《第1日》
時間 |
内容 |
進め方 |
9:00
10:30 |
T・いま何をしなくてはならないか
〜自分の置かれている環境と求められる役割
環境の変化の中で,変化に取り残されないために必要なのは,現状への,「このままでいいのか」という問題意識である。それが,
・
いままで通りではない
・
いまのままではない
・
過去の延長線上ではない
やり方への変革の第一歩である。その発想転換がいま求められている |
●「監督者」である事の意味を全員に問い掛ける。監督者であるとは「何のためであるのか」を一緒に考えていくのが研修全体のベースとなる。
《使用するもの》
・ワークシート
自分のコストと価値を考える
自分の役割行動について
・ツール
ブレインストーミング |
【プロセスの狙い】
@まず問題意識が出発点となる。そのためには,「何のために」という問い(それが目的意識であり,それなしには問題意識はない)に鍵があり,それが研修全体を通しての宿題でもあることを,冒頭に指摘する。
A現状の変化に対する各自の幅広い問題意識を,自分たちなりにまとめあげる。成否を問題にするのではなく,時代の変化をどこまで自覚しているかか,そこで分かる。お互いに問題意識を刷り合わせながら,グループとして,現在の環境が,自分たちの組織にもたらしている危機とチャンスを分析し,何をしなければならないかをまとめていく
時間 |
内容 |
進め方 |
10:30
(昼食)
14:00 |
U・自分のポジショニングと役割行動のチェック
〜自分は何を達成するためにそこにいるのか
組織での自分の位置に求められている目的を果たすために何をすべきかというチェックなくしてはありえない。
・組織の目的・ビジョン
↓それを達成するために
・本年度の目標
↓それを達成するために
・自分の役割は何か
・管理職という役割のポジショニングを考える
役割は与えられるものではなく,自らが創り出していくものである。 |
●自身の役割を,全社の中でのポジションの自覚から始める必要がある。各自の結果をめぐり,全体での討議とキャッチボールを通して,自身の現状をチェックする
《使用するもの》
・ワークシート
目標と役割の明確化
自分のポジションと求められる役割行動
・ツール
ブレインストーミング
|
【プロセスの狙い】
役割は,公式に求められるものだけではない。それなら,誰がその任についても同じとなる。自分が,その役割を主体的にどう位置づけ,何をしようとするかを,主体的に考える姿勢こそが必要となる。それが明確化されて初めて,環境分析から得られた課題は,自分の役割から,「何ができるか」「何をしなければならないか」が,主体的な課題として,明確化しえる。
その役割は,上司の方針や目標をただ,受動的に受けとめる,あるいは自己完結的に,孤立して仕事をすることではない。自分がそのポジションにおいて,何をするのか,上位者の目標を受けて,自らが主体的に考えるところで,自分自身の仕事の意味と使命が見える。それを自分の仕事の“旗”と呼ぶ。自分自身の仕事と役割にリーダーシップを発揮できないものに,上位者を動かす力はない,上位者を動かさずして,組織で自分の目的を達することはできない。
時間 |
内容 |
進め方 |
14:00
15:00 |
V・チーム目標と個人目標の接点
〜部署の使命の明確化と個人の役割の確認
上位者の目指す方針・目標をチーム全体のものとするために,チームの方針・目標と一人一人の役割・目標とをつなげていく補佐機能が求められる。
メンバー一人一人が自分の仕事と関わる,上下左右を関連づけ,自分の仕事がどういうポジションと役割をになっているかを位置づけるようにする。その作業を通して,
・自分の仕事と役割の目的を確認し(この仕事をすることは何のためなのか),
・その意味を明確にし(自分の仕事をすることを通して,直接的には何に寄与しているのか),
・それによって,自分の仕事についての確信(自分が仕事をすることの意味とそれへの自信)
を,ひとりひとりが再確認できるはずである。 |
●自分の部署が組織の中でどういう位置をもっているか,そこでどういう使命をもっているのかを確認することは,そこでメンバー一人一人が何をするか,自分の使命・役割と目的を確信することである。それは
監督者の旗,チームの旗を確認し,その実現を補佐するために,自分も含めたメンバー一人一人がどんな旗を掲げるのかの確認である。
《使用するもの》
・ブレインストーミング |
【プロセスの狙い】
自分のポジショニングを明確化することは,自分はどういう使命を果すために,何をしなければにならないのかを明確化することである。それは,自分の仕事を達成することで,何をするのか(自分の仕事の目的=上位の目標)の確認でもある。
部署は,組織の目的達成の一翼を担い,自分は,部署の目的達成の一翼を担うことで,組織の目的達成に寄与している。こうした目標が連鎖し,統合されていることで,組織としてのベクトルが合い,組織としての力を発揮することができる。自分の目標達成が,上位の目標達成とどうつながっているかが,どれだけ自覚できているか。それは自分の仕事の意味がどれだけわかっているかの反証でもある。
部門目標とは,自部門をどうしたいかという意思(期待水準の表明)である。それを絞ることで,全社目標,ブレイクダウンされた上位目標との接点を主体的,自分たちの「したいこと」を投影したカタチに詰めていくことができるはずである。そのためには,目標明確化に,メンバーの参加(あるいは管理者によるメンバーの意思の汲み取り)は不可欠である。それが,メンバーの,目的達成への参画意識と当事者意識を高める。
組織目標・方針
1.
