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スキル辞典9

スキル事典91

コミュニケーション力


  • コミュニケーション力チェック
  • コミュニケーションは,何かを伝えるためにするのだとすると,何が伝わったかが重要になる。しかし語ったことではなく,相手に伝わったことだけが話したことのすべてだとすると,いかに伝えたいことを正確に話すかだけでなく,相手をどれくらい見ているか,相手の反応をどれだけ聞きとっているか,自分をコントロールできているか,会話そのものをチェックできているか,等々も重要になる。ここでは,聞く力/伝える力/自己開示力/感情コントロール力/人と関わる力/モニタリング力,に分けてチェックしてみる。

    話を聞く力

    話を伝える力

    自己開示力

    感情コントロール力

    人と関わる力

    セルフ・モニタリング力

    採点基準はない。それぞれのチェックした数によって,自分の得手な部分不得手な部分を確認してほしい。自分について気づくための鏡と考えてみていただければいい。


【話を聞く力チェック】

チェック項目 チェック
人の話を聞くことが好きで,興味を持っていることを示すように,微笑んだりしながら,話しやすいような態度をとる  
話の半ばで早飲み込みして,「わかった」「よっしゃ」等々と,かつてに結論を下したりしない  
「そういうことは聞きたくない」と,嫌なことを聞くのを拒んだりしていない  
話を途中でさえぎったり,話の腰を折ったりしないで,最後まで聞こうとする  
聞いていてわからないところは,質問してきちんと確かめるようにしている  
話を聞きながら,勝手に解釈して空想やアイデアを頭の中で広げたりしていない  
話を聞きながら,どう返事するかと,言い訳や答えを予行演習することはない  
相手の目を見て,話にうなづきながら耳を傾けている  
話を聞くときは,なるほど,それで,ほお,などと相槌を打ちながら聞いている  
話を聞きながら,要点をメモしたりする  
相手の身振りや様子,声の調子などにも注意して聞いている  
相手の言葉の端々や片言に感情的に反応してしまうことはない  
相手の話ではなく,話し方や言葉遣いに注意を向け,そのことを気にして話をなおざりにすることはない  
相手の物言いや態度で,拒絶反応をおこすことはない  
聞きたいこと,自分においしいこと,耳にやさしいことだけを聞こうとすることはない  
話をきいているときは,相手の立場になって,相手の視点から見るようにしている  
話の最中に,正しく理解しているかどうか,確認のために要約したり,確認の質問をしたりしている  
相手の話を聞く前に,相手への評価や先入観で,相手の話を批判的に聞くという態度をとったりしない  
個人的な興味のある話や関心のある話で,相手の話への関心度や注意の向け方を変えないようにしている  
話しかけられたら,何かをしていても,中断して,顔を向けて話を聞く姿勢を取る  

【話を伝える力チェック】

チェック項目 チェック
「おれのこときはわかっているはず」「ここまでいったんだ,きっとやってくれる」と思い込んでいることはない  
相手の嫌がることやマイナス面でも,率直に伝えることが出来る  
意見が対立しているときは,共有できる事実の確認から始めていく  
お互いの状況,背景を理解し合えるように,短時間だが,頻繁な会話をするようにしている  
人に親切にされたとき,素直に「ありがとう」が言える  
人からほめられたとき,素直にうれしいと伝えられる  
人の気持ちを気にしたりせず,自由に自分の気持ちや感情を表現できる  
どんな人の前でも,率直に自分の考えや気持ちを伝えることが出来る  
ミーティングなどで,自分の意見をきちんと伝えることが出来る  
人の意見に反対するとき,感情的にならず,ニュートラルに是非を表明できる  
話をするときは,予め要点を整理して,何を言いたいかをはっきりさせるようにしている  
フランクで,率直な言い方をするようにしている  
事実と意見をきちんと分けて伝えるようにしている  
ロジックは大事にしているが,それ以上に,それを具体例を挙げて説明できるようにしている  
何かを指示したり,教示したり,助言したり,要求するときは,その旨を断ってから伝えるようにしている  
メモの棒読みのような話し方ではなく,自分の言葉で,身振りを交えて伝えることが出来る  
いつも,Iメッセージ(私は〜と思う,感じる)Youメッセージ(君は〜だ)は使い分けることが出来る  
何かを伝えるときは,何が,いつ,どうなっているかというように,出来るだけ具体的に表現する  
必ず3つ以上の選択肢を提案するようにしている  
自分が言ったことがどう伝わったか,必ず確認するようにしている  

【自己開示力チェック】

チェック項目 チェック
部下(後輩)の仕事ぶりや日頃の対応で優れていると感じたときは率直にその気持ちを伝えられる  
自分のやりたいこと,チームの目指すことについて,メンバーにいつも語りかけている  
自分が緊張したり,パニックになっていることを自分でも認めることができる  
メンバーが雑談しているところにも,気楽に加わることができる  
メンバーに「どう今晩一緒に飲むか」と誘ったときに,断られても,それを受け入れられる  
自分が知らないことがあったとしたら,メンバーにその説明を求めることができる  
自分が困ったとき,メンバーや同僚に支援を求めることができる  
メンバーの意見が自分と異なったとき,ムキにならず,受け入れられる  
自分の問題点や不都合を指摘されても,謙虚に聞く耳を持っている  
部下(後輩)から反対意見を出されても,冷静に彼我の分析をし,自分の反論を伝えられる  
どんな難局,行き詰まりにも諦めず,メンバーにその状態を伝え,衆知を集めて乗り切ろうとする  
自分の過ちやミスは率直に認めて,それを認めて謝ることができる  
メンバーの問題行動や誤りをきちんと指摘したり,批判できる  
周囲から誉められたときは感謝の気持ちやうれしさを率直に表現できる  
自分の行動を批判されたとき,それにきちんと受け入れることができる  
たとえ重要な顧客やトップからの無理難題でも,きちんと反論し拒否できる  
顧客やリーダーからの長話や長電話を,自分から切り上げる提案ができる  
自分の話の腰を折ったり,中断したりする相手に,きちんとこのときの気持ちを伝えられる  
メンバーやリーダーの過度の好意をわずらわしいとき,その旨をきちんと伝えて断れる  
部下(後輩)からの支援やサポートの要請にも,自分の判断で不要と感じたときはきちんと説明し,拒否できる  

【感情コントロール力チェック】

チェック項目 チェック
人からものを頼まれると,どんな親しい人や尊敬する人でも,自分の都合をきちんと伝えられる  
知らないことや疑問を感じたときは,素直に知らないので教えてほしいということが出来る  
人前で批判されても,カッとしたりしない  
他人から干渉されても,すぐに自分のペースをつかむコツをもっている  
自分に嫌気が差して,落ち込むことがあっても,それが長引かせることはない  
パニックに陥った自分を落ち着かせ,沈着冷静にどう対処したらいいかを検討することが出来る  
自分の感情や気分に振り回されて,相手にあたったり,いらいらしたりすることはない  
冷静さを欠いて,怒りや悲しみやいらだちのままに行動したことはない  
どんなときでも,自分自身を信じ,自分にしか出来ないことがあると確信している  
相手の優れたところは率直にほめることが出来る  
自分の不安や恐れを隠さず,今ちょっと不安なんだけどね,と打ち明けることをためらわない  
友人でも,自分の気持ちを傷つけるようなことをしたら,そのことをきちんとつたえることができる  
気分がむしゃくしゃしたからといって,周囲に八つ当たりするようなことはしない  
結果の見通しのつかないことでも,積極的に取り組むことを厭わない  
自分の考えを大事にするが,自分と異なる考え方や価値観にも鷹揚だ  
どんな状況になっても,事態をそのまま受け入れるようにしている  
気まずいことがあった相手ともきちんと和解することが出来る  
自分が不愉快な思いをさせられたときははっきり言う  
どんなに怒っても,怒鳴ったり,声高に叫んだりしない  
相手の動揺に共振したり,相手の感情の変化に影響を受けて自分を見失うことはない  

