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Critique Back Number 21


高沢公信"Critique"/2003.4.20

 

情報を編集することの効果1
〜アナロジーの発見的効果〜

情報を編集することの効果2〜アナロジーをどう見つけるか1
情報を編集することの効果3〜アナロジーをどう見つけるか2
情報を編集することの効果4〜アナロジーをどう見つけるか3
情報を編集することの効果5〜アナロジーをどう使うか

グルーピング直したり,再構成した情報から何かを読み取ろうとする場合,その組み合わせから常識的に,あるいは論理的に推測できる範囲で組み立てたのでは,既知の枠組を再現してしまう可能性が大きい。ちょうどプラモデルの場合のように,わかっている輪郭をなぞってしまうからである。それを避けるには,部分の組み合わせからのアナロジーを通して,別の輪郭,構造へと飛躍させていくことが必要である。そのアナロジーから見立てられたものが,初めの常識や理屈を飛躍できればできるほど,新しい構造と輪郭を発見できるはずである。

  •  編集の青写真にアナロジーを使う

 グルーピングを通して,どういう関係づけが見えたろうか。例えば,グループA,B,C,Dと分けていくことによって,全体の位置関係がわかってくる,AとBとのクラス差(包含関係)が見えてくる,あるいはぼんやりと,全体の輪郭Xらしきものが感じられる,ということがある。いまここで必要なのは,こうしたグループ間の構造,つまり全体としての新しい“つながり"=“新しい関係性の発見”なのである。これが,新しい組み合わせのもたらすパースペクティブにほかならない。その意味で,バラバラ化が“既知のパースペクティブを崩す”ことであり,情報の括り直しが“未知のパースペクティブの発見”であるなら,このプロセスは,“新しいパースペクティブの形成”にほかならない。

 この新しい関係を見つける方法として,まず考えられるのが,《しらみ潰しの発見型》である。別に大袈裟なものではなく,われわれが通常試行錯誤しながらやっているやり方であり,グループ化した情報群同士のありうる組み合わせパターンを,逐次検証しながら,組み合わせ1つずつについて,しらみ潰しに,1つ1つ試しては消去して,新しい組み替えを見つけ出していこうとすることだ。この典型例は,チャールズ・ヤン氏が,形態分析法で示した組み合わせ方法がある(『ビジネス思考学』)。

 そこでは,ある機能区分別に,そのサブグループ群すべての組み合わせの可能性を探るために,各機能毎にサブグループの(標題)カードを並べ,スライド式に順次ずらして,各組み合わせを検討している例を示している(アイデアづくりのスキル「組み合わせ」を参照)。

 当然この組み合わせはその掛け合わせ要因の数が増えれば増えるほど,爆発的になり,場合によっては,とうてい時間的に許容されえない。この爆発的な組み合わせを避けるためには,別の方法が必要となる。それが《アナロジーによる仮説型》なのである。

 これは,グルーピングで得た全体の関係性のイメージから,何かになぞらえられる(見立てられる)アナロジーを発見し,それを仮説として,個々の組み合わせパターンを類推して導き出すのである。

 情報群の組み合わせからのアナロジーを見つけ,それの構造と輪郭から新たな組み合わせの可能性を見つけ,それを仮説として,個々の要素間の関係を検証していくことになる。しかし重要なことは,与えられた情報の組み合わせパターンを探り出すのではなく,創り出すことなのである。似ているからアナロジーを見るのではなく,アナロジーを見るから似ているものが発見されるのでなければならない。そうでなくては,既知の類似性を当てはめているだけだ。異質な両者にアナロジーを創り出すから,両者に新しい関係性が発見される。関係のあるものを見つけることではなく,両者の間に敢えて関係性を創り出すこと,それが,新しい組み合わせ発見の意味でなくてはならない。

 しかし,発見型(ありうる関係のしらみ潰しにする)と仮説型(アナロジーによる新しい関係の発見)は,全く別ものであろうか。例えば,要素間のつながりが見えることで,新しい枠組が見つかることがあると同時に,新しい枠組を創り出すことでも要素間に新しい関係を見つけられる。つまり,両者は別々の作業ではなく,仮説が発見を促進するし(こうだとすれば,こう見えるはずだ),またしらみ潰しの組み合わせが仮説を発見しやすく(こういう組み合わせなら似たものはないか,何か関係したものはないか)もするのである。しらみ潰し式が絶対に非能率とはいえないのである。

 先の図式化した関係を使って,この問題を整理すれば,次のようになるだろう。

  見え方を変える→とらえ方が変わる→仮説が変わる

          ↑                ↓                  ↓

  見え方が変わる←とらえ方を変える←仮説を変える

  つまり,見え方の変化は,とらえ方の変化に,そしてわれわれのとらえ方の枠組=図式を変える,という,「見え方を変える→とらえ方が変わる→仮説が変わる」の流れは,いわばしらみ潰しに,新しい組み合わせを試みるという見え方の側からとらえ方を変えるという発見型である。逆に,「仮説を変える(見つける)→とらえ方を変える→見え方が変わる」が,仮説型に当たる。ただ,しらみ潰しの作業を通して,仮説の発見ができれば(丁度天才がそうであるように,図式がひらめけば),新しいパースペクティブを手に入れやすいかもしれない。

  • アナロジーを通せば新しい関係が見える

 ここで言うグループ間の関係づけという意味には,

 第1に,因果関係,対立関係,順序関係,補完関係,位置関係,配置関係,組み合わせ,組成,時間的連鎖,といった《文脈》あるいは《脈絡》といった平面的関係,

 第2には,全体・部分関係,包含関係,密度,優劣,優先順位,内外,骨組,階層,システムといった《構造》といった階層的関係,

 の2つがある。つまり,われわれは,グループ化によって部分集合に括ることを通して,ただ平面的な分類をしていくのが目的ではないのである。われわれが見つけたい関係は,

 《文脈》 水平的な関係

 《構造》 垂直的な関係

 の2つなのである。建物で喩えるなら,柱,床,壁,窓,屋根,といった部分の相互関係だけではなく,何階建てなのか,位置の上下は,奥行は,前後は,といった,部分間のクラス,役割・機能関係をもつかまなくてはならない。その意味では,むしろ“新しい関係性の発見”というよりは,新しく構成し直すこと,つまり,“新しい構成の発見”というべきものなのである。

 この“新しい構成の発見”は,グループ化していく過程で浮かび上がってきた関係の,新しい“文脈"と“構造"をはっきりさせるために,それから見ればより新しい構造が見えてくるような,新しい仮説を形成することなのだ。それによって,より“新しい関係”が見え,かつ新しい文脈が整理できるような,仮説である。それが,グループ間に「習慣的に相互に矛盾しあう」「交錯点」を発見し,1つの脈絡にすることにほかならない。

 そうした「特異点」を見つけることが,グループ間に整合性をもたせる“構図の形成”であり,その構図によって,グループ同士をひとつに括れる,あるいはひとつにつなげる枠組を形成することである。これは,“共通性の発見”と変わらない。違いがあるとすれば,共通性の発見では,並べた両者の間に,類似性と関係性を見つければよかったが,ここでは,グループ化のもたらした図式と対比すべきものは隠されている。それと似ている,または関係のある“何か”を見つけ出し,それとの対比によって,図式の構図をよりはっきりさせていこうというところにある。

 当然この“何か”は,グループ化の中で大まかにつかまれた構図との(類似性と関係性によって)アナロジーを見つけ,それを媒介として,グループ間の構図,あるいは全体の構成,枠組をつかもうというのである。その意味で,新しい構成(隠された枠組)を発見するとは,“アナロジーの発見”なのである。

つまり,共通性発見作業の中でつかんだ関係を,何かのアナロジーとして見ることができれば,そこから関係の中に新しく(例えば,見つかっていない関係とか全体の輪郭とか)見えてくるもの(仮説)があるはずである。これを仮説として検証することで,関係を新しく構成し直すことができるのである。

(以下続く)

アナロジーについては,ここを御覧下さい。
アナロジーの見つけ方については,ここをご覧下さい。
アナロジーの見方チェックリストアナロジーの見え方チェックリスト参照下さい。


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