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モデルケース分析3

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ケース分析の基本マインド
ケース分析の手順
ケース分析チェックリスト

ケース分析シート例
モデルケース分析

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「ケース分析」モデル2

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事実関係の要約
何を問題とするか
問題の構造化
何を最重要視するか
原因の分析
解決策

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原因の分析

問題の
構造

表面上の問題
(
とりあえず問題とみえること)

隠された問題
(
その背後にみえる問題)

根底となる問題
(
底辺にある問題)

     それはなぜ      →                                それはなぜ      →

 

 

 

起きている問題点

・有田課長の部長とメンバー間の板ばさみ

現場情報を集めるほどに,情報・知識・経験に圧倒され自信を失っていった

・岡本主任に,「示された方向に沿って情報は集めたので ,それをどうまとめるかはチーフの責任」と言われても,まだ迷っている。

・部長に打ち明けると,「自分の考えでもとめろ」と指摘されている

・分担を受けたとき,何か根拠があってではなく,「部長の指示をそのまま」受け入れている。したがって,メンバーの反発に答える根拠,信念を持っていない

・有田課長の示した方向というのは,「現状打破という,今回の問題意識」がない,「〜の情報」をただ詳細化して集めただけのものではなかったか

・部長の言う「今回の問題意識」を共有化しておらず,集めた資料から何かを考えようとしている。

企画調査部,各チームの役割,使命,そこでの自分のチームリーダーとしての役割のようなものが十分頭に入っていなかったのか

・メンバーに,「始めからわかっていたこと」「それがわれわれの趣旨」・と言われている。

「情報は集めるだけ集めた」と言われている。どちらにしても,分担から言っても,結論を出すのが役割である。

 

 

その原因

マネジメントとしても,有田課長が何に自信を持っていたのか,そしてなぜそれを失い,そしてまた自信を取り戻し,また失うということを繰り返しているのかが,具体的な業務遂行や指示命令の結果としてのカタチとして全く見えない。つまり,何もしていないのに自信だけ膨らませたりしぼませたりしている,根拠のない自信。

・確信をもって,信念を持って射ない以上,自分自身の方向性,チームの方向性も,確信をもったものではなかったのではないか

そのために,周りの変化に応じて,揺らいだのではないか

有田課長は,自分の部門の機能,チームの役割,チーフの役割として何をすべきなのかを十分自覚していない。

「何のために」資料を集めるのか,集めた資料で何をするのか,を考えて指示していない

 

 

新任なら,まず自分の部門の機能,チームの役割を部長と確認しなくてはならない

・部長として,部門の目的を明示しているはずである。とすれば,その確認なく,自分のチームの役割は定まらない。それが定まらずに,自分の役割・責務は定まらない。しかし,その確認をしているようには見えない。

またチームメンバーと,「問題点を明確化する」ために話し合ったが,・一体目的も目指すものもはっきりしないのに,どういう問題点を発見しようとするのか。

・当然,メンバーが,チーフに期待すること,チーム自体に求めていることの確認,刷り合わせができていない

 

 

その原因

・確信と方向性の根拠はのひとつは,自分自身の知識と経験。これについては,「問題解決能力」という言い方で自信を見せたが ,それは過去の仕事の経験に基づくものであろう。しかし,それが,・ メンバーの反応,事業部とのやり取りを通して崩れていった。今回の仕事は,スタッフとして全社的視点でモノを考える仕事である。いままでの仕事は,事業部的仕事をだったと推測される。

・確信と方向性の根拠はのいまひとつは,自分の役割への確信である。それがつくれているようには見えないし,その必要性について全く気づいていない。

・自分の考えるチームの目的とメンバーの自分への期待,チームの目的への問題意識との刷りあわせができていない。そのためにチームとしてのベクトルあわせができていない。

・そのため,明確な目的意識,各自の役割意識があいまいであり,資料収集に当たっての「問題意識」も刷り合わせられておらず,チームとしてのチームワークのある資料収集ができていない。

