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ケース分析の手順

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ケース分析の基本マインド
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モデルケース分析

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ケース分析・解決は,ケースの現時点(つまり問題が起こってしまったいま)から過去のことは変更不能です。いまのこの時点から,どう事態を動かしたらいいのかを考えていくことになります。過去と他人は変えられません。このいまの時点から,誰の立場で,どう解決していくかを検討していくことになります。

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事実の提示−よく読むこと

 @これは,他社の事実に基づいて作成されたケースです。
 Aしかし出来事の全てを書いてはありません。書いてあることだけを使って研究して下さい。現実の職場でも,情報は質も量も限られ,しかも必要情報が手に入らない中で,意思決定せざるを得ないことがあるはずです。
 B事実を事実として,意見や推論と区別して把握して下さい。
 C不足は,現実にもそうするように,合理的な推論で補ってください。ただ,勝手に事実を変更してはなりません。

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事実の診断(状況分析)−事実関係の確認と把握

 @事実の背景,関係を把握して下さい。
 A何が起こっているのか,起こっている(起こる可能性のある)事実を洗い出し,把握して下さい。
 B事実と事実との(相互)関係を,把握して下さい。

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問題の分析(問題分析)−問題の洗い出しと解決すべき「問題」の絞込み

 @“誰の立場”(私が〜の立場なら)で“問題にする”のかを明確にして下さい(当事者意識の明確化)
 A
問題を明確にする。問題とは,現状と基準あるいは目指すものとのギャップですから,その解決によって到達すべきギャップとの距離をはっきりさせるには,自分がどうしたいのか,それを解決することで何を実現したいのか,つまり問題解決の目的が明確になっていなければ,「問題」が明確になったとはいえません。
 B問題の相互関係を把握し,問題に優先順位をつけて下さい。
 C“何を解決すべき問題とするか”を絞り込んで下さい(解決すべき問題=課題の明確化)

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解決手段を洗い出す−手段を選択し,絞り込む

 その上で,その距離を何によって埋めていくかが問題解決になる。大きく分けると,
 @目的実現の障害となっている原因を,「なぜ(何がそうしたのか)」「なぜ(何がそうしたのか)」と特定化していく,つまり何がないのか,あるいは,何ができていないか等々,できない理由や要因を洗い出す,“原因分析型” ,
 A目的実現に必要な手段,何をすればいいか,何があればいいか,何ができればいいか等々を,ブレイクダウンし,具体化していく“目的手段分析型”,
 があるが,両者を構造化してみれば,できない理由をできる手段としているだけである。これを,ステップ化のイメージで図解したのが図1である。ここでは,ギャップをクリアすべき課題@ABのうち,課題@をクリアすべき要因abc,要因aをクリアすべき要因イロハ……とブレイクダウンしていくプロセスのみを例示している。

【図1】解決手段の構造化

 このステップ毎の分解は,図2のようにツリー化できるはずである。同時に,それで本当にクリアできているかの,逆からのチェックも重ねていく必要がある。

【図2】手段のツリー化

 解決手段は,できるだけ具体的に,ピンポイントに特定できるまで掘り下げることが必要になる。その目安は,それで具体的なアクションが見えるかどうかになる。その上で,対策案を考えるとき,次の4つのスキルが有効になる。
 @更に手段を分ける,細分化する,分け方を変える,
 A分けた手段を同一対策でグルーピングする,
 B同一効果の対策で組み合わせる
 C他分野や他社での成功例を参照する(アナロジー)
 これを図解すると,図3のようになる。そこで洗い出した手段を,@目標達成に寄与する重要度の高い手段あるいはその組み合わせを選択,絞り込み,A緊急に必要な対策,短期対策,長期対策に分けて,手段遂行のプランニングを立てることになる。この選択・決定の背景は,「パレートの法則」(80対20)である。問題の80%は20%の原因から生ずる。結果の80%は20%の手段からもたらされる。実現手段間の関係を見つけ,相互に連関性をつけ,手段群の“へそ”(80%の解決を作り出す20%の手段)を見つけることになる。それは,解決策はあくまで仮説であるということを意味している。これを決して忘れて,それしかないなどと思い込んでははならない。