2.
|
全社目標達成するために〜部は何をすべきか
○○部目標・方針
1.
2. |
|
○○部目標・方針
1.
2. |
〜部の目標を達成するために〜チームは何をすべきか
〜チーム目標・方針
1.
2. |
|
〜グループ目標・方針
1.
2. |
〜チームの目標を達成するためにメンバーAは何をすべきか
〜チームの目標を達成するためにメンバーBは何をすべきか
もちろん,組織目標=個人目標はありえない。組織としての目標達成を目指すこと(役割意識)が,同時に個人としての(こうしたいという)成長目標になるようにするのは,上位者の育成責任であると同時に,本人のどうなりたいか,どうしたいかという自己成長の意思が不可欠である。自分にその視点がなければ,部下に「しなくてはならない」ことだけを要求することになる。その接点を見つける努力が,求められる。
【組織目標(しなくてはならないこと)と個人目標(したいこと)の接点】
時間 |
内容 |
進め方 |
15:00
17:00 |
W・個人目標の設定と目標達成のプランニング
〜達成できるプラン作りのサポート
プランの鍵は,それを達成するために何をするかを,どれだけ具体化できるかにかかっている。それは,現実の問題解決でも同じで,それが単なる掛け声で終わってしまうのは,誰が,いつから,何から,どう着手するかまでが,詰めきれていないからだ。そこまで詰めなければ,実践のリスク,障害は見えない。つまり,「できるはず」が,「できたつもり」になる。
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●解決プランの鍵は,それを達成するために何をするかを,どれだけ具体化できるかにかかっている。「できるはず」で終わらせないためには,どうしたらいいか,そのサポートのあり方について考えていく。
《使用するもの》
・ワークシート
目標記述書
目標達成計画書
・ツール
ブレインストーミング
|
【プロセスの狙い】
目標設定にあたっては,目標の3条件(何を,いつまでに,どれだけ)を具体化するかがポイントとなる。そのプランニングの鍵は,どこまで,その実現手段を分解し,手順として,時間内に配分するかにある。各手段毎にブレイクダウンし,現状の各自の現実と対比し,何ができていないのかを,できる限り,行動レベルで特定化する。それが「できるつもり」プランでなく「できる」プランの別れ道となる。
《第2日》
時間 |
内容 |
進め方 |
9:00
11:00 |
X・目標達成のPDCAとそのフォロー
〜達成するために何をしなくてはいけないか
@目的を達成するために部門の機能はある。その機能を完遂するのが管理職なら,課長補佐はその完遂を補佐することで,部門の目的達成をサポートしなくてはならない。
A部門全体のPDCAは,メンバー一人一人のPDCAの完遂によってしか達成できない。ひとりひとりが自分の仕事を完結させること,その上で,どうメンバーの完結をサポートしつつ,管理者の業務遂行を補佐するか,課長補佐のPDCAは二重の役割がある。リーダーシップが必要であり,コミュニケーション能力が必要なのは,その機能にとって不可欠だからである。 |
●目的の意味と自部門の役割をチェックした上で,目標達成,PDCA等々の基本を確認し,自身の目標達成力のチェックとPDCAのチェックを通して,補佐としての自らの役割・責務をどう果たしていくかを考える。
《使用するもの》
・ワークシート
プラン実現力チェック
業務棚卸しチェック
計画遂行チェック
・ツール
ブレインストーミング |
【プロセスの狙い】
仕事の進め方の基本をチェックし,相互で刷り合わせる。特に補佐役としての目標達成とリーダーシップについて,何が不可欠かを再確認しておく。目標達成フォローの鍵となる,いわゆるPDCAについて確認し,目標達成の鍵となる,手段の具体化について,考えていただく場とする。
目標は達成しなければ意味がないが,それは結果がそのプロセスすべての課題を明らかにしてくれるはずで,その結果のフォローをどう,次へとつなげるかの方が,より重要となる。業務も事業も単年度で完結するのではないのだから。