【人と関わる力チェック】

チェック項目 チェック
自分が困っているとき,一人で抱え込まず,手伝いを頼める  
自分自身が困ったときに頼りになる人のネットワークがある  
人は比較的自分に心を開いてくれる  
相手の言葉と本音の違いに敏感に気づく  
いつでも相手の話を聞く側に回ることが出来る  
自分の弱点や短所に気づいている  
人の目に映る自分の状態に注意するようにしている  
相手のものの考え方にたって話の筋をたどることが出来る  
わからないことがあると,こだわらず,人に助言や指導を求めることが出来る  
初対面の人とも,打ち解けて話が出来る  
ブレーンストーミングなどで,人とのキャッチボールを通して自由にアイデアを発案できる  
相手の人格や相手自身ではなく,相手の行動や発言について,批判することが出来る  
相手の目を見て,自分の発言の不適切な影響に気づく  
会話しているとき,相手の微妙な表情の変化に敏感だ  
自分が嫌な感じ,不快感,ざわつき,を感じていることを自分で気づき,場合によってはそれを伝えることができる  
相手の反応の中に,自分の発言のフィードバックをモニタリングしようとすることが出来る  
相手の呼吸と合わせることが出来る  
相手の喋り方や言葉遣い,スピードにあわせることができる  
相手の言おうとしていることを,その場,その思い,感情をイメージしようとしている  
相手が黙っているとき,相手が発言するのを待てる  

【セルフ・モニタリング力チェック】

チェック項目 チェック
お互いが共通の土俵に立っているかどうかを確認するようにしている  
伝えるべきことだけではなく,相手の期待や関心についてもきちんと確認する  
同じ用語は同じ意味で使われているかどうかをきちんと確認する  
全体の方向性をきちんと見つけ出して提案できる  
そのとき自分がどういう関わり方をすればいいのかをいつも考えるようにしている  
相手の関心や興味を持っていることからずれていないかどうかを注視するようにしている  
どんな人でも,場所柄をわきまえず,長々と本題に関係ない話を始めたときはそれをとめることが出来る  
自分の都合のいいように誘導するようなことはしない  
言葉面だけでなく気持ちや感情の動きをきちんと見ようとしている  
何のために話し合っているかをきちんと確認することを怠らない  
その場の喜びや盛り上がりに,自分もあわせていくことが出来る  
不必要にため口をきかず,言葉遣いには気をつけている  
その場の雰囲気を読むことが出来,場違いなジョークを言ったりすることはない  
曖昧な表現や言葉遣いは確認することを厭わない  
思い込みになっていないか,自分の理解をオープンに披瀝し,お互いに齟齬のないようにする  
その場で引いていたり,無関心な様子の人にも,目を向けておく  
先輩や年長者への敬意と意見の是非とは区別する  
自説に固執せず,全体をまとめたり、集約することに心を砕く  
確認されたことはメモを残すようにしている  
結論が共有されたかどうかを必ず確認する  
  • チェック結果の見方

聞く力 伝える力 自己開示力 感情コントロール力 人と関わる力 モニタリング力
20 20 20 20 20 20

「聞く力」は,単に受動ではなく,相手の話に耳を傾けようとしている姿勢であり,そのことを相手に伝えようとすることができる力である。

「伝える力」は,単に言葉の正確さやロジカルかどうかではなく,相手との相互関係の中で,どうすれば相手が受け取りやすいかを考え,それを実践できる力である。

※「自己開示力」は,率直さ,フランクさだけでなく,自分自身に対しても正直であり,オープンであるかどうかである。それは相手に対して感じた自分の感情についても,率直であることができる力である。

「感情コントロール力」は,自分自身の感情を自分でコントロールできるかどうかである。そこには二つの意味がある。一つは,自分の感情に自覚的であることと,それをうまくコントロールできることである。それは相手のそれにも鋭敏であることを意味する。

「人と関わる力」は,人への関心度,人との関わる力であるが,単なる人に関心を持てるだけでなく,自分自身をオープンして人にもものが頼めるかどうかも意味している。同時に,人と関わることで,アイデアや考え方をプラスに転換していける力も含まれる。

「セルフ・モニタリング」は,自分のコミュニケーション全体を客観視し,それがどんな進捗で,相手とどれだけ共有化で来ているのか,何が不確かなのかを確認していく力である。コミュニケーションをメタコミュニケーションできる力である。

参考文献:平木典子『自己カウンセリングとアサーションのすすめ』(金子書房)
菅沼憲治『セルフアサーショントレーニング』(東京図書)
デビッド・アウグスパーカー『聞く』(すぐ書房)

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スキル事典92

問題意識の自己表現力


  • 問題意識の強さと自己表現力のチェック
  • 問題意識は表現できなければ企画にならない

  何に問題意識を感じるかに高低はありません。問題は、自分の中の問題意識に気づいているかどうかです。これは、自己表現力の巧拙と関係があります。

 つまり、自己表現力に欠けると、人の前で自分を隠し、あるいは表面的には従い、しかし従わされたと被害者意識を感じたりする。あるいは逆に自己主張と言うより、他人の意見に耳を貸さず、自分を通そうとするばかりで、強引で、強圧的になったりする。

 いずれも、実は自分を大事にしていないのです。問題意識とは、自分で感じた現状への疑問です、それは人を巻き込めなければ単なる愚痴で終わってしまいます。

 問題意識をひとりの問題にとどめず、チームや周囲の人を巻き込むためには、自分の問題意識の強さだけでなく、それをきちんと人に語れる表現力が不可欠です。

 なぜなら企画にまとめるということは、自己表現なのです。自分の感じている問題意識を、人に訴えて、全体のものとしてもらうためのものなのです。

  • 自己主張のある問題意識度をチェックする

【自己表現力チェック】

  • 該当するものに、レ点をつけてその総数で、下記の診断に照らしてみてください。

チェック項目

該当の有無

自分の長所や性格について、ひとに語ることができる  
自分にしかできないこと、自分だからできることがある  
なすべきこと、やりたいことを目標として描き、いかに達成していくか構想している  
自分の知らないこと、わからないことがあったとき、その場で説明を求める  
人と意見が違ったり、別の考えをもったとき、それをきちんと主張できる  
自分が間違っていると気づいたときはそれを認め、改めることができる  
自分が批判されたとき、その是非をきちんと受け止めて反論できる  
上司や尊敬する先輩と意見が異なった場合も、自説を語ることができる  
自分の夢、将来像をビジュアルに描き、それを人にも語る  
後輩に伝えておきたいこと、教えておきたいことを、きちんと伝えるようにしている  
自ら進んで(自分から働きかけて)新しい役割を引き受けるようにしている  
同僚・上司とのコミュニケーションに努めている  
他人の異なる見解にも耳を傾け、その要旨を的確に把握し、冷静に判断できる  
誰に対してもオープン・マインドで、ざっくばらんである  
不満や不平があっても内にこもらず、言うべきことはきちんと言う  
他の専門領域の人とのコミュニケーション(情報交換)ができている  
自分の考えをわかってもらうために、表現や方法の工夫を怠らない  
仕事でまだやりたいことがある、やり残したことがあると、上司とそのことを話し合う  
人に提案するのはうまい  
人にどうプレゼンテーションするかの工夫にはいつも力を入れる  

【問題意識度チェック】

  • 該当するものに、レ点をつけてその総数で、下記の診断に照らしてみてください。

チェック項目

該当の有無

新しい体験や未経験のことにも尻込みしない  
行き詰まっても何とかするという気持を失わない  
自分の進むべき方向を意識して、進路設計をしている  
知人(異性との人脈、異質職業との人脈、異質年齢との人脈)は豊かである  
いままでの経験・習熟領域とは異質の領域にもチャレンジする気持をもっている  
クロスオーバーしたネットワーク(タテ・ヨコ・ナナメ)をもっている  
長期的な目標をもち、一歩一歩それに向かってクリアしていくべく日々努力している  
ネットワークでのキイパーソンとなっており、いつでも動かせる位置にいる  
自分のライフワーク、テーマをもっている  
仕事以外でもやりたいことをもっている  
現状がどうなっているかに常に目を向けている  
起こった事態から全体を的確につかむことができる  
職場の変化、役割・立場の変化を自覚し、仕事への取り組み見直し、改善している  
与えられたポジションの中で、何をなすべきかをいつも前向きに考えている  
仕事以外の人脈をもっている  
キャリアアンカー=自信のより所(能力、動機、欲求、態度、価値)をもっている  
自己イメージ(得意不得意、長所短所、希望、夢、価値観、性格等)が明確である  
その場で何が有効か、自分の役割を自覚して適切な行動が選択できる  
自分の興味・関心のもてるものがある  
組織の枠、当期目標にとらわれず、自分なりの視点でものをみようとする  

  • 評価方法

 問題意識度と自己主張力とはバランスがとれていなくてはなりません。

【自己表現力チェック】

チェックの数 傾向
15 自己表現力に優れています。問題意識とのバランスをチェックしてください
14〜10 まずまずの表現力です。問題意識が同程度なら、十分です。後はチェックできなかったところに目を向けてみてください
9〜5 少し弱めの自己表現力です。しかしもし問題意識が10以上あるようでしたら、自己表現力を磨くことで、魅力的なアイデアマンになれるはずです
4〜 ちょっと表現力が弱過ぎです。これは自分を貶めるのと同じです

【問題意識度チェック】

チェックの数

傾向

15 強烈な問題意識です
14〜10 ほどほどの問題意識です。問題は自己主張とのバランスです。自己主張がの根拠かコミュニケーション部分かをチェックしてください
9〜5 少し問題意識が弱めです。それは人との関係か、自分の仕事か、それとも広がりか、欠けているところをチェックしてください
4〜 ちょっと問題意識が弱過ぎです。自分自身か仕事か趣味か、まず自分の根拠を定めるところからはじめてください

  • 評価結果をどう見るか

  問題意識の強い人は、おおむね自己主張の強い人です。自己主張の強さ自体は悪いことではありませんが、自己主張と自己表現の違いは、相手との間できちんとしたキャッチボールができるかどうかです。キャッチボールとは、どちらかに意見の成否を決めることではなく、擦り合せながら意見を煮詰めていけることです。

 自己表現とは、自分の意見や感情をきちんと伝えることですが、それは自分を通すためではなく、人に自分を理解してもらうためです。何のためにか、それは、そこが議論の場だとすれば、それに自分がどう考えているかを伝え、その議論に加わるためです。それが上司との意見交換の場だとすれば、自分の意見をきちんと伝えることで、上司に自分の意見を取り入れてもらいたいからです。企画もまた、自己表現ですが、それがひとりよがりにならないためには、自分の問題意識を他の人も共有化できるように表現する力が不可欠なのです。

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スキル事典93

部下指導力


  • 部下指導力をチェックする
  • 指導方針のチェック

部下指導の基本姿勢

いまやっている

明日からできる

いまのままではムリ

1ヵ年計画で検討する

当分ムリ

上位者の方針・考え方を刷り合わせている

部下の指導方針(どういう状態にしたいか)を明確にしている

部下の指導基準(何を,どうすべきか)を明確にしている

指導の期待値(どういうレベルにしたいか)を明確である

指導成果(どうなったか)の評価をきちんとしている

指導結果(どこが問題か)を必ず次に活かすような仕組みをつくっている

  • 指導の仕方のチェック

指導のチェックポイント

やっている

明日からできる

いますぐにはできない

優先項目

@どういう部下に育てるかの構想をきちんともっている

A「仕事ができる」とはどういうことかを明確にしている

B仕事に対する要求水準・要望事項を明らかにしている

C仕事に求めるレベル・質は必ず明示している

D部下に不足している能力・スキルをきちんと伝える

E不足スキル・能力の育成の仕方を工夫している

F部下を育てるために意識的に仕事の割り当てをしている

G自分の仕事の代行・代役を割り振っている

H部下を意識的に仕事先に同行させている

I自分と違う仕事の仕方でもある程度本人の裁量に任せる

J部下の仕事の進捗状況についての目配りを怠らない

K仕事の標準・レベルから外れた部下の指導に時間をさく

L部下の企画・開発アイデアが具体化できるよう見守る

M部下の提案はカタチにさせるように支援する

N仕事に関する助言には丁寧に答える

O部下の報告をきちんと聞く時間を必ず取る

P部下の仕事ぶりの良さや姿勢はきちんと評価しほめる

Q仕事のミスやルーズさはきちんと叱る

R部下の質問にはできるだけきちんと答える

S部下に新しい仕事を指示するとき意図を明確にしている

※「優先項目」は,現実に何に取り組むか,できるものから@ABと印をつける

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スキル事典94

リーダーシップ・チェック


  • リーダーシップをチェックする
  • リーダーとリーダーシップは違う。リーダーは,役割としてなさなくてはならない機能であり,リーダーシップはポジションに関係なく,自らがリーダー役を買って出て,周囲を巻き込み,引っ張っていくことである。多く,リーダーとリーダーシップを混同している。厳しくいえば,リーダーにリーダーシップが なければ,とんでもない話だが,メンバーにリーダーよりすぐれたリーダーシップがあることはありえる話なのだ。リーダーシップが,トップや上位者にのみ求められているというのは勘違いである。職位が上のほうに行けばいくほど,リーダーシップがないことが目立ち,下へ行くほど,リーダーシップがあることが目立つ。上に行けばいくほど,リーダーシップを発揮しやすい条件と裁量を与えられているから,あるのが当たり前だから,ないことが目立つのである。トップにはトップのリーダーシップか求められるのであり,平には平のリーダーシップが求められる。常識とは異なり,リーダーシップはその人の役割遂行に必要な手段に過ぎない。必要なのは,その人が自分の役割を責任を持って達成しようとするとき,自分の裁量内でやっている限り,その仕事は完結しないということである。そのとき,自分の裁量を超えて,人に働きかけ,巻き込んででも,それを達成しなくてはならないときがくる。それが結果としてリーダーシップであるに過ぎない。必要なのは,自分は何をするためにそこにいるのか,そのために何をしなくてはならないのかを,自分の頭で考えられるかどうかだ。それを仕事の旗と呼ぶ。それは平のときから自ら考え続けていなくては,リーダーシップがあって当然という立場になったとき,リーダーシップがないことが目立つことになるだけなのである。

  • そこで,以下,二つの切り口からリーダーシップを点検する。

    • リーダーとしての役割遂行度をチェックする

    • リーダーシップをチェックする

  • 両者の違いは,実は,メンバーから来る。リーダーとして,メンバーの役割期待の範囲,つまりリーダーとして,やって当然と考えるようなことは,リーダーとしての役割の範囲内であって,リーダーシップとはいわない,ということである。 リーダーシップがあると思うのは,メンバーであって,リーダー自身がそういっているときは,そういわざるをえないか,リーダーシップの何かがわかっていないか,のいずれかである。リーダーシップがあると感じるのは,メンバーであって, リーダー自身ではない。それは,メンバーの期待に応えてはじめて,認知されるものなのだ。


リーダーとしての役割遂行チェックリスト

チェック項目

いつもやっている

たまにやっている

やっていない

自部署の目的・方向性,ビジョンを常に自問し,明確化するようにしている

自社の方向,戦略について,思うところがあれば積極的に上司に提言する

自部署のポジション,役割について,定期的に上位者との確認を怠らない

メンバーに自部署の使命,役割,仕事の意味について積極的に語っている

メンバーとのベクトル合わせ,判断基準の刷り合わせを怠らない

メンバーがチームで仕事をしている自分の意味を見つけられるように支援する
メンバーと気楽に声をかけ雑談する機会をもっている

事業環境の変化,顧客情報にアンテナを張り,いつもウォッチングしている

トップの発言,経営方針に注意し,メンバーにブレイクダウンを欠かさない

メンバーの役割を明確にし,何をなすべきかについて話し合っている

上や左右とのコミュニケーションを保ち,情報を共有化するよう努力している

自分自身のあり方,生き方について,目標を設定し取り組もうとしている

自分の専門性を磨く努力を怠らない

メンバーが互いに努力や貢献を尊重しあい,認め合うようにはかっている

上司の掲げる目標をどうメンバーに徹底し共有化するかに心を砕いていてる

いったん決めた目標・プランは,ぎりぎりまで諦めず貫徹するよう努力する

自分たちの目指すことについて理解し,自分の言葉でメンバーに説明できる

自部署のみならず,業務全体の革新・改革意識を怠らずを,試みている

メンバーが互いに相手の仕事や時間を尊重し,合意事項を遵守する

メンバーと目的意識と問題意識が共有化できている

メンバーに,期中での途中経過,進捗状況についてオープンにしている

他部署との折衝には,自ら積極的に当るようにしている

メンバーへの説明,指示は,5W2Hで具体的にするようにしている

プランや企画立案に当っては,メンバーの知恵を集めるようにしている

メンバーの夢を理解し具体化するのに手助けできる

メンバーの力量,成長目標についての配慮とサポートを心がけている

メンバーがキャリアで達成したいと考えることに本気で関心を示している

緊急事態に陥ったとき,何を最優先事項にするかを上とも下とも決めている

手持ちの資源(ヒト・モノ・カネ・トキ・情報)を十分使いこなしている

メンバーに自らの問題意識をぶつけ,キャッチボールすることをいとわない

優秀なメンバーには折あればリーダーシップを発揮する場を与えるようにする

メンバーが明らかに助けを必要としているときに手を貸している

目標達成の障害となる行為,発言については,ためらわず叱責し注意する

メンバーへのPDCAへのフォローとサポートに心配りしている

メンバーの辛らつな批判,問題意識でも評価できるものは直ちに取り上げる

些細な問題でもその原因分析を怠らず,的確な対応を指示する

どんな難局,行き詰まりにも諦めず,メンバーの衆知を集めて乗り切る

メンバーの私生活や仕事で危機に陥ったときは支える

どんな場合にも,真摯で,誠実に事に当る努力を心がけている

メンバーは自分の欠点や問題点を安心して打ち明け相談してくれる

自分の問題や不都合についても謙虚に聞く耳を持っている

いったん決めたプランでも撤回したり軌道修正することをためらわない

メンバーからの具申,提案,提言は,自分に不都合でもオープンに議論する

自分の意思決定についてはオープンにし,その理由についても説明できる

自分の決断の過ちが明らかになれば,直ちに修正するのをいとわない

結果責任については,自分自身が負うことは当然だと考えている

  • チェックの仕方

@ご自分のリーダーシップぶりはどうかを,上司やメンバーからの視点を思い描きながら,チェックしてみて下さい。
Aチェック結果から,リーダーシップを高めるには,何をしたらいいかを確認し,その実現方法を検討して下さい。