・最後の結論も,そうした情報収集を通した一貫した作業の結果として,チーム一体となった提案としてまとめられない力。

岡本主任の「そんな大きな問題を簡単に決められては困ります」というのは,単に自分たちに相談なくというだけの意味ではなく,どうせ受けるにも ,きちんとした問題意識の刷り合わせをし,役割分担,達成見こみを検討するべきで,それなしに安易に丸ごと受けたことを批判している。

岡本主任の冷ややかさには,スタッフとしての仕事への自負とその仕事の仕方の分かっていない有田課長への批判があると見える。

チームの一体感がないので,上位者やヨコへの影響力がなく,これが分担を押し付けられる結果となった。

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解決策

基本的な解決スタンスを,有田自身が,いまの事態を乗り切るためにはどうすべきか,という視点で検討する。言外に,もし有田がそれができなければ,調査部スタッフのマネジャーという職種には向かないと評価されることを意味している。

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当面

1週間以内に,メンバーの集めた現有の情報から,自分で結論をまとめる」

実行プラン

再度部長と会い,部長の企画調査部への目的意識,方針等々の“旗”を確認するべきである。

更に,今回プロジェクトの全社的戦略,方針,またその位置付け,結果の取り上げられ方,自チームの結論のプロジェクト全体の中での意味,それを受けた部長の使命,方針を,恥ずかしいが,再度明確にしておかなくてはならない。

ここまでに,1日も要すまい。次に,それを受けて,

プロジェクトの目的達成のための自チームの役割を明確化し,何をすべきなのかという方向性を,改めて再確認する。

そのための自分の役割を再確認し,何を果たすべきなのか,何をすることを期待されているのかを,自分なりに整理する。

その上で,全社的に見て,不採算事業の評価,採算化計画について,自分なりの考え方,どうあるべきなのかをまとめていく。これがないまま資料を集めてしまったから,集まった多分資料はズレており,不足もある。しかし,いまある資料の中から,一定の判断をするしかない。

その補足として,チームメンバーと,資料収集を通して感じたこと,意見,印象等々を聞く。一種の二次情報となるが,資料収集を通しての各人の感覚・評価も,重要な情報源となる。

そのとき,必要なら,自分の問題意識をぶつけて,更に収集情報にはなかったが,見聞情報を拾っておく

ここまで2日もかからない。ここから5日間,自分自身で,知識,経験,発想等々,自分の使えるあらゆる資源を駆使し,資料を徹底的に読み込み,分解し,バラバラにして,一定のグループ化をした上で,取捨選択しつつ,自分としてのストーリーを築き上げ,提案としてまとめ上げていく(絶対条件)。

この報告書が結果として,評価が低くても,それは己れのマネジメントのつけである。甘んじて受けるしかないが,メンバーにも,その責の一部がいくのはできる限り避けたい。できれば,部長に提出する前に,1〜2日余し,メンバーに(読むことを拒むかもしれないが)読ませ,少しでも修正する時間的ゆとりがあることが望ましい(希望条件)。

《予測されるリスクと障害》

自分が,きちんと部門とチーム,自分自身の役割を押さえたとき,問題意識を持てるかどうかである。前任職が,ライン職種であったと推測されるが,事業部という内部指向の視点ではなく,社会環境,市場,競合状況等々を加味しつつ,全社的視点で,わが社はどうあるべきか,そのためには,不採算事業はどうあるべきか,という検討ができるかどうかである。これは,経営的視点であるが,経営的視点でも,内向き,数値的分析であれば,意味がない。「世の中レベルではどうか」「世界の変化の中ではどうか」という,市場動向,消費動向などをにらんだ,外からの目,外を見る視点,が不可欠となる。しかし,有田課長は,どんなに付け焼刃を加えても,短期間にそれをもてる可能性は低い。今回報告書のレベルはあまり期待できないかもしれない。

