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OJTの位置づけ


  • 何のためにOJTをするのか〜それは誰が,何のためにするのか


  • 一つの指示のもつOJT効果〜すべてはOJTとリンクする


  • OJTは目的ではない

 管理者にとって,部下育成,部下指導は,明日の組織づくりそのものである。それを怠ることは,その日暮らしのマネジメントとなる。

 それは,今日より明日へ戦力を増強すること

 それは,明日の人材をつくっていくこと

 それは,一歩先を見た仕事をしていること

 それは,組織の仕事の仕方,何に価値を置くかをすりこむこと

 それは,仕事の問題意識を伝えていくこと等々

 組織の力は,メンバーひとりひとりの力の総和以上にならなくてはならない。それを束ね,ひとつの方向に力を結集させていくマネジメントのバックボーンになるのが,それまでの部下育成の成果である。

 部下を育てられないものに,組織を明日へ向けて束ねるマネジメント力はない。

 管理者は,自分の預かるチームや部署の目標を達成するために,ヒト・モノ・カネ・情報・ノウハウ・時間といった資源をいかに有効に配分していくかが重要な仕事なのである。OJTや部下指導とは,昨日より今日,今日より明日へと,ヒト資源のレベルアップをはかることに他ならない。与えられた資源の中で最も重要な,資源であるヒトをどうレベルアップするかが,忙しくてできない,そんな暇はない等々といっていられるレベルの仕事ではなく,明日実のある成果を上げられるかどうか,あるいは組織全体の力そのものの行方を左右する中心的業務そのものであるという再認識が必要である。


  • OJTはスキルや知識の伝授だけではない

OJTでは,単に,仕事のスキルやノウハウを教えることだけではなく,組織で仕事をすることの意味や価値,仕事への取り組み姿勢,どういう仕事の仕方が価値あるのか,その企業の文化や組織マインドを身につけていく機会とすることも含まれている。管理者にとってのOJT遂行ポイントは次の5点となる。

@取り組ませた仕事の経験が人を育てる〜どういう役割を期待するか

 ・OJT遂行のためには担当業務遂行のために必要な能力要件をリストアップしなければならない

 ・部下の現有能力を把握し,必要能力とのギャップをクリアするためにOJTプランを立てる必要がある

 等々と考えるから,多忙で,OJTを遂行するゆとりがない,となる。重要なのは,部下に自分の役割を明確化させることであり,それを通して,その組織の仕事観,価値観,組織観等々を伝えていくことである。

A管理者のマネジメント行動が人を育てる〜仕事の価値,何が重要かを教える

 管理者は,マネジメントとは,その部署を預かった管理者が,

・部署の目的,何をするためにその部署があるかを明確にし,

・部署の目標,そのために何をどう達成すべきかを明示し,

 ・部署の運営,目標達成のために,預かっているリソース(ヒト・モノ・カネ・・仕組み・ノウハウ等々)を最適,有効に駆使して,部署を取り巻く状況変化を乗りきり,所期の成果を上げていくことだとすれば,そのとき,管理者が,組織で仕事をするには,何が重要で,それを完遂するにはどういうことがなされなければならないかを,マネジメント行動そのもので示していくことになるはずである。

B職場風土やメンバーが人を育てる〜管理者は職場風土そのものである

 ・OJTとは,上位者が,仕事の仕方を,部下を教えることである

 ・OJTとは仕事上で,部下をマンツーマンで,直接指導することである

 部分もあるが,大事なことは,管理者がひとりでOJTをするのではなく組織ぐるみチーム全体で育てることであり,チーム全体として,相互に育成し成長する雰囲気があることがOJTの効果を高める。そのためには,チーム全体が目的・目標を共有化できているか,という管理者のマネジメントが問われることになる。

C日常の業務指示や指導が人を育てる〜あらゆる機会が育成チャンスである

 部下は,日常的な管理者の仕事の仕方や考え方,また業務上の指示や注意の仕方を通して,強く影響を受け,そうした管理者の日常行動そのものがOJTになっているはずである。

D管理者の言動が人を育てる〜管理者自身はモデルである

 管理者が教えなくてはならないことは,仕事への取り組みや基本姿勢,仕事についての考え方,企業文化や価値観であり,それは管理者自身言動に現れるはずであり,管理者自身が自分の成長への努力をする姿勢やキャリアについての真摯な姿勢が不可欠な見本となるはずである。

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