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インバスケット&インシデントケース

インバスケット・ケースの進め方

 

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インバスケットの進め方

インバスケットでは,与えられたシチュエーションで,擬似的にある役職者の立場に立ち,与えられた意思決定を要する事項20件程度に,一定時間内に,優先順位をつけ,どう処理するかの指示を出すことを求められる。

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インバスケット・ケース例

 これからあなたにやって戴く演習は,「インバスケット・ゲーム(In-Basket Game)」と呼ばれるケーススタディの変形です。「インバスケット」とは,管理者の机の上においてある決裁・未決裁箱(In-Out Basket)に由来しております。

 通常,このゲ演習では,〜部長とか〜課長になったつもりで,処理しなくてはならない未決裁情報(メモや手紙や報告書等の書類)を,制限時間内に,その事柄の重要性を考慮しながら,意思決定することが求められます。

 ここでは,与えられているのは処理しなくてはならな20件の未決案件だけです。それを,何のために,何(から)何を,どう処理するかは,すべてあなたにゆだねられています。あなたに与えられているのは,「何かをしなくてはならないという状況」なのです。その中で,与えられた未決案件をウエイトづけし,何をなすべきか,なさざるべきか,を自らの情報分析,読みを通して,決定し,決断なくてはなりません。求められるのは,手持ちの情報の処理に必要な,的確な状況分析,情報分析です。

【あなたの所属する会社の概要】

 株式会社東洋機械は,大阪に本社を置く,産業用自動工作機械メーカーで,国内第4位のシェアである。近年,ロボット技術を駆使した廉価な自動工作機械の発売により,売上を伸ばし,業界3位の三晃精機との差を詰めててきたが,IT化の流れの中で,機械本体の強化と共に,ソフトと組み合わせた効率的な生産体制を提案していくといったシステム強化への対応に迫られている。

 当社は創業40年で,創業当時は町工場向けの旋盤,ボール盤を製造・販売し,特徴のあるメーカーではなかったが,ベトナム戦争時に発売した自動旋盤がヒットし,一躍大手の一角に迫る地位を獲得した。現在は,FA化に対応した幅広い工作機械を開発,ユーザーへの直接販売で,販売活動を行っている。

【あなたのおかれている状況】

 あなたは,鶴岡雅彦。15年前に入社し,5年間製造部門に在籍,機械製造に従事してきたが,販売強化の方針に伴い,営業部門に異動。以来,10年間,東京,大阪で販売第一線を担当してきた。営業配属後5年で,監督職である主事,その5年で課長に昇進した。メーカーとしては早いほうである。

 本年始め,新年度の組織改革が打ち出された。これは国内の景気が低迷する中で,IT革命にいち早く対応するためにも,開発と営業を強化し,他方管理部門は徹底的にスリム化し,利益重視への一層の体質転換を目指していた。
 営業の責任者には若手が抜擢され,あなたも課長昇進と同時に,仙台支店長に転出した。

 今日は,3月3日(月),あなたは,3月1日付けの辞令で仙台支店長を命じられ,昨日単身赴任したばかりである。

 前任者の矢田部竹男氏は,業績低迷の当支店を強力なリーダーシップで,3年間で立て直した有能な支店長で,このたび本社企画部長に転出した。

 仙台支店の業績は,ここ3年で立ち直ったが,設備投資の低迷の続く中,他社が,当社市場への猛烈な売り込み攻勢をかけており,今期に入ってからその影響が出て,前期は予算達成ができず,今期の見通しも予断を許さなかった。

 いまは,午後5時,あなたは当支店最大の取引先(卸)である,南雲商会に赴任の挨拶を終え,支店に戻って未決事項の処理をしようと思っている。

 明日から3日間,本社での全国支店長会議が予定されており,あなたはその席で,自店の改革についての方針および施策を発表することになっている。このため,あなたは,今夜午後8時00分の新幹線で出発しなくてはならない。

 支店には,支店長を補佐する梶野次長がいるが,昨日実家で不幸があり,今日は出社できなかった。梶野次長にはお悔やみの言葉を述べただけで,仕事の話をする余裕はなかった。あなたは,不在の間の処理を,出発までの2時間でやっておかなくてはならない。

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インシデントケースの進め方

 インシデントプロセスは,正式には開発者のイニシャルをつけて,ピゴーズ・インシデントプロセス(Pigors Incident Process)と呼ぶ。このプロセスは,与えられたインシデント(出来事)から,その問題の幅と奥行を想定しながら,必要な情報を収集・分析して,当該ケースの適切な課題の解決を図っていく。なお,インシデントケース分析のポイントは,ここをご覧下さい。

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インシデントプロセスのステップ

 ケース分析のステップとしては,次の5段階を取る。

第1段階 インシデント(出来事)からスタート 

たった今ある事が発生したという想定のもとに分析を始める。       
・インシデントは,映像や口頭のこともあるが,多くは,文面で,「ケースを考えるための課題(設問)」のスタイルで与えられる。
・メンバーは,どの辺りが不明確なのか,何を確かめるか,何が手掛かりになるか,等々問題状況を明確化するために,相互に確認する必要がある。