できていないことのうち
優先度の高いもの

その原因は何か
(何が問題か)

どこを改めるか
(改善点)

それをどう改めるか
(どうしたららいいか)

その実現性
(どこまでできるか)

@

 

A

 

B

 

C

 

D

 

  • リーダーシップチェックリスト

    • リーダーチェックとリーダーシップチェックとは異なる。リーダーチェックはリーダーとしての役割行動がとれているかどうかのチェックである。リーダーシップはリーダーという立場にあるかどうかとは関わりなく,自らの使命を果たすために,旗を掲げ,周囲に働きかけ,巻き込んでいこうとするかどうかのチェックである。 それをリーダーシップを発揮している本人できなく,メンバーや巻き込まれた人が,そう感じていることだ。

チェック項目

チェック

自分は何者なのか,何をすることで,このポジションについている役割をはたせたことになるのか,自分の成すべきことをたえず自問し,考え続けている  
組織全体の方向性やベクトルをいつも意識し,場合によっては世の中全体の風向きも意識し,そのための自分あるいは自分のチームのポジションで成すべきことは何かをいつも考えている  
世の中の動き,変化の兆候にアンテナを張り,組織全体のベクトルの変更を働きかけていくこともできる  
自分および自分のチームの旗を明確にし,そのことを上位者にも認めさせ,場合によっては,上位者を共同行動者として巻き込み,より上位,組織全体をも巻き込むことができる  
自分あるいは自分のチームは,組織の中で,何をするためにそのポジションにいるか,どういう形で貢献することができるか,をいつも自問しつづけ,自分なりの答えを出すようにしている  
自分あるいは自分のチームが何かをしようとするとき,自分やチームの目的や役割を超えてでも,それをすることが自分あるいは自分のチームの役割や使命の達成に不可欠であると感じたときは,ためらわず上位者や周囲に働きかけ,巻き込んでいくことができる  
自分や自分のチームの仕事・役割を自己完結させたり,限定させたりせず,どうすればそれを達成することができるかを考えている  
自分あるいは自分のチームの役割行動の中で,どこまでがやって当たり前とみなされているか,どこまでやって当然戸期待されているかをいつも自覚し,それを実行するよう心がけている  
自分およびチームメンバー一人一人に,チーム内での役割を明確荷し,どうやってチーム全体に寄与しようとするのか,自分の役割・責務についての旗を立てるようにしている  
常に上位者,周囲の同僚とキャッチボールや報連相を心がけ,コミュニケーションの土俵を作り上げるよう努力し,組織のベクトルに合致するように働きかけている  
自分ないし自分のチーム内の問題でも,それを解決することがより上位の組織や組織全体にとって必要だと考えたときは,上位者や周囲に働きかけ解決の実現をはかっていく  
自分あるいは自分のチームメンバーの上げてきた案件が,自分や自分のチームの裁量を超えるときでも,裁量内で,そこそこ完成させればいいとしないで,それを真の意味で達成するにはより上位を巻き込まなくてはならないと感じたときは,それがかなりの難関でも,チャレンジし働きかけていくことをいとわない  
自分および自分のチームの外にも上にも,自分たちが行動を起こしたとき,そのサポートや支援をしてくれるネットワークがあり,目標達成のリソースとすることができる  
現場のことを知っているのは現場である。それを伝える必要があると感じたら,上も横も巻き込んでいくだけのパワーとエネルギーを持っている  
自分および自分のチームの主張をするために必要な情報は絶えず確保し,更新するよう努力している  
自分および自分のチームの旗を実行するために,周りを説得するだけの,説得力のある言語力と表現力を持っている  
自分および自分のチームの内的リソースであるチームメンバーの育成とスキルアップには労をいとわないだけでなく,他のチームのメンバーでも,そのスキルアップや成長のためなら喜んで力を貸す  
自分や自分のチーム何かを達成するために外へ働きかけるとき,自分の背後で自分を支え,チームを支え,かつ自分の行動をサポートしてくれるメンバーシップとチームワークを誇れる  
自分と自分のチームが周囲を巻き込み動き出したときも,その途中経過をメンバーにフォローし,場合によってはメンバーに自分の代役を任せたり,参加させたりすることができる  
自分およびチームメンバーにも,仕事やタスクを抱え込ませないだけでなく,巻き込んだ上位者や周囲にも抱えこまさず,絶えず一緒になって行動し続ける姿勢をくずさない  
いつも自分や自分のチームの問題や課題,業務をチーム内的な視点ではなく,組織全体の目的やベクトルから,意味づけ,位置づけていく姿勢がある  
自分一人で動くのではなく,チームメンバー全体と,あるいは巻き込んだ上位者や周囲と,ひとつひとつ問題や情報を共有化して動くようにしている  
自分だけでなく,チームメンバー一人一人が,自立して仕事ができるように,あるいはいつも自分の旗の実現に向かって動くように促し,自分自身が,チームメンバーのリーダーシップに巻き込まれることをいとわない  
メンバー一人一人にも,自分の業務に自己完結せず,自分の旗の実現のために,チーム内のメンバーを巻き込むことを促し,また自分も慶んで動かされる  
どんな人とも自分や自分のチームの抱える課題や役割を積極的に語り,理解と共感を得られるよう努力している  
どんなに動き出し,半ばまで出来上がった案件やプロジェクトでも,そのまま惰性で進むことを潔しとせず,その意味・目的を洗いなおし,チェックすることを怠らないし,断念したり,中止したりすることをためらわない  

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スキル事典95

業務棚卸力


  • 業務棚卸着眼点チェック
  • 業務棚卸しの切り口(ムダ・ムラ・ムリ)

着眼点

やっている

明日からできる

いますぐは無理

優先度

無用の業務の削減

       

過剰・重複の業務の削減

       

部門内での業務の重複・過剰の廃止

       

部門間での業務の重複・過剰の廃止

       

資料・書類・データの最小化

       

会議・打ち合わせの削減・縮小

       

庶務的業務の適正化

       

現状維持的業務の削減

       

価値判断(何を有効とみなすかは,目的との対比で判断される)

       

民間・外部へのアウトソーシング

       

業務や作業の標準化

  • 改善の視点(もっと〜ないか,ほかに〜ないか,加減乗除)

着眼点

いつも意識している

意識したことはない

実行は無理

優先度

自分がトップならカネを払うか

それをやめたら組織が成り立たないか

それをやめたら取引停止になるか

時期を逸して(外れて)いないか

半分にしたら何が起こるか(誰が困るか)

念のためにやっているのではないか(やれば安心?)

