アイデアづくりの4原則は、 @分ける Aグルーピング B組み合わせる Cアナロジー の4つに整理できます。以下順次説明していきます。 @分ける 「分ける」は、いまあるカタチ、いまある意味、いまある条件、いまある構造、いまある位置関係、いまある流れ等々を分解することで、新しい関係づけを見つけます。 どう分けるかのイメージとしては、たとえば、 ・ツリーに分ける 垂直分解(系統図、機能分解、目的・手段)、水平分解(役割区分) ・フローに分ける 流れのパターン(時系列、因果関係、起承転結) ・配置に分ける 位置関係、布置関係等々パースペクティブ(遠近法)の関係 ・構造に分ける 組成関係、骨格構造等々立体的関係 ・状況に分ける 5W2H、ヒト・モノ・カネ ・時間を分ける 時間の流れをスロー・速くにしたり、ストップモーション といったものになります。しかしこれは分け方の構造ですから、分ける切り口は、たとえば、欠点、長所、機能、属性、要素、要因等々、バラバラ化の要領で、多種多様にあるということが前提になります。 「分ける」をチェックする目安は、 ・もう少し細かくならないか ・もう分けられないか ・他の分け方はできないか ・何か前提にしていないか ・自分で条件を設定していないか ・型にはめていないか ・他の視点はないか ・見落とし、ヌケはないか といったことになりましょう。 わけるという例では、たとえば、一体だったものを分けることで、それ自体が商品になったりします。たとえば、 有名店のラーメンが、その出し汁自体を商品としたり、 手打ち蕎麦店の、手打ち作業自体を客に経験させることが、商品となったり、 環境の、排出量自体を取引するというのもそれに当ります。 あるいは自社の事業をどうするといった場合にも、その選択肢を、売却、アウトソーシング、分社化、MBO(部門責任者が企業から買い取る)、合弁方法等々と分けてみることで、アイデアにつながっていきます。 Aグルーピング 「グルーピング」は、バラバラになった情報の中に、意味のある「つながり」(基準)を見つけて、バラバラの「地」に「図」を見つけ出します。 「醜いアヒルの子の定理」(渡辺慧『認識とパタン』岩波新書)があります。二羽の白鳥の類似度とアヒルと白鳥の類似度は、同じである、というものです。二羽の白鳥の類似性を列挙していったとします。身体の形、羽根、翼、嘴、目の形と色、色、生態、食物、生息場所……等々。その上で、次に白鳥とアヒルの類似性を列挙します。目が二つ、鼻の穴が二つ、口がひとつ、耳が二つ、嘴があり、羽根があり……と、数え上げていくと、両者の共通点の数はほとんど変わらなくなるのです。類似性をこういう共通点の数で計るなら、どんなものも同じ程度の類似性をもっているのです。 どんなものにでも共通点があるとすると、似ているから「共通点」が見つかるのではなく、「共通点」を見つけるから似ているのです。両者はつながるのではなくつなげるのです。共通点は創り出すものなのです。 「グルーピング」をチェックする目安は、 ・まず似たところはないかと考えてみる ・違いはどこにあるか。逆に、似ても似つかないものはどれか ・別に言い換え(置き換え)られないか ・両者に関係づけられるものはないか、無関係なものはないか ・両者をそれぞれ別のモノ(似たもの、関係あるもの)に置き換えてみる ・結合してみる、合わせてみる、重ねてみる ・それぞれを統一する(括れる)ものはないかと考える ・それぞれを由来・背景・根拠・理由に遡ってみる ・それぞれをこれからどうなるか、下ってみる 等々となります。 これは、業種のくくり方とか商品アイテムのくくり方を、別種にし直したりすることで、従来と異なる市場を発見することがあります。たとえば、プラスが出した小型の文具セットは、確かに小型文具品をセットにしただけのようですが、事務用品という実用性からファッションやおもちゃの領域を開拓したことになります。あるいは、ドレッシングを調味料の棚に並べるのではなく、生野菜の販売棚にくくることで、店としての食べ方の提案になっていきます。店舗の中にそうした試みがいくつもみつけられるはずです。 B組み合わせる 「組み合わせる」は、異質の分野のもの、異なるレベルのものを組み合わせることで、ピース自体の出自にかかわりなく、新しい全体像を見つけ出します。全体だけでなく、その一部分同士からも新しい組み合わせを見つけます。 代表的組み合わせは、ラジオとカセットを組み合わせたラジカセですが、昨今は、電子レンジで調理する手軽さから、米飯と具材を組み合わせたセット米飯がはな盛りです。マツタケ釜飯、ホタテ釜飯、五目釜飯等々。MPU(マイクロプロセッシング・ユニット)は、コンピュータの中央処理装置(CPU)を1チップに集積したものですし、LSIはIC1000個以上を集積したものですが、これも組み合わせ例でしょう。あるいは、デスクトップファクトリーと呼ぶ、精密機械用の超自動組み立てラインも実用化されています。 Cアナロジー 「アナロジー(類比/類推する)」は、似たもの、異分野の例になぞらえる、たとえる見たてることです。似た「〜を通して」見る(考える)ことです。 たとえば、図表4−6のように、スタッドレスタイヤの目的は、雪道を滑らないことです。ではそれに役立つものはないか、北極の白熊はなぜ滑らないのか、その手の構造を通して見て考えるのです。 ・白熊の手は爪がある、それを役立てられないか ・白熊の手の皮膚は筋肉との間がルーズで接地面が広がる、その構造を利用できないか ・白熊の手は毛が接地面の水を弾き出す、その仕掛けを利用できないか
等々、「白熊の手の機能を通して」見ることで、その機能からタイヤに使えるアイデアを見つけ出そうとすることです。 アナロジーを見つけるには、次の3つの着眼点があります。 ・全体に関係が似ているものを見つける ・部分(核)から他とのつながりを見つけ、そこから逆算して関連するみのを吸引する ・部分と部分の関係の断片から全体像を見つける
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