第2段階 ケース全体の状況を把握・整理 

組織的にかつ協力しあって,全体を掌握するために,どういう事実を集める必要があるかを検討する
・そのためには,これはどういうことか,これはどうなっているか,この背景は何か,この根拠は何か,これはどういう関係になっているか,といった設問がどれだけ的確にできるかが重要になる。
・設問の鍵は,ケース全体の構造,時系列,因果関係,状況等を,分析し,それに対してひとつひとつ確かめていく観察力が必要になる。
・集めた情報は,関係づけ,序列化し,ブロック毎にグルーピングする。

第3段階 処置すべき問題を決める

情報ブロック毎に関係づけをし,順位づけして,何をすべきなのか,対策の焦点を絞れるように,情報をウエイトづける。
・ウエイトづけの仕方は,目的に対する優先度でつける。
 “絶対基準”(これがなくては目的達成ができない必要不可欠な条件)は何か。
 “相対基準”(目的達成にとって望ましい,好ましい条件)は何か。

第4段階 決定とその理由

解決の方向を絞ることによって,解決可能の対策を複数立て,その選択をしていく。
・選択基準については,合目的性と合理的根拠が必要である。
・選択と根拠についてはコンセンサスが形成されていなくてはならない。

第5段階 決定の振り返り

ここでは,当該ケースの解決策の相互比較を通して,プラス・マイナスの要因を検討する。
・また時代や状況の違う現実との共通性,今後の類似事態への適応性等々を振り返る。

 

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インシデントケース例

 1911〜12年の10〜3月にかけて,ノルウェーのオルセンとイギリスのムーアは,期せずして南極点一番乗りを競い合うことになった。結果としてムーア隊をおさえて一番乗りを果たしたのはオルセンであったが,彼に対して,大国イギリスを中心に,数々の誹謗中傷がなされた。

 オルセンについて最初に報じたのは誤報からであった。12年3月初め,タイムズ紙は,「ニュージーランド・ウエリントン発,未確認であるが,当地で流布している噂によると,ムーア大佐は既に南極点に到達した模様で,オルセンがそう述べた……」と報じた。しかし,3月7日,オルセンがオーストラリアから発した,初到達を知らせる電報が明らかになると,3月9日には,渋々オルセンの初到達を認め,しかし「事に当たって彼がとった方法に,いかなる感想を抱いていようと,われわれはその成功を祝すべきである」として,これがイギリスによってなされたのなら,もっと喜ばしかったであろうという気持を偽る必要はない,と報じた。

 ムーアたち極点隊の遭難・全滅が明らかになったのは,翌1913年2月,ニュージーランドについた出迎えのテラノバ号の,ムーア探険隊からの次のような,第一報によってであった。

 「極点隊が帰らないまま冬を越した我々イギリス隊は,昨年10月末になってやっと動けるようになり,犬ゾリと馬で編成した総勢11人で,10月30日,11月2日と,隊を別けて捜索隊を出した。12日になって,1トンデポから20キロの地点に,雪塚を発見,ほとんど雪に埋もれたテントを掘り起こし,ムーア等が3人が横たわっているのを発見した。ムーアの枕元には,日記,手紙類,写真のフィルム,地質標本がきちんと整理されて置かれていた。」

 この報告後は,イギリスは批判の方向を転じ,勝者オルセンのスポーツマン精神を攻撃した。北極に行くと出帆しておいて,途中で唐突に南極に目的地を変えたこと,しかもそれを秘密にしていたことは,これまでの南極探検の歴史上保たれてきたフェアプレイ精神を欠いた,礼儀に反する行為であると,非難した。そして,「彼らは一番楽な道をとったのだ」「有名な探検家ナンセンが南極探検隊に加わりたいと申し出たのに,彼は断った。成功の栄誉を独り占めしたかったのだ」等々といった誹謗が相次いだ。

 最たるものは,そうそうたるイギリス人探険家をメンバーとするイギリス王立地理学協会の悪意に満ちた対応であった。
 13年始め,オルセンを招待したイギリス王立地理学協会会長のカーズン卿は,彼の記念講演の後,講演の中で,オルセンが「われわれの成功には大いに犬が役立った」と述べた言葉尻をとらえ,次のような祝辞を呈した。
 「この祝辞にあのすばらしい犬たちを加えたらいかがかと思うのであります。彼らは人間の貴重なる友であり,彼らなくしては,オルセン氏も南極に達しえなかったことでありましょう。オルセン氏を南極点初到達に導いた犬たちのために3度祝杯を!!」
 オルセンは,そのときには何も応えず,別のところで,こう応答している。
 「完全な準備のあるところに,常に勝利がある。人はこれを“幸運”と言う。そして不十分な準備しかