• マネジメントという知識とスキルの意味

(1)能力とは

 ◇人の能力を分解すると,次のようになる。

能力=知識(知っている)×技能(できる)×意欲(その気になる)×発想(何とかする)

        ↑                ↑                 ↑                 ↑  

    学習                       訓練                       職務割当                       役割意識

(2)知識の種類

 ◇「知っている」と「できる」

知識には,
Knowing That
(宣言型知識,つまりいわゆる「知っている」こと)
Knowing How(手続き型知識,つまりやり方が「わかっている」「できる」こと)
がある。

Knowing Howは,適切な文脈や状況で,一貫して出現し,現れ方は多様でも,全体として同じ目的・意味の結果の算出につながり,常に可能態として,出現しうる用意のできている,知的性向(行為の可能性)を指す。たとえば,自転車の運転やスキーの技量等は,必要になると,いつでも「できる」状態にある。

Knowing Howが現実の場面で,表に出るものとすれば,Knowing Thatは内的世界での,つまり知的世界でのKnowing How(その問題ができる,そのことがわかる等々)ということができる。だから,Knowing Thatは,知識に擬せられ,Knowing Howはそれを使う問題解決能力に擬せられる。

・問題を解くKnowing Howは,解き方の背後にあるKnowing Thatがあってはじめて「わかっている解き方」となる。問題解決の手続き的知識を修正していくのは,変更したり,新しく発見したり,全く新しい領域に応用させたりする,「手続きを修正し生み出す手続き」にほかならない。

 ◇マネジメントにおける知識とスキル

つまり,マネジメントの知識があっても,現実の場面のさまざまなバリエーションに対応できなくては,マネジメント能力があるとは言えないが,現実処理だけに長けていても,それは無原則の,その場主義になる。だから,「知っている」とは,本来,

・現実に出くわした出来事やトラブルの解き方・処理の仕方にKnowing Howを生かせる こと。

・事柄や状況の意味を,自ら納得できる文脈に置き換えたり,自分の知っている他の 事物との関連で理解したりするKnowing Thatを生み出すスキルをもっていること。

の両方があいまっていなくてはならない。

  • ケーススタディの意味と効果

(1)何が身につくのか

 ◇マネジメントのKnowing howを習得

人の能力=×××をマネジメントに当てはめると,マネジメント知識×マネジメントスキル×意欲だけではだめで,それに,目的意識,役割意識から,“何とかする”ことが必要ということになる。ManagementManageとは,「何とかして(所期の目的を))達成すること」というニュアンスがある。まさに,知識と経験を使いこなして,現実の事態をやりくりすることこそが必要になる。それを,マネジメントの実務能力と呼ぶとすると,それを身につけていくには,現実に,さまざまな事態を,自ら考え,解決のための行動を,数多く経験するしかない。ケーススタディは,そうした経験を,選択したケースの中から,擬似的に積む機会として,研修手法として導入された。まさにケースを通して,マネジメントのKnowing howを習得していく。

◇ケーススタディは,ハーバートビジネススクールのNBAコースで使われるハーバート方式が有名だが,日本でも慶應ビジネススクールで同方式によるケーススタディが使われている。このケースは,20頁にも及ぶ長大なものがあるが,その他に,日本では,人事院方式に代表される,テーマや領域,目的を限定したケースが多くビジネス研修の場で使われている。

(2)ケーススタディの意味

 ◇ケーススタディは意思決定のプロセスのシミュレーション

  ケーススタディのプロセスは意思決定のプロセスのシミュレーションである

  ・問題状況を把握する

  ・問題の優先順位を決める

  ・その解決策を決める

  ・そのプラスマイナスを検討する

  ・それを実行する

という意思決定のプロセスは,そのままケーススタディのプロセスとなっている。いわばマネジメントの,問題処理,問題解決から始まって,解決の代案の策定,その実行プランのプランニングまでの,意思決定プロセスのさまざまなバリエーションを,擬似的に体験していくことになる。たとえば,意思決定における決断力の背景として,ひとつの解決策にこだわるのではなく,状況に最適の解決策をどれだけ幅広い選択肢の中から選べるかがあるが,ケーススタディでは,そうした選択肢の幅を広げる訓練となる。

 ◇変化の激しい状況に対応できる,状況対応力,事態対応力を養う

知識は,いわばピンポイントでとらえた決算書である。絶えず変化し,新しい事態が次々と起こる職場のマネジメントに対応するには,固定された知識での「〜でなくてはならない」という固い発想では対処できず,「現実に,さまざまなタイプの問題を,自考えて処理することを通してしか」身につかない。これをカバーするために,「問題解決」のタイプをパターン化し,試行錯誤のロスなく,ケースを通して,さまざまな事態の解決行動を体験し,それへの対処力を養うことができるのがケーススタディの特徴である。


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