費用対効果は妥当か

成果が出ているのか

GOがあってSTOPがない

代用できないか,代替案はないか

結合・組み合わせはできないか

5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾け)はできているか

報連相は徹底されているか

PDCAは徹底されているか

そのコストは妥当なものか

もっと質をアップできないか

もっとスピードをアップできないか

もっと少ない人でできないか

  • 目的思考(指向)からの棚卸し(削減,短縮,廃止)

着眼点

いつも意識している

意識したことはない

優先度

無目的ではないか(意味を失っている,形式化している,形骸化している)

     

目的を誤っていないか(1週間遅れの会議の記事録,意味不明の文書配布)

     

目的が見えなくなっていないか(業務日報,チェック表,管理表,帳票等)

     

同じ目的ではないか(日報・週報・月報,口頭説明の上報告書,捺印等)

     

目的が重複していないか(メールと電話連絡,複数部門での重複等)

     

いままでの慣習・前例(清書,定例会議,朝礼,報告書等)

     

他で補えないか(出荷案内と納品書等)

     
  • 機能(働き)思考(指向)からの棚卸し(削減,短縮,改善)

着眼点

いつも意識している

意識したことはない

優先度

時間,カネを削減,短縮

     

回数,インターバル,期間を短縮,削減

     

数量,種類,枚数を短縮,削減

     

ルート,送り先の削減

     

集約する

     

社内外のコミュニケーションを短縮,削減,廃止

     

標準,目安を決める

     

それはあなたが買うか(使うか)

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スキル事典96

危機対応力


  • 危機対応力チェック

対応チェック項目

可否

優先順位

危機管理とは何かについて,組織内で定義が定められているか
(どういう状態を危機と呼ぶかについての取り決めはあるか)
   
組織全体の,危機管理に対する基本方針は,具体的に明示されているか    
組織全体のリスク・チェックリストは定められているか    
部署としてのリスク・チェックリストは定められているか    
組織としてのコンティンジェンシー(不測事態対応)プランは設定されているか    
組織のコンティンジェンシー(不測事態対応)プランに基づく部内プランはあるか    
部署単位の危機予知,リスク発見を組織的にするためのルールやルートはあるか    
個人としてのリスク感知,危険予知を組織に上げるためのルールやルートはあるか    
何を危機の予知とみなし,危機の拡大を防ぐためにまず何をすべきかはマニュアルないし,指針として明確化されているか    
どういう時点で危機管理行動に移行するかは組織的に定められているか    
部署単位でのいつ危機対応移行するかのマニュアルは設けてあるか    
部内の危機対応始動のタイミングはメンバーと共有化されているか    
組織として,対応リスクに優先順位はつけられているか    
部署として,有事の行動基準を共有化しているか(何を残し,何を捨てるか)    
非常時,全メンバーがアクセス可能な掲示板のようなものは設けられているか    
危機発生時の初動の標準対応行動(まず何をすべきか)は明確になっているか    
(上位者と,部下と,関係部署と)危機発生時の初動対応は決められているか    
組織全体において危機発生時の組織,役割分担,責任者は決まっているか    
部署内の危機発生時の役割分担,責任者は決まっているか    
全組織の危機対応行動計画,マニュアル,行動指針は定められているか    
部署内の危機対応行動計画,マニュアル,行動指針は設けられているか    
組織として管理者レベルでの対応できること(守備範囲)は何か決まっているか
(通常の問題処理をしていいこととそうでないこととの基準,判断ラインは決まっているか)
   
組織内で,指揮権,指示命令系統の序列は明確化されているか
(誰の指示命令,意思決定が優先されるかが決まっているか)
   
例外事項の判断,方法は決まっているか    
指揮権者と連絡が取れないときの判断基準は定められているか
(これだけは最低限処置せよ,こういう場合はその場にとどまれ,何を優先させるか)
   
上位者との間で,危機管理についての対応・方針の共有化が図られているか    
他部門との間で,危機発生時の協力関係についての取り決めはあるか    
部下との間で,危機管理についての問題意識の刷りあわせはできているか    
有事の一次情報集約のルートとルールは明確になっているか    
事態の第一報をいつまでに,誰に報告するかを決められているか    
報告内容の書式(何が,いつ,どこで,どういう状態になっているか)は決まっているか    
対応行動の何を,いつから始めるかの決断を求める相手は決まっているか    
組織的な対応,公式担当部署への引継ぎの時期,タイミングは定められているか    
突発事態における情報の共有化のための方法・手段は決まっているか    
起こった事態の評価し,対応策を決定するための基準は決まっているか    
上位者との間に,いつでもつながるホットラインはあるか    
部下との間で緊急事態の連絡方法は特別に決めてあるか    
日常の報連相の中に,危機アセスメント(事前評価)の仕組みを織り込んでいるか    
部下との間に,いつでもつながるホットラインはあるか    
メンバーの危機認知をオープンにチームで共有される仕組みになっているか    
組織的に,リスク予防の訓練やシミュレーションは行われているか    
危機対応の経過報告の仕方は決められているか    
部署として,リスク予防のために,特別なミーティングを持ったことがあるか    

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スキル事典97

企画マインドチェック


  • 企画マインドチェックリスト
    • 該当するものに、レ点をつけてその総数で、下記の診断に照らしてみてください。

    設問項目

    該当する

    現状にいつも強い問題意識をもち、何とかしたいと考えている  
    自分なりに課題・テーマを持続してもっている  
    長期的な目標を持ち、一歩一歩それに向かっていくべく日々努力している  
    自分の企画を考えていると、上司がどう評価するかを気にしなくなっている  
    自分にしかできないこと、自分だからできることがあると思っている  
    仕事についても自分なりの夢や将来像を描いている  
    自分の斬新なアイデアや構想には自信がある  
    仕事について、日々もっとこうすればよくなるという目で改善を心掛けている  
    いったんはじめたら、とことん遂行していこうとする  
    日々いろんなことに関心があり、仕事に使えないかと考えている  
    嫌いな人のアイデアでも、良いと思ったら気にせず取り入れる  
    人と違ったものの見方や視点を重視する  
    自分と周囲との新しい関係づくりに積極的である  
    組織や部門の枠にとらわれず、自分なりのものの見方や考え方を主張する  
    仕事以外の人脈づくりや新しい知己を得ようと努力している  
    他社、他業種、他業界、他団体等々にも顔見知りが多い  
    自分の考えを分かってもらうために、主張や表現の工夫をする  
    他人の意見やアイデアを引き出し、まとめていく力がある  
    パーソナリティとして、異質な人間の言うことも聞く耳を持っている  
    自分の仕事・経験に誇りをもっている  
    いままでの専門、キャリアから外れた分野にでも取り組む姿勢をもっている  
    顧客のクレームや苦情にまともに向き合って、それを解決しようとしたことがある  
    顧客からの提案や要請を実現しようと、具体的な案にまとめたことがある  
    自社の製品やサービスについて、その改善や改良を考えたことがある  
    他社の製品やサービスを、自分ならこれより優れたものができると感じたことがある  
    自分の企画を、製品やサービスとして実現させたことがある  
    専門分野以外にも、関心領域が広く、読書の範囲も幅広い  
    自社市場だけでなく、広くマーケットの変化に目を向けている  
    いろんな人と何気ない会話や雑談をする機会が多い  
    一人でも上司やメンバーを説得する力がある  
    自分ができないときは人脈、外部の知恵を活用して達成するように工夫している  

    • 評価方法

    チェックの数

    傾向

    25 立派な企画マンまですぐそこです
    24〜20 企画のスキルさえ身につければ、自信を持っても大丈夫です
    19〜15 企画マインドは十分です
    14〜11 企画のイメージにまけて、少し腰が引けています
    10〜6 日常に感じている問題を掘り起こすところから始めてみましょう
    5〜 もう少し自分の周りに目を向ける必要があります

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スキル事典98

発想マインドチェック


  • 発想マインドチェックリスト
  • 該当するものに、レ点をつけてその総数で、下記の診断に照らしてみてください。

設問項目

該当する

現状にいつも強い問題意識をもち、何とかしたいと考えている  
自分なりに課題・テーマを持続してもっている  
長期的な目標を持ち、一歩一歩それに向かっていくべく日々努力している  
自分の企画を考えていると、上司がどう評価するかを気にしなくなっている  
自分にしかできないこと、自分だからできることがあると思っている  
仕事についても自分なりの夢や将来像を描いている  
自分の斬新なアイデアや構想には自信がある  
仕事について、日々もっとこうすればよくなるという目で改善を心掛けている  
いったんはじめたら、とことん遂行していこうとする  
日々いろんなことに関心があり、仕事に使えないかと考えている  
嫌いな人のアイデアでも、良いと思ったら気にせず取り入れる  
人と違ったものの見方や視点を重視する  
自分と周囲との新しい関係づくりに積極的である  
組織や部門の枠にとらわれず、自分なりのものの見方や考え方を主張する  
仕事以外の人脈づくりや新しい知己を得ようと努力している  
他社、他業種、他業界、他団体等々にも顔見知りが多い  
自分の考えを分かってもらうために、主張や表現の工夫をする  
他人の意見やアイデアを引き出し、まとめていく力がある  
パーソナリティとして、異質な人間の言うことも聞く耳を持っている  
自分の仕事・経験に誇りをもっている  
いままでの専門、キャリアから外れた分野にでも取り組む姿勢をもっている  
顧客のクレームや苦情にまともに向き合って、それを解決しようとしたことがある  
顧客からの提案や要請を実現しようと、具体的な案にまとめたことがある  
自社の製品やサービスについて、その改善や改良を考えたことがある  
他社の製品やサービスを、自分ならこれより優れたものができると感じたことがある  
自分の企画を、製品やサービスとして実現させたことがある  
専門分野以外にも、関心領域が広く、読書の範囲も幅広い  
自社市場だけでなく、広くマーケットの変化に目を向けている  
いろんな人と何気ない会話や雑談をする機会が多い  
一人でも上司やメンバーを説得する力がある  
自分ができないときは人脈、外部の知恵を活用して達成するように工夫している  

  • 評価方法

チェックの数

傾向

25 立派な企画マンまですぐそこです
24〜20 企画のスキルさえ身につければ、自信を持っても大丈夫です
19〜15 企画マインドは十分です
14〜11 企画のイメージにまけて、少し腰が引けています
10〜6 日常に感じている問題を掘り起こすところから始めてみましょう
5〜 もう少し自分の周りに目を向ける必要があります

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スキル事典99

ビジョン力


  • ビジョンづくりの基本コンセプトと作成手順
  • ビジョンとは 自分の存在を示す旗であり,目指す方向を示す指先である

    基本理念+理想実現への意思

  これが,ビジョンです。基本理念とは,基本としている価値基準+企業の存在理由(目的)です。これを,一言で言えば「鮮明な旗幟」にほかなりません。「自分がここに存在すること」の表明であり,それは,どういう立場で,何のために,何を目指しているのか,そのことにどういう意味があると考えているか,の自らの確信を公にすること,つまり,明確 な“マニフェスト”です。


  • ビジョンづくりの方法と特徴

  • 徹底したディスカッション

    経営幹部の方々がご自分の中にある価値観や信念を,自分たちの手で掘り起こし,探り
    出し,見つけ出していくことが主眼となります。そのため当社コンサルタントとの徹底したデ
    ィスカッションに時間をさきます。この作業を通して,日常の事業経営の中で,気づかぬうち
    に確立されている価値基準,暗黙のうちに成立している機軸となるものの考え方,無意識
    で選択している行動基準,等々顕在化し,発見されることになります。

  • 私的パースペクティブ(ものの見方)の掘り起こし

    必要なのは,一般論ではなく,自社の事業の歴史の一翼を担う,経営幹部のひとりひとりの
    経営に対する,自社に対する,自社の事業に対する,自社の商品に対する,あるいは自社の社員に対する,思い入れによる偏りと好みのウエイトづけそのものです。まさに私的なものの
    見方の掘り起こしと洗い出しそのものです。それこそが,企業経営への価値や信念の基準
    を洗い出す水源にほかならないからです。


  • ビジョンづくりの基本コンセプト
    • ビジョンづくりの3つのアプローチ
      • 企業の事業領域・技術的ポジションの将来像からのアプローチ
        業界の将来見通し,技術的な革新の見通し,その中での自社の事業領域と技術ポジションの将来像をどうしたいのか,どうなりたいのか,どうありたいのかを洗い出し,ビジョンをカタチづくっていく。 ⇒現状での自社の強み・弱み,業界自体の強み・弱みの徹底分析が必要
      • 経営幹部の夢,理想からのアプローチ
        幹部自身の来し方行く末,自分の人生哲学,企業経営についての理想像,モデルとする経営者,モデルとする企業等を,炙り出していく(幹部層をどこまで含めるかによって現状批判色のニュアンスが変わっていく) 。
        ⇒経営者自身の強み・弱みの徹底分析と,自社の現状認識の洗い直しが必要
      • 中堅社員によるボードからのアプローチ
        会社の将来の幹部層に,自分たちの描く未来の企業像をつくらせていく。現実の技術レベルからの漸進的なものになるか,飛躍的なものになるかの岐路は,条件をつけるかどうかによる。現場の人間がつくりたいこと,やりたいことの集大成を制約なしにまとめさせる場合,自社の強み・弱みの徹底分析が重要になる

      われわれは,Aを中心に,作業を進めています。この根拠は,「幹部自身がみずから経営する企業のビジョンが描けないなら,一体いままで何をしていたのか」と,問われるほかないからです。つまり,ビジョンが「ないのではなく,明確になっていない」のであり,それを掘り起こし,カタチにする作業なのです。本来,リーダーたるもの,基本機能として,

      「旗振り機能」(自分の率いる組織が何を目指し,どこへ向かうのかの旗幟を明確に示せることが求められる)
      「維持機能」(その旗の実現のために,どう組織態勢をつくり,コミュニケー ションを取り,チーム力を維持向上させていくを工夫する)

      の2つがあり,ビジョンなしにリーダーシップの発揮のしようがないし,現にリー ダーシップを発揮してきた以上,拠所とした価値判断があったはずなのです。 そこで,作業の基本コンセプトは,経営幹部が本来抱いているはずの,経営や事業についての,潜在化している「基本的な価値観」「根本的なものの考え方」「理想とするもの」「願望」等々を,徹底的に掘り起こし,顕在化させることになります。

       

    • ビジョンづくりの5つのステップ

ビジョンづくりの切り口は,次の5ステップ(ステップは順序の意味ではありませんが)で進めていきます。基本は,

@時間的(時系列分析)掘り起こし
A空間的(広がり分析)掘り起こし
B「私」視点の掘り起こし

の3つです。必ず,私的視点が炙り出されるように進めていくの要点となります。


  • ビジョンづくりのステップ
  • ビジョンづくりの切り口は,次の5つのステップ(ステップは順序の意味ではありま
    せんが)で進めていきます。

《第1ステップ》

経営幹部自身の内面の徹底的掘り下げ ご自分のビジネスライフ,ビジネスキャリアの徹底的な洗い直し,ご自分の強み・弱みの洗い出し,ご自分の来し方・行く末をチェックし価値観(何を良しとし,何を悪しとするか),何を事業の必須条件としているか等々を炙り出す。

                                   

《第2ステップ》

外部環境・業界状況の時系列分析企業を取り巻く環境の読み,業界の見通しを,内→外,外→内の両面から,また過去→現在→未来の視点だけでなく,未来→現在→過去の視点からも分析,おかれている位置の見通しから,どうしたいかを読み取る。

                                   

《第3ステップ》

事業領域・技術的領域の時系列分析企業の事業領域,技術領域,商品領域などの各面での,時系列での変化,今後の見通し,技術革新,事業境界の消滅,国際間の競争の見通し等々を,過去→現在→未来の流れの中から読み取る。  

                                   

《第4ステップ》

外部環境・業界状況の空間的分析企業を取り巻く環境の読み,業界の見通しを,外周を内から外へ外へと漸次広げながら,今後いまの業際はどう変わるのか,どこが新たな競争相手として登場するのか等々をシミュレーションしていく。

                                   

《第5ステップ》

事業領域・技術的領域の空間的分析 企業の事業領域,技術領域,商品領域などを,固有技術の内側から,固有商品の側から,あるいは企業の内から,事業領域の内から,と順次外へ外へと広げていき,技術の新たな融合,業界の統一分離,事業領域の統合分割等々を見通す。

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スキル事典100

ケース・ライティング


  • ケース・ライティングのスキル

    ケースライティングでは,状況分析力,問題の解析力,解決プランの構想力が必要になる。しかし,それは,ケースライティングにのみ必要なのではなく,マネジメントに,リーダーシップに,目標達成行動に,つまり現実の成果ある行動に必要なコアコンピタンスにほかならないのです。

    • ケースライティングに求められること

    確かに,ケーススタディを通して,何を学ぶかによって,ケースライティングの狙いも,目的も変わってきますが,必要なのは,ケースを通して,問題の構造をつかめるかどうかです。これは,巷間,ケースライティングの要諦として言われているような,ケースに問題が構造化されていなくてはならないという意味では必ずしもないのです。問題の構造化されているかは,ケースが備える要件ではなく,ケース分析の要件なのです。ケース分析を通して,どこまで問題の奥行きを見極められるか,というような。

    もちろん,ケースが,そうした分析に耐えられるような構造が必要だ,というのは,見識だとは思いますが,われわれはその意見に組みしません。

    どんな“ちんけ”で粗悪に見えるケースでも,そこに事実がきちんと描けてさえいれば,構造はついてきます。現実に存在する問題の方がが構造化されている以上(だから分析で構造化が必要なのですが),ケースの事実を分析していくことで,おのずと,問題は構造化されざるを得ないのです。

