◇リーダーシップにある3つの常識, @リーダーシップはトップのものである, Aリーダーシップはパーソナリティである, Bリーダーシップは対人影響力である, を点検してみる必要がある。リーダーシップとは,トップに限らず組織成員すべてが,いま自分が何かをしなければならないと思ったとき,みずからの旗を掲げ,周囲に働きかけていく。その旗が上位者を含めた組織成員に共有化され,組織全体を動かしたとき,その旗は組織の旗になる。リーダーシップにふさわしいパーソナリティがあるわけではない。何とかしなくてはならないという思いがひとり自分だけのものではないと確信し,それが組織成員のものとなりさえすれば,リーダーシップなのである。 そこに必要なのは,自分自身への確信である。それは自分を動かすものだ。それが人を動かす。リーダーシップは他人への影響力である前に,自分への影響力である。「お前がやらなくて誰がやるのか」「自分がやるしかない」と,みずからを当事者として動かせるものが,自分の中になければ,人は動かない。それが旗の意味であり,旗の実現効果であり,そこに共に夢を見られることだ。だから,リーダーシップには,新たな常識が必要となる。@周囲を巻き込める夢の旗を掲げられること,A夢の実現プランニングを設計できること,B現実と夢とを秤にかけるクリティカルさがあること,である。「こうすべきだ」だけでは人は乗らない。それが単なる夢物語でも人は乗らない。夢と現実味をかね合わせて,絶えず点検していける精神こそが,求められるリーダーシップである。それは,パーソナリティでも地位でもパワーでもなく,スキルであることを意味している。 ◇だから,リーダーとリーダーシップは区別したい。リーダーは,役割行動であり,リーダーシップはポジションに関係なく,その問題やタスクを解決するために必要と考えたら,自らが買って出る,あるいは誰かの委託を受けて,その解決に必要な周囲の人々を巻き込み,引っ張っていくことである。つまり,トップにはトップの,平には平のリーダーシップが求められる。リーダーシップはその人の役割遂行に応じて,必要な手段なのである。職位が上のほうに行けばいくほど,リーダーシップがないことが目立ち,下へ行くほど,リーダーシップがあることが目立つ。上に行けばいくほど,リーダーシップを発揮しやすい条件と裁量を与えられているから,あるのが当たり前だから,ないことが目立つのである。 その意味で,リーダーシップに必要なのは,周囲を引っ張り,周囲を巻き込んでいくに足る力,である。そのとき 不可欠なのは, ・「どこへ」「何のために」「何を目指して」という旗を明確にできること, ・必要な人々にその意味をきちんと伝えていく力があること, である。では,その旗を立てるためには,どうしたらいいのか。 何よりも,自分が何をするために,そこにいるのか,を明確にすることである。それは, ・管理職なら,何をするために,そのチームを預かっているのか(何をすれば管理職たりうるのか), ・チームメンバーなら,何をすめるために,そのチームの一員としての役割を担っているのか(何をすれば,チームメンバーたりうるのか), を明確にすることである。リーダーシップとは,そのおのれの仕事を完成させようとするとき,それをじぶんひとりではできないとき,それを完成するに必要な人々に働きかけ,その完成を成し遂げることなのだとすれば,まずは,おのれの仕事の旗を明確にしなければならない。そのためにこそ,人に働きかける根拠だからである。
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