問題とは,期待値(目標あるいは求める水準)のギャップである。問題は,@気になること(問題にする)だけでは,明確にならない,Aそれをどう(解決)したいのか(どう言う状況になったらいいのか,どうしたいのか),という期待値ないし目標が明確になることで,それに対比して,Bいまどういう状況になっているかが,具体化し,
初めて,C問題(期待値と現状との距離)が明確になる。期待値が異なれば,同じ現象でも,問題の仕方は変わる。
つまり,わかりやすくいえば,次のように表現できる。
しかし,始めに,自分が期待値として設定したことが妥当ではないと,たとえば,世の中ではそんなことを問題にしていること自体が問題だとすると,そうなっていなくてはいけない,あるいはそうしたいという期待値自体が,世の中水準に変えざるを得ない。そうすることで,問題自体が変わることになる。
そうすると,問題自体が大きく,解決のハードルは高くなることになる。こうした,最初に感じた問題とは違う問題が明らかになることが,問題を提起し,それをすり合わせ,共有化していく作業の大事なポイントとなる。問題解決ではこうした期待値の点検,検討が重要になるのはこの理由からである。これが,発生している問題に追われてもぐら叩きに陥らないためには,最も重要なことになる。
問題解決は目的ではない。解決してどうしたいかが,明確でなければ,問題解決は迷走する。期待値の明確化とは,どうなったら,その問題が解決したことになるのか,の明確化である。そのために解決行動を起こすのであり,それが明確でなければ目先の問題解決に振り回される。