    われわれは,ケースライティングを,いかにもプロフェッショナルでなくても描けないような,権威主義をとりません。誰でもが,事実を切り取ることをあやまたない限り,ケースになる,というのが持論です。問題は,ケース分析で,それにどんな額縁をつけて,教材なり素材として提示するか,という,使い方の問題に過ぎないのです。ケーススタディの方法論とケースライティングの方法論を混同するのを止めると,ケースライティングは,ずっと視界が開けるはずです。

    • 問題の構造化についての再確認

    通常問題の構造化というと,「問題と原因の因果関係」といったことになります。しかし,それでは,問題が,自分の外のことにしかなりません。問題と感じるのも,それを問題にするのも自分である以上,主体側のパースペクティブ抜きに,問題の構造化はありえません。したがって,

     @問題の空間化(ひろがり)
     A問題の時間化(時系列)
     B問題のパースペクティブ化(誰にとって,誰からの)

    の3つなくして,構造化はありえません。

    @は,問題のピラミッド化,あるいは問題のポジショニングです。ポジションとは,たとえば,人と仕事の系になっている組織の中での位置・機能関係です。ピラミッドの外(1ピラミッドを部署と考えれば,他部署,1企業と考えれば,社会)との関係の中で位置づけてみることです。その中で,「どこの誰(と誰)が,何をした(しなかった)から,どうなった(どうならなかった)」ことが,きちんとポジショニングできること。これが,きちんと描けることで,分析時に,構造化を可能とさせる。ここで,無用に構造化された問題にすることが大事なのではなく,きちんと事実が描けていること。事実は,そのままで,分析者側の能力に応じて,奥行きを開示するものなのです。

    Bは,その事実を描いている,あるいは目撃しているのが誰で,どこからそれを見ているのか,のパースペクティブが明確であることです。その位置に応じて,事実は違って見える(事実はひとつなどと子供のようなたわごとを言う人は,ケースライティングどころか,マネジメントの資格もありません)し,当然,問題も違って見えるのです。

     語っている「私」が,その問題を見ていることなのか

     語っている「私」が,その問題を目撃した人からの伝聞を語っているのか

     語っている「私」が,その問題を目撃した人からの伝聞を語った人から聞いたことなのか

     語っている「私」が,その問題の当事者なのか

     語っている「私」が,その問題の当事者の同僚なのか

    ひとつの問題でも,それぞれの立場によって,違ってきます。それは,意識しているかどうかは別にしても,その人にとって,見えている事実が異なっているからにほかなりません。

    @とBにAの時間軸を加えると,問題の時系列が見えてきます。過去を起点にすれば,過去→現在に(どうなったか),現在を起点にすれば,現在→未来に(どうなるか),それを見るパースペクティブも,その経時の中で,また変化を余儀なくされるはずです。そこに,また問題の構造も変わっていくはずです。

     はじめは,問題との隔たりが大きく,傍観者でしかなかった「私」(あるいは報告者)が,時間経過とともに,自分へと問題がシフトし,自らが,「どうするか」「どうしたいか」が問われる立場に変わることもあるのです。

    時間軸を通すことで,初めて,未来像(どうなるか)が視界に見え,当事者意識が問われることになる。どうしたらよかったのか(どうしなかったらよかったのか)は,自分が,主体的に関わるべきかどうかは,ピンポイントでは不明でも,時間軸を加えることで,“見通し”“予測”が問われることになります。それでも不問に伏すのか,それなら対岸の火事ではすまないのではないか,あるいは逆にそれならほっておいたほうがいい等々,ということの中で,問題の静的な構造が,動的で変幻する構造になっていきます。


  • ケースライティングの前提

ケースライティングをはじめる前に,まず,次の点を確認しておかなくては,そのケースの是非が判断できません。

@何のためにケースが必要なのか
A誰のためにケースが必要なのか
Bどういう効果(期待成果)を求めるのか
Cそれをどういう使い方をするのか
Dどのくらいの長さ,どのくらいの質量がほしいのか

等々,まず目的の明確化,続いて,目標の絞込みが不可欠です。それがあって初めて,どういう事実を,どんなところで集めるかがイメージできるからです。

その上で,ケースライティングは,次のように手順化されます。

  1. テーマ設定 目的のブレイクダウン(何のために,何をする)

  2. テーマのブレイクダウン テーマの細目化。問題の枠組みには,@問題解決型,A課題(目標)設定型,課題(目標)探索型等々がある。

  3. 事実へのアプローチ テーマの細目に沿って,現場,現実,現物にあたる。必ず5W2Hで。

  4. メイン事実の設定 中心となる事実を据え,そのポジショニングをする。

  5. バックデータ ケースの事実を把握するのに必要な,しかしケース本体には入れられない説明事項。背景,組織図,数値

  6. 事実をつなげる(ストーリーを描く) 事実のポジションと役割を割り振り,プロットを描く。その場合,問題の当事者,語り手(問題のパースペクティブ)を決める。それにあわせて,捨てる事実,見えなくなる事実もある。

  7. 書くスタイルを決める 書き方として,@経時的,A起承転結,B物語などがある。誰の目で,誰を主人公にを決める。誰の目=主人公であるとは限らない。

  8. ケース評価のポイント @リアリティ,A妥当性,B納得性,C人物の現実性

この手順を,実のあるものにするには,ケースライティングの実質である,

@どう事実を集めるか
Aどういう事実なら使えるのか
Bどう事実をつなげるのか
Cどう全体の構成をまとめるのか
Dどう書いていけばいいのか

を明確化できなくてはなりません。ここがなければ,ケースは書けません。


  • どう事実を集めるか

たとえば,「中堅女子社員の戦力化」をテーマとしたとします。すると,たとえば,

・女子社員をめぐる,社会的,法的状況
・中堅社員に求められている現実
・現場でのニーズ(あるいはニーズの不在)
・管理者側にとっての問題
・最もいま問題化していること,問題化しやすいこと
・本人と現場との“戦力化”をめぐるギャップ

等々,この問題についてのパースペクティブを描きつつ,ライターの問題意識,企業側の問題意識,女子側の問題意識を洗い出し,テーマをサブテーマ,サブテーマのサブテーマへとブレイクダウンしていきます。これが,事実を集めるときの投網の網の目になります。ここが粗ければ,粗雑な事実しか集められません。もちろん,途中で問題意識は整理し直すことは不可欠です。

こうしたテーマのブレイクダウンから,ニーズにふさわしい現場を絞り込み,具体的事実を集める作業に入ります。取材やインタビューそれ自体は,別のノウハウを必要としますので,それには深入りしませんが,事実集めの心得は,次の点になります。

@事実集めのフィルターを決めない
テーマや問題意識であらかじめ事実を想定し,取材側のフィルターを限定しない。想定外の事実は,こちらの問題意識が現実をつかみ損ねていた証拠かもしれない。課長が対象だからといって,課長クラスの中に必要な事実があるとは限らない。
A質にこだわるな
ブレインストーミングと同じで,質とは先入観である。まず事実を集めること。
B事実を自分の頭で整理するな
事実を自分流儀で整理すると,ニュアンスが消える。事実とはニュアンスである。そのまま,Aが〜と言った,Sが〜をした等々。
Cどの視点から見た事実かを確かめよ
事実は当事者から見たものか,目撃者から,第三者の伝聞か。
D事実の奥行きを確かめよ
ピンポイントの事実だけでなく,その背景,後日譚も拾っておく。
Eその事実への評価も確認しておく
それをどう見ているかは,現場の見解として,それ自体がまた事実となる。
F出来事のピラミッドをつくる
その出来事の相関図,位置関係を描けるようにしておく。

  • どういう事実が使えるか

では,集めるべき事実にはどういう要件が必要か。まずは,集める事実を,「管理上の」とか「トラブル」とか,あらかじめ枠組みをつくって,事実にスクリーンをかけることは得策ではありません。どんな出来事でも,組織の中で起こっている限り,組織の中で解決を迫られる問題です。それは私的だ,それは個人的な問題だ,という切り捨て方は,判断放棄です。個人的問題が,組織の中で起きたことが,問題かもしれません。組織の中で,問題視されたことが,問題かもしれません。トラブルも,上司にとって不都合なことがトラブルなら,それは上司の無為無策を示しているかもしれません。

困ったこと,トラブルという表紙が重要なのではなく,その中身たる事実が重要なのです。


【事実の要件】

@状態や行動レベルでとらえること
言葉や概念でまとめたもの,説明や評価は使えません。それを再度具体的な事実におき直さなくてはなりません。「臆病だ」はどういうときにどういうことをするのかが大事なのです。「頭が悪い」ではなく,どういうときにどういうことがわからないのかが重要です。

