転換をしていける
等々が必要になりますが,既存のものは制作者の必要にあわせて創られていますから,自己流の必要に応じたチェックリストが必要になります。
まず,チェックリストづくりの要件を以下に整理しておきます。
(1)チェックリスト項目の制約
使えるチェックリストは,せいぜい3〜7項目が限界です。最大でも,10項目程度にします。ベストは3〜4項目です。バラバラ化の切り口でも示したように,更にいくつかを細分化することは可能ですが,現実には使いこなせないように思います。
(2)使用目的から重点項目をリストアップする
その目的達成に不可欠と思われる要件を列挙してみることです。その上で,目的達成に重要と思われるものから順序づけていく。それを図解すると,下図になります。
(3)陥穽を防ぐ
自分がいつもつまづくところ,いつも陥る落とし穴やしくじり,あるいは,いつもこだわる固定観念等々を,予め防ぐために,ポイントをチェックリスト化しておきます。たとえば,「お掃除チェックリスト」や「後始末チェックリスト」のように,「相手のことを考えたか」「見逃しはないか」「見落としはないか」「再チェックしたか」等々の項目が必要になりましょう。それは,次のようなフローや切り口を考えることで,見つけやすくなるはずです。
・PDCA(Plan→Do→Check→Action)
・「案を出す」→「評価する」→「選択する」→「実行する」
・インプット→プロセス→アウトプット
で,たとえば,こんな項目。
・異見は出尽くしたか
・何が確かなことで何が曖昧なことか
・相手からの視点で考える
・相手はどう受けとめているかを考える
(4)5W2Hの洗い出し
目的指向の場合も,陥穽防止のリストも,具体的に考える切り口に5W1Hが使えます。「それはどこにあるのか」「それは誰がもっているのか」「誰がやったのか」「誰にメリットがあるのか」「どのように起こったのか」「いつ必要なのか」等々。たとえば,次のようなバリエーションにもできます。
・主体を変えたら(ヒト,立場,担当者,責任者,視点)
・対象を変えたら(モノ,コト,相手)
・時間軸を変えたら(いま,昨日,明日)
・空間軸を変えたら(場所,位置,内と外,表と裏,前後,上下,遠近,方向,間隔)
・理由を変えたら(価値・意味・基準・規範・目的・論理・感覚・感情)
・やり方を変えたら(方法,手段,優先順位,順序)
・水準を変えたら(レベル)
(5)思考プロセスのどこにポイントを置くか
インプット(素材)→アウトプット(最終状態)のプロセスの中で,どこにウエイトをおくのか,です。たとえば,素材の決め方が甘ければ,そこに焦点を当てるし,プロセスの追求が甘ければ,「まだまだないか」「もっともっとないか」「もう少し」といった項目が,また計画段階が甘ければ,「見通しは十分か」「誰と誰がサポートしてくれるのか」「障害の検討は十分か」等々の項目が,チェックリストとして必要になります。
その他,プロセスを考えるには,以下のような流れや視点を考えることも,ポイントが見えてきます。
・PDCA(Plan→Do→Check→Action),PDS(Plan→Do→See)
・「確認する」→「選択する」→「手に入れる」→「チェックする」
・「案を出す」→「評価する」→「選択する」→「実行する」
・「ヒト」「モノ」「カネ」「トキ」「チエ」
・5W2H
で,たとえば,こんな項目。
・その目的は明確か
・誰にどんな必要性があるのか
・誰がやるのか
・やらなかったらどうなるのか
(6)リストアップの仕方
チェック項目をリストアップしていく場合,留意すべき点は,次のようになります。
・箇条書に書き出すこと。できるだけ短く,@A……と挙げていくこと。
・一項目は一つの意味にすること。曖昧だと感じたら,別の言い方をしてみる。そうすると,元のものが二以上の意味をもっていることがある。
・一項目出したら,そのバリエーション,それに関係あるものを一緒に挙げてみること。
・過去にやったことがある場合は,どこが問題だったのかを挙げてみる。それを避けることがリストアップすべき項目となる。
・失敗しやすいこと,よくやる間違いも必ず挙げておく。
・リストは,関係ありそうなもの毎にグループ化しておく。そうすると,そこから関連したことが思い出されてくる。
・グループ化したリストは,ピラミッド型に序列をつけてみる。すると,同列だと思っていたものが,上のレベルだったり,下のレベルだったりする。
・その場面,その動作をイメージしながら,挙げてみる。
・チェック項目は,絶えず見直しつづけなくてはならない。
以上を目安に,自分流の発想チェックリストにしてみてください。
はじめから完成を目指すのではなく,まず暫定リストを作成し,その上で,トライアンドエラーで,実際に何度も試し,しっくりするものに仕上げればいいのです。