したがって,障害の克服としては,どれだけリスクをクリアするかという視点ではなく,どこまでマイナスをゼロまで押し上げられるかという観点から対策を立てるほかはない。

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長期

「自分自身の適性を自分で判断し,どうしたいのかを明確にする。その他はそれ次第で決める」

実行プラン

長期的解決策は,本来なら,スタッフ的視野でものが見られる能力の開発となるが,ここは,本人がそれを望むかどうかである。まず,自分自身のキャリアについて,どうしたいのかを,徹底的に考えることだ(絶対条件)。そのためには,部長に相談し,部長を巻き込むことも必要になる(希望条件)。

もし,自分は現業が向いていると思えば,今回のことを自己認知の機会として,現業へ戻るのがベスト。しかし,再度チャンスが与えられ,自らもやりとげたいと考えるなら,次は,きちんとチームの目標を設定し,メンバーそれぞれのキャリア,知識,スキルを見極めて,役割分担をし,各自の自立性に委ねる部分と,全体としてベクトルを合わせ,スケジュール,成果の整合性をとる部分とをきちんと方針徹底し,プロセス管理をする必要がある。

この前提は,まず,自分自身が徹底して,プロジェクトの目的・目標を咀嚼し,そのために何をすべきか,何が不可欠かを考えつめた上,チームにブレイクダウンしなくてはならない。「大きな問題を簡単に決めない」とはそのことであろう。そこから,チームはどうしたらいいかの方向性が生まれる。これなしではリーダーは,メンバーと同列のプレーヤーとなる。

再度チャレンジする場合,

まず部長と徹底的に話し合う必要がある。場合によっては,自分の仕事のサポートのために,どういうときに,部長を巻き込むかも,考えておく必要がある。たとえば,資料収集の方針を固めたときに,部長と刷り合わせ,報告書の概要をまとめたときに,部長と刷り合わせる,といったように。これを通常,報連相の相談と言うが,「相談」とは,上司を自分の問題状況に巻き込むことだ。

また,メンバー特に,岡本主任とは,前回の非を率直に詫び,方針,方向を立てるときには,岡本主任をも巻き込むことだ。彼の参画意識を高めることで,メンバーにも参画への意欲を高められる。

その上で,明確な方針,ビジョンの上で,チームとしての情報収集を徹底すること。この間には,つまらないノミニケーションよりは,収集を通しての相互の問題意識を交換しあい,方針や方向の軌道修正をはかっていくことが必要になる。

こういうカタチで,マネジメントを意識的にステップアップすることを通して,おのれのやり方を作り上げ,スタッフ・マネジャーとしてのスキルを高めていくほかはない。プロフェッショナルとアマチュアの差は,おのれ独自の方法論を持っているかどうかである。どんな未知の事態に遭遇しても,またどれだけ事態が変化しても対応する術をもっているかどうかである。マネジメントもスキルである。たとえ始めはアマでも,意識的なスキルアップを通して,プロになれる。もちろん,プロとしてのレベル差は厳然としてあるが。

《予測されるリスクと障害》

仮に再度チャレンジすることが許されても,一段落すると「ああよかった」で,上記のような意識的な努力の積み重ねを継続しようとするかどうかが一番の問題になる。

さらに,どんな仕事も慣れれば,そこそここなせる。スタッフ業務も,仕事として慣れてしまえば,いつのまにか,ルーチンとしてこなせるようになり,一々目的意識を刷り合わせたり,メンバーとの丹念な問題意識の交換をしなくなる,という可能性が高い。それは自分の中にスキルとして何ものこらないということを意味する。

最悪は,このまま,何も考えず,のんべんだらりと,次のプロジェクトにも引き続き関わり,同じように,うろうろ,ばたばたすることだ。これによって,部下は意欲をそがれ,成長するチャンスを逸する。

障害の克服としては,どうすれば,自己革新を継続するかではなく,自己革新せざるをえなくするにはどういう方法があるか,という視点で対策を立てるしかない。

以上の,分析結果を踏まえて,「ケース分析シート」へ整理する

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