Aエピソードこそが命
当該出来事,人物の特性は,些細なエピソードの中に現れます。「まいったなあ」というのが口癖,「ついてない」ということを連発する等々。

B人と人の関係(行為,会話)でつかむ
相互の言葉遣いで,表面的とは違う関係,公式な指示命令関係とは違う関係が見える。

C出来事の時制をはっきりさせる
いつ起こり,いつ終わったのか。いつ気づいたのか等々。

D出来事が誰の立場で表現されているかの明確化(確認)
「S君をA主任がしかっていた」という事実に,誰(と誰)がそれを見ていて(伝え聞いて),誰に報告し,誰と誰が知っているのか,それを誰がどう評価しているのか等々。

「S君をA主任がしかっていた」という事実に,
・5W2Hで,なぜ,どこで,何について,どういうしかられ方をしたのか
・その原因,遠因,背景の具体化。それにまつわる周辺情報
・それまでの両者の関係。
・その後の経過。S君は,どうしたのか。A主任はそれについて何か言ったのか。
・それを目撃した人,その評価。噂話。どこまでそれか伝わったか。

Eひとつの出来事の連鎖性をはっきりさせる
出来事が一過性のものか,非連続的なものか,ずっと潜在していたものが突然現在化したのか,間欠的なものなのか等々。


  • どう事実をつなげていくか

集めた事実群を,どうつなげていくのか。つなげるというのは,
@事実群の間で,序列をつける
A目的からの取捨選択
B事実群の順序(起きた順,発見された順など)
てすが,ポイントは,第一に,誰の視点からかの,パースペクティブを決め,第二に,ウエイトづけをすることにつきます。

ウエイトづけには,

  1. 事実の求心化 事実をテーマで括って,順次,当初テーマへと集約していく

  2. 事実の遠心化 事実を因果関係で,中心問題から同心円で拡大していく

の2つがありますので,それを念頭に,事実の整序には,次のようなカタチがありえます。

@事実を括りながら,テーマのブレイクダウンに対応させながら,テーマへと集約していく
A時系列に従い,単純に生起した順に並べる
B因果関係に従い,並べていく
C各事実を空間的に整序し,場所的な関連性をつける
D出来事の新規性,面白さを中心において,配列してみる

この作業は,ある意味で,事実の作り出す空間をイメージする作業です。このままでも,ケースとしてのまとまりができてしまう場合もありますが,ケースとしての“結構”にまとめるには,もうひと工夫必要となります。


  • 事実をどうケースにまとめるか

ひとつのケースに,“結構”をまとめるとは,各事実をケースという全体の地図の中に,どう役割づけ,どう位置づけて,布置していくかということです。まとめ方の要件は,次のようになります。

@時間の整序,空間(場所)の設定が明確であること
A全体の事実関係,因果関係が一貫していること
B全体を制御する視点(語り口)が整合性をもっていること

最も重要なのは,Bです。問題のパースペクティブを描くためには,その要となる目撃者(当事者でもいいが)が不可欠です。事実とは,誰かに目撃されない限り,存在しないのです。

したがって,その事実が,誰の目から,どれだけの距離をもって(当事者,相手,関係者,第三者,無関係な目撃者等々),どう見られているか,です。ケース分析の「問題の構造化」を誘うに足る事実が必要だ,ということです。

この「誰」を,便宜的に,語り手と読んでおきますが,たとえば,「G課長が,S子を注意した」という事実を,どう取り上げるか,という問題に関わるのです。「S子は,G課長に注意された」とするか,「G課長は,S子を注意した」とするかで,視点の位置は変わります。その出来事を,誰が,誰の立場で,報告するかという問題でもあります。

《ライター>語り手>当事者》

些細なことのようですが,次の二つを比べてください。

「G課長は,S子を注意した。これだけ言えば,わかるだろうとG課長は思い,S子は,課長はいつも口先ばかりだから,言っていることとやっていることが違う,と思った」

「G課長は,S子を注意した。これだけ言えば,わかるだろうとG課長は思い,うつむいているS子の様子をうかがった」

前者が,事実を俯瞰する“神の視点”だとすると,後者は,G課長の目線に視点を固定した,“当事者の視点”ということになります。

確かに,前者は,すべての事実と心の動きをくまなく見ることができますが,これは現実の問題解決当事者の視点とは異なります。誰のパースペクティブで問題を捉えるかが,問題解決の第1歩゜だとすると,後者の偏った視点の方が,現実のわれわれの情報収集,目撃のあり方に近いはずです。後者の方が,その視点からの問題解決へとつながりやすいことは事実でしょう。しかし,同時に,その視点の限界を意識していないと,誤ったアプローチに陥る可能性はありますが。

この他の視点としては,

S子=私,G課長=私という視点
S子の視点
G課長やS子の同僚の視点

等々もありえましよう。要は,その語り手が決まることで,事実のパースペクティブ(視界)が決まるということなのです。たとえば,G課長の視点で描くとすると,すべての事実,情報は,G課長の目や耳を通したものであり,G課長の推測や感情のスクリーンを通しているということです。G課長の言動そのものも,そう本人が言っている通りかどうかは,留保した上でのことになります。

さらに,集めた事実も,すべてが,G課長を通した,間接情報に変わった形で,配置されるということになります。


  • どう書いていけばいいか

さて,こうした,予備的な作業のあと,全体をどうまとめていくか,ですが,まとめ方のパターンは,2つです。

@まず全体の流れを構想する→事実をそれにあわせて配置する
A事実のつなぎ方を工夫する→全体の構想が見えてくる

後者は,事実群のむ整理,関係づけの中から,全体を見つけていくのですが,前者は,皮袋を先に立てて,それにあわせて,事実を配置するということです。

ここでは,前者を例に,考えてみます。これは,ケースの目的,期待成果から,ケースの“結構”を考えていこうというものです。

たとえば,問題のタイプとしては,

・問題解決型
・課題(目標)設定型
・課題(目標)探求型

の3タイプになりますが,これをもっと噛み砕くと,以下のようにさまざまなパターンを考えることができます。

@突発の緊急事態を前に,どうしていいのかわからなくなる立ち往生型
A混迷した事態に,どうしていいのか考えあぐねている思案投げ首型
Bあんなことをするんではなかった,こうしておけばよかったと思い悩む後悔型
Cあれこれ片っ端から試みる試行錯誤型
Dあれこれ引っ掻き回してますます事態を悪化させてしまう悪あがき型
Eこれだけやったんだから仕方がないという居直り型
Fこれだけやったのにと落ち込む自信喪失型
G最悪の事態なのに,まだあきらめず,何とかしようと,次の一手を考えつづける粘り腰型
Hどうすればもっとうまくいくか,あれこれ考えて考え抜いている思索探求型
I意思決定に必要な情報の不足に悩み,あの手この手で情報収集をはかろうとしている情報探索型
Jあともう一歩で何とかなる,いいアイデアはないかと,やり方の工夫を探す助言支援型
K新しいこと,未経験なことでも,自分の力を過信して突進する猪突猛進型
L己の力をきづかず,臆面もなく自信をひけらかして敬遠される完全浮いている型
M自分は何をしたらいいのかがまったく自覚できていない役割喪失型
Nどうしたらせっとくできるのかがわからず立ち止まっているもっていき方探求型
O知識もあり,理屈はわかっているが,実践がいつも伴わない頭でっかち型
P周りに足を引っ張られて,泥沼に陥っている人間関係不信型
Qチーム内の人間関係が最悪で,目標達成に誰も意欲を示さない葛藤苦闘型
R部下が優秀で,手綱がさばききれず,振り落とされ気味の悍馬に翻弄される騎手型
S上司の思いつきに振り回され,部下からも見放されて鬱状態のストレス圧迫型

等々,無数のパターンがありますが,この方向性を枠組みとして,事実をつなげていくということになります。ちょうど,事実をつなげながら,全体をテーマに集約していくのとは,逆方向からのアプローチなのです。

さて,いずれにしても,最後に,事実を書き上げていくには,

@ひとつの立場からの情報・事実・推測で,
A(語り手の)主観による,偏りとゆがみをもち,
B問題のパースペクティブが不完全である

ことによって,ケースはケースらしくなるのです。そこから,問題のパースペクティブを描き,解決を練っていくためには,

・不足した事実や見えない事実を,ジグソーパズル風につなげられる
・推測可能な情報,伝聞が盛り込まれている
・問題のパースペクティブを描くための骨格となる仕事・人の系に漏れがない

ことが肝心です。ここを最後のチェックポイントとして,ケースを完成させていくことになります。

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