「問題意識」の感度を高めるとは,「当たり前」のこととして,「問題にしない」固定観念に流されないようにする,ということだ。そのためには,次の3つの基本スタンスから始めなくてはならない。
@知っていることをアテハメない−「まてよ!」
現状(いまあるもの),前提(いままでの経緯),条件(与えられた制約)を,鵜呑みにし
ない,そのまま当てはめない⇒見えるままに見るな,知っているままに見るな
「知っている」「わかっている」「やったことがある」という思い込みが一番まずい。わか
っている!と思ったら,「本当にそうか?」と振り返らなくてはならない。
A別に答はないかと問い直す−正解はひとつではない
問い方によって見え方が変わってくる−問い方が変われば正解は変わる。問いによっ
て,分からない(知らない)ことが見えてくる,何が知らないことかが見えてくる。「答」が
わかったら終わりではなく,出発点である。別の答を探さなくてはならないのである。人
の見つけた答をなぞって何が面白いか。
Bキャッチボールする−(ヒトに,モノに,コトに)問い掛けてみる
問わなければ,分からないことがある。問いかけて初めて,見えてくることがある。現
場,現物,現実に当たる,誰かに問い掛ける,キャッチボールによって,情報の幅と奥
行が現れる。 3Mのポストイット開発をめぐる逸話で,シルバー氏が,接着剤を開発し
ていて,貼ってもすぐ剥がれてしまうものを創り出した。彼はそれを「失敗」とはみなさ
ず,社内の技術者に,この特性を生かした使い道を考えてくれないかと主張し,それに
応じて,いつも聖歌に挟む付箋に不便を感じていたフライ氏が,その使用方法として,
ポストイットを発想したのである。
ここには,大事なポイントが2つある。第一は,自分から人にアイデア(考え)を問い掛
けるということ。第二は,失敗作という先入観にとらわれず,何とかできないかと受けと
める「聞く耳」をもっている人がいたということ。これが,Bの趣旨である。「ブレインスト
ーミング」はまさにキャッチボールを機能させるためのルール,つまり,異見をいかに活
かしていくかの仕掛けと考えるべきである。とすれば,何も何人かが集まらなくてはでき
ないのではなく,こちらから,「これどう思う?」と問い掛けていく姿勢があれば,電話や
Eメールやインターネットのチャットがそのままブレインストーミングになっていく。