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発想トレーニング6

いわゆる5W1Hの効果について

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状況を明確にする

 いわゆる,5W1Hとか5W2Hといわれるものがある。つまり,

・何のために(WHY)

・何を(WHAT)

・誰が(誰に)(WHO)

・いつから(いつまで)(WHEN) 

・どこから(どこまで)(WHEN) 

・どうやって(HOW)

というものである。ものごとを,具体化する,とはこういことだが,たとえば,誰が,何時,何処で,どうしたの?と聞かないと,ものごとがはっきりしないのは,逆にいうと,ものごとを,個別化,特定化するということだ。それを,条件の明確化ないし,状況の明確化と呼んでもいい。

 それは,文脈をはっきりさせる,ということだ。文脈とは,前後関係,あるいは脈絡と呼び変えてもいいが,それのおかれている状況をつまびらかにするということだ。

状況証拠という言葉がある。疫学アプローチという言葉がある。 疫学調査に基づいて,人的,環境,物理的,生物的,社会的,病原的な諸点から,因果関係の相関度を調べ,原因を絞り込んでいく。環境ホルモンや公害や食中毒で,犯人 が絞り込まれていくのも,それだ。いわば,文脈から因果の筋を仮定していく。かいわれ大根が,食中毒の犯人に想定されたのも,この考え方に基く。

 難しく言えば,「それとともに一緒に浮かび上がってくる出来事の状況であり,条件であり,因果の流れとして含まれる全てである」とされるが,要するに,われわれが発想するときの,

 ・誰が(主体)

 ・どの位置から(視点)

 ・何を(対象)

 ・どういう条件で

 ・どう見ている(とらえている)か(見ている情報=言葉,イメージ,論理)

 という条件において,

 @この背景となっている社会的・文化的文脈

 Aその主体の置かれている場面・状況という文脈

 Bこの主体の考え方,感情等の心理的文脈 

 Cとらえている言語的脈絡としての言語的・意味的文脈

(更に,D我々の学問的達成や知的水準といった知的文脈,を加えてもよいが,あえて区別しなくても,Cに括ってもよい) 

 の4つがありうるはずであり,そのそれぞれが変更されるだけで,とらえられたモノ,コトは全く変わっていくのである。つまり,意味の脈絡(論理)も,状況の脈絡(状況)も,状 況の要件(条件)も,すべては文脈という表現の幅と奥行の中で,変るということだ。コンテンツ(内容)は,コンテキスト(文脈)で変わるからだ。

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それはストーリーを描くということ

 たとえば,前回前々回までに使った円に直径や,円の中に4つの円図その目で改めて見直してほしいが,

行宗蒼一氏より  P.エヴァンス&G.ディーハン『創造性を拓く』より

 誰が
 何のために
 何を求めて
 どういうときに
 どういう場所で
 どうしているか

を,具体的に想定しながら,眺めてほしい。たとえば,次のように考えてみる。

@図を,具体的場面(シーン)に置いてみる

 例えば,「センターサークル」 に見えた,円と直径図なら,サッカーをしている場面でも,バスケットボールをしている場面でも,具体的に思い描く。その,場面もくっきりピンポイントに特定する。

 ・どういう場所(場面)で

 ・どういうとき(機会,時間帯,経過時間の中)に

 ・何をしているのか

 等々から, そこでゲームに参加しているのか,それをその場で見ているのか,テレビで見ているのか,それともテレビゲームに参加しているのか,その場面,シチュエーションを具体的に思い描いてみる。 それによって,そこで描かれるものはまったく異なり,それによって,そこから連想されたり,見えてくるものはまったく違うはずだ。見えなかったもの,気にもならなかったものが,そのシチュエーションの中でなら,気づいたり,見えたりする。

Aそれにふさわしい登場人物を設定してみる

 その場面にふさわしい登場人物(たち)は

 ・誰(どんなターゲット,どんな対象,どんなグループ,どんな年齢層)が

 ふさわしいのか,性別,年齢,職業,背景,来歴等々を描きながら,それに似た映画,アニメ,マンガ,小説を借りて,ストーリーを描いてみる。 誰(と誰)がやっているのか,誰(と誰)が見ているのか,誰(と誰)が

Bその場面には,どんな仕掛け(舞台装置)がふさわしいかを列挙してみる

  ・久しぶりに会った友人同士
  ・デートの二人
  ・親子(父と子,母と子)連れ
  ・兄弟(姉妹)が一緒に
  ・女子高校生同士がじゃれている
  ・体育会系同士が群れている
  ・学生同士がつるんでいる
  ・中高年のサッカー同窓会
  ・JリーガーのJ1試合の最中

 等々によって,それに似つかわしい舞台装置は何かを,街,町並み,風景,季節,時間,衣装を含めて挙げてみる。

Cこうして,状況設定と登場人物によって,文脈が整い,ひとつのストーリーを描いてみる

 ・何のために(動機,ニーズ,欲求)

 ・何を求めて(期待して,関心・動機)

 ・どんなふうに(使用方法,利用方法)

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アイデアは,こちらからアイデアが出やすい状況を設定しなくては,待っていても自分の方へ訪れてはくれない。アイデアの方からこなくてはならない状況を作ること。何とかすると言い,無理に考えると言い,具体的に考えると言い,いずれも,そうしなくてはならない状況を作るほうがいいに決まっている。

前述した別図には,30の図がある。たとえば,15は,前々回取り上げたが,これを,自分が,上から見ている,下から見ている,ひっくり返している等々の想定は,シリーズ化という言い方を,そこでしたが,逆にいえば,意識していないが,ひとつのシチュエーションを,自分に設定して,発想しようとしているA過ぎない。それを,自分ではなく,別の人と設定すると,たとえば,食堂で座っていた椅子がひっくり返り,おこそうとしているときに見た椅子,という言い方ができる。そこで,場所を変えると,教室で,いたずらされて椅子を引かれてこけた子が,仰向けになったところ,という風に連想をつなげていくことができる。

こうした設定を,チェックリストにしたのが,4つの視点であり,バラバラ化チェックリストである。

4つの視点

視点(立場)を変える
いまの位置・立場そのままでなく,相手の立場,他人の視点,子供の視点,外国人の視点,過去からの視点,未来からの視点,上下前後左右,表裏等々

見かけ(外観)を変える
見えている形・大きさ・構造のままに見ない,大きくしたり小さくしたり,分けたり合わせたり,伸ばしたり縮めたり,早くしたり遅くしたり,前後上下を変えたり等々

意味(価値)を変える
分かっている常識・知識のままに見ない,別の意味,裏の意味,逆の価値,具体化したり抽象化したり,まとめたりわけたり,喩えたり等々

条件(状況)を変える
「いま」「ここ」だけでのピンポイントでなく,5年後,10年後,100年後,1000年後あるいは5年前,10年前,100年前,1000年前等々

 バラバラ化については,後で別の視点から触れることがあると思うが,今回の5W1Hを使ってみると,どれだけストーリーを描きやすくなり,どれだけ「何に見えるか」という問いへの答えも,出しやすくなるか,たとえば,この図を見て ,各自で試みてほしいものである。

以下続く

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発想トレーニング・目次

発想トレーニング1

発想トレーニング10

発想トレーニング2

発想トレーニング11

発想トレーニング3

発想トレーニング12

発想トレーニング4

発想トレーニング13

発想トレーニング5

発想トレーニング14

発想トレーニング7

発想トレーニング15

発想トレーニング8

発想トレーニング16
発想トレーニング9 発想トレーニング17

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