情報を編集することの効果3
〜アナロジーをどう見つけるか2〜
情報を編集することの効果1〜アナロジー発見効果
情報を編集することの効果2〜アナロジーをどう見つけるか1
情報を編集することの効果4〜アナロジーをどう見つけるか3
情報を編集することの効果5〜アナロジーをどう使うか
前回触れたように,類似性は,内容の異質なモノやコトの中に形式的な相似(形・性質など),全体的な類似を見つけだすのに対して,関係性は,両者の間の関係(因果・部分全体など)を見つけ出すものであり。その関係性に基づくアナロジー=類推には,,
・構成要素の関係性からの類推
・関係から見えてくる全体構造の類推
の2つのタイプがあり,前者について,前回触れた。引き続き,後者について述べていくこととしたい。
第2は,その要素ではなく,独立しているBとTとの間の関係から,それを図とする地を類推することになる。一つは,両者の位置関係自体から,
両者が,包含関係だったり,全体・部分関係だったり,一部重なっていたり,という全体としての関係づけの発見であり,いまひとつは,
BとT自体が,両者を要素とする別の枠組の内部の組成関係である,という関係づけを見つけ出す場合である。これは,隠されているフレームを,両者間の構造から,類推していくことになる。この場合,BとTの内部の要素間の関係が,第一のような対応関係になっていることがあってもかまわない。こういう両者の関係は,対等とは限らず,例えば,BがTの部分(あるいはその逆)という関係であることも,当然ありうる。
アナロジーは,類似性→関係性へとより文脈化,構造化していく。これは,次のように,
類比 → 類推 → 推論
《類似性》 →《関係性》 →《論理性》
形
因果 法則性
外観 対立 帰納性
色
位置 演繹性
性質
順序 つじつま
構造
補完 原理
仕組み 配置 原則
組成 全体・部分 理論
配置 類・種
数学
と整理できるだろう。アナロジーは橋渡し役となって,推理という論理的な脈絡へとつなげていくことになるといってもいい。たとえば,
破線の部分は,全体としての□という形がわかれば容易になる。既知の□をアナロジーとすることで,破線の部分を補完するのは,ある意味では推理にほかならない。これが,関係性であっても同様だ。始めに類似性があり,続いて関係性のアナロジーが来るという順序は便宜的なものにすぎない。
メロディーを聞いたとき,われわれが,別に関係性(音符の関係)ではなく,ひと連なりのまとまった節として聞き取っているのと同様,いずれが先ということはない。しかし,いまここで問題にしているのは,組み合わせの《文脈》と《構造》をつかむことである。
その意味では,関係からアナロジーに気づくことも,形からアナロジーに気づくこともあるかもしれないが,前者のときには全体の輪郭を対比するためには全体の類似性を,後者のときには,構成,組成を比較するために関係性を,やはり洗い出さなくてはならない。
- アナロジーをモノで表わせばモデル,コトバで表わせば比喩
類似性を手掛かりに,鳥をアナロジーとすることによって,コウモリを理解しようとするとき,われわれがよくするのは,モデルをつくることだ。あるいは写真や図解もその一種だ。そして,それを言葉で表現しようとすると,「夜飛ぶ鳥,こうもり」といった比喩を使うことになる。
いわば,アナロジーによる発想は,われわれが自分たちの思い描いているものを,一種の〜,〜を例に取れば,〜というように,といった具体像で表そうとするときの方法であり,それは2つの方法で具体化することができる。
1つは,言語による表現である“比喩”(アナロジーのコトバ化)
もう1つは,モノ・コトによる表現である“モデル”(アナロジーのモノ・コト化)
である。
ただ,断っておけば,アナロジー→モデル・比喩という順序を固定的に考えているわけではない。アナロジー思考があるから,比喩やモデルが可能なのではない。確かに,関係にアナロジーの認知がなくては,それを喩えたりモデルとしたりすることはできないが,逆にAをBに喩えるから,その間に類似性を認識できることがあるし,モデル化することで,より類推が深化することもある。逆に類比が的確でなければ,比喩やモデルが間の抜けたものになることもある。
むしろ,3者は相互補完的であって,アナロジーの発見がモデル・比喩を研ぎ澄ましたものにするし,モデル・比喩の発見が新しい類比を形成することになる。
では,アナロジーの表現スタイルであるモデル・比喩はどんな関係をもっているのか。アナロジーの基本的な枠組はどうなっているのかを,以下整理しておきたい。
(以下続く)
アナロジーについては,ここを御覧下さい。
アナロジーの見つけ方については,ここをご覧下さい。
アナロジーの見方チェックリスト,アナロジーの見え方チェックリスト参照下さい。
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