時間 |
内容 |
進め方 |
11:00
(昼食)
14:30 |
Y・目標達成のフォローと求められるコーチング力
メンバーに教えることが目的化してはならない。教えるのは,何のためなのか,メンバーと上司の間で,共有化されるものを作り上げることが必要となる。
そのためには,日常の,
・ミーティング
・報連相
・キャッチボール
をどけだけ積み重ねるかが重要になるが,そのスキルとしては,
・伝えるスキル
・受けとめるスキル
・聴くスキル
・訊くスキル
がポイント。これを確認する。 |
●コーチングも部下指導も,上位者の一方的なものではなく,部下との協働作業である。メンバーと上位者とが,共通の土俵の上で,目的実現のために,何をしなくてはならないかが,共有化できていなくては,効果は上がらない。個々のコーチングスキルよりは,両者の信頼の土俵づくりこそが,課長補佐に求められる最も重要な役割となる。
《使用するもの》
・ワークシート
コミュニケーション・チェック
コミュニケーションギャップを振り返る
コーチングマインドチェック
・ツール
|
【プロセスの狙い】
言いたいことを伝えたら,相手に意図が伝わるわけではない。仮に明確な方針と目標があり,その意味も価値も明確だとしても,それが伝わらなければ何も始まらない。コーチングの鍵は両者のコミュニケーションの土俵にある。たとえば,メンバーとの間で何かを話し合ったとして,何が共有化されているのか。
@共通の土俵に立てているか。担当業務の目的・目標が共有化されたか。
A共通の目標を担っているか。何を達成するための役割かが相互確認されたか。
Bテーマは共有化されたか。伝えるべきこと(聞かされること)についての土俵は共有化されたか。
C言葉は共有化されたか。相手と同じレベルの言葉・用語になったか。
D話は共有化されたか。話の展開は共有化されたか。
E話の結論は共有化されたか;結論は一方通行ではなく,相互確認できているか。
F話の目的は共有化されたか。何のための話し合いだったかが了解されているか。
等々が問われる。これがあって,コーチングのスキルが生きることを再確認する。特に,今日,スキルや専門性では,上位者側が上位にあるとは言えない。そのとき,最も重要になるのが,両者の共有化される土俵である。
時間 |
内容 |
進め方 |
14:30
17:00 |
Z・OJTの
基本とスキル〜何をどう伝えるか
等々,相互の意思疎通はどうすれば確認できるのか。具体例を素材にしながら,どうしたらいいかを,実践的に考えていく |
●ここでは各自の振り返りで出てくるコミュニケーションや意思疎通の問題点を確認しながら,スキルとはノウハウの「言葉化」なのだから,できるだけケースや具体例に即したOJTのスキルを考えていく。
《使用するもの》
・ワークシート
指導とコミュニケーションギャップ
OJTをしたいとき
・ ツール
ブレインストーミング
|
【プロセスの狙い】
OJTは,特別のことではなく,みずからの役割行動の遂行そのもののであることが確認されるはずである。
部下にどういう役割を担わせるかは,自分自身がどれだけポジショニングと役割確認がきちんと取れているかを反映するので,部下の役割を設定することを通して,自分がどれだけ自分自身の仕事の意味と役割の意味をきちんと捉えているかを確認する作業にもなる。
ここでは,コミュニケーションスキルを,OJTの場面に即しながら,「こうしたらどうする」「こんなときはどうする」といった具体例から実践的に考えてみる場とする。コミュニケーションは確かにスキルには違いないが,その言葉の説得力は,結局その人自身がどれだけそのことについて考えたのかといった,その人の生き方,仕事への取り組み姿勢そのものが強く反映する。 その意味で,OJTを考えるとは,自分がどういう姿勢で仕事をしているのか,どういうことに価値を置いているのかを,改めて振り返り,点検する機会でもあるはずである。
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