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Critique Back Number 60


高沢公信"Critique"/2009.3.20

 

どう企画アイデアを具体化するか【2】

企画をコンセプトつくる狙い
コンセプトの狙いを具体化する
実現手段に置き換える
実現手段を具体的に煮詰める〜すぐ着手できるところまで絞り込む
手段の洗い出しと落とし込み
手段・仕掛けを特定化 する
具体化した実現手段の最適組合せを見つける
手段選択の原則
アイデアをカタチにするスキル〜アイデアづくりの4原則
コンセプト具体化におけるアイデアスキルの使い方
アイデアチェックシートを活用する


何が企画の中心()かの絞込み(それがないと企画のコンセプトが生きないものは何か)

洗い出した手段のうち,どの手段を取りどの手段を捨てるかでコンセプト並ぶのがおもしろい店をどれだけ実現できるかが変わる。その場合,取捨の基準は,次の2つである。

●“絶対条件”(何がなくてはコンセプトにならないか)

●“希望条件”(コンセプトの価値をつくるのに何がほしいか)

具体的に,落とし込む(ブレークダウン)するにあたっては,コンセプトを対比しながら,次のように進めていく。

@まず,メインになるものは何かを考えてみる。つまり優先順位の高いもの,コアとなるものは何かを考える

A不要ないし,劣位順位にあたると思われるものを,他の条件の手段として残せないかを考える

B他の条件を,自分の手段とすることでイメージがクリアになるものが,中核となるもの候補と考えられる

Cある程度中核となるものを決めたら,それを更に具体的な手段に落としてみる

D手段を具体化しながら,自分たちが,何をしようとしているのかを明確な像に絞り込んでいく

E何をする何をつくる(モノ,システム,サービス,イベント,ソフト,仕組み,場面・場所等々)か“完成像”を具象化していく。プロファイルでの完成像が原型となる。


 機能・手段を,できるだけ具体的な手立てにまで落とす。最終的に,個別の「何を」「どうする」にまで具体化されるほど手段を細分化していく。それは,すぐに「何から着手すればいいか」「何をどうするか」がわかる,具体的な行動レベルを特定することである。この流れは,そのまま必要なものを,何を,どこで,どういう順序で,どのくらいで調達するかの段取りのステップにつながるはずである。たとえば,「醤油味」を具体化して,どういう味にする→「薄口」→「〜メーカーの何々」と特定化していくと,何をどこで調達するかが特定されるということが選定しやすいはずである。

  • 具体化した実現手段の最適組合せを見つける

    ブレイクダウンした手段をすべて使うのではない。そのどれとどれを一体化するか,どれを省くか,どれとどれを組み合わせるか等々,この目安は「コンセプト」である。あくまで,コンセプト実現の手段を洗い出しているのだから,コンセプトのイメージを羅針盤に,どういう組み合わせがコンセプトにふさわしいか,構成要素とその実現手段の最適化を図るため,手段を大胆に取捨選択し,組み合わせる。

     ●「選択」とはウエイトづけること

     ●「最適組み合わせ」とは注力する焦点を絞ること

    でなくてはならない。この場合,次の3つを最終案に絞っていく「原則」としたい。


@総花化するな!目玉を作れ!

多機能化とは,何でもあるが,他に抜きん出たもの(=目玉となるもの)が何もないということにほかならない。何かを選択するとは,何かを捨てることである。たとえば,問題や欠点を解決しようとして陥りやすいのは,「〜がない」から「〜をつける」という発想だ。これは本質的な解決ではない。エレベータの待ち時間を短くするのはハードとしてのエレベータを増設するだけでなく,長く感じさせない工夫もあれば,運行ソフトの工夫もある。それをハードや多機能でカバーしてきたモノづくりの発想転換が必要となる。

Aハコやカタチを作ることにこだわるな!

雑木林をそのままにする,野っ原をそのままにする,森をそのまま残す,古い町並みをそのまま活かす,等々どうすれば「何も作らない」「何も手を加えない」「何もない空間を残す」ことができるか,ということも企画たりうる。ハコづくりやモノづくりだからといって,何かをカタチにすることとは限らない。空間の使い道,空き(何もない)そのものをどう作るかということも含まれる。何も創らないという創造もある。

B企画しようとするな!

いかにも「企画」らしい,もっともらしい「企画」を疑うことだ。既にどこかにあるもの,誰かの成功したものにとらわれてはつまらない。何か「企画」らしいカタチにしないと気がすまないのは既に先入観だ。冒険や挑戦には失敗はある。少なくとも,そこそこ成功するようにまとめようまとめようとするのは,「企画」の目的,何を解決したいと思ったのか,という初心を忘れている。もちろん,だからと言って,ペーパープランでいいということではない。それは別の問題だが,広大な野っ原を残すだけのことだって,それで当初の「問題意識」が解決されるなら,立派な企画となる。

以下続く

企画づくりの全体像については,『企画の立て方・作り方』をご覧ください。


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