【図3】解決手段の選択

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解決策の行動プラン化−対策案の作成

 @誰の立場で解決を考えるのか(私が〜の立場ならこうする等々)を明確化して下さい。
 A対策の種類としては,

 緊急性の高いもの,
 短期的に立てるもの,
 長期に取り組むもの,

 がある。緊急性は,時間的に切迫している場合は,直ちに取り組む必要がある。短期と長期は必ずしも別のものとは限らない。全体の解決には,時間がかかる,あるいは時間が掛けられる場合,その第1ステップとして,当面何をしておくことが,次へと着実につなげられるかと言う視点で,ステップ化する。もちろん,事案によっては,使える時間が限定されていれば,まず何をしておけば,次につなげていけるかという視点が必要となる。いずれにおいても,図4のような,解決策決定の視野(パースペクティブ)がきちんと押さえられていないと,手順を間違えたり,完全な解決ができないで終わってしまったりすることになる。ここでも,解決策実現にとって,何が絶対条件かがねきちんと見極められていることが不可欠である。その鍵は,当初の「この問題の解決で何を実現しようとするか」という目的が明確かどうかが,ずっと尾を引くことになる。

【図4】解決手段の手順化

 B対策の選択基準

 通常,仕事をしていれば,誰でも,ふつう一つは解決策を持っているはずである。いままで通りでよければ,ひとつは対策が思い浮かぶ,それではまずいから問題が起きている,とすれば,すぐ思いつく解決策は捨てて,それ以外を考えることが必要になる。
 当り前のことながら,解決案を立てるのは目的ではない。目指しているものを実現してこその解決策である。といって,実現できさえすればいいのではなく,その問題解決の目指している目的が実現できなくては仕方がない。
 そこで,解決案については,それがないと目的実現とはいえないもの(絶対に譲れない条件)が実現できているかどうかを評価基準として,それを満たす対策の中から,リソース(ヒト・モノ・カネ・時間・ノウハウ)との兼ね合いで,できれば望ましい条件がどれだけ達成できるかで,対策案をウエイづけをし,選択する必要がある。少なくとも選択肢として,2つ以上の案を考えておくのが常識である。


 C成案は,5W3H[注]で,具体的に実行計画を立てて下さい。

 実現できてはじめて解決策が完了するのだとすれば,選択した手段の実施計画を策定してはじめて,解決策ができたといえる。解決策が実現できないには,
 ・プランニングにおいて,手持ちの手段・資源の見積もりを高めに見誤った
 ・プランニングにおいて,手段具体化,手順化の詰めが甘かった
 ・プランニングにおいて,日程見積もりのスケジューリングが甘かった
 ・見通しが甘く,予期しなかった障害が発生し,立てたプランの進行がが大幅に狂った
 等々といったことがある。これを防ぐには,
 ・それを達成(実現)するために何をしたらいいか,そのための方法にはどんなものがあるか,を具体的,多角的に洗い出すこと
 ・どれからやることが重要か,選択手段の優先順位を立て,手順化すること
 ・実施上予測される障害をできるだけ洗い出し,あらかじめ予防策を考えておくこと
 がプランの中に盛り込まれていなくてはならない。そこまで検討してはじめてリスクは具体的に見えてくるはずである 。

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対策案の評価−実現可能性と現実性の評価

 @決定案のマイナス面をチェックして下さい。
 A決定案の実行可能性を,阻害要因を考えて検討して下さい。

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[注]5W3Hとは,
何のために(目的)
何(と何)を(目標=期待される成果)
誰(と誰)が(実行主体,共働者,協力者)
いつ(からいつまで)に(期間,期限)
どこ(とどこ)で(担当部署,実施場所)
どういう手段と方法で(実施の道具,手立て,使える資源)
どういう手順とステップで(実施の段取り,スケジュール)
どれくらいの予算・コストで(必要な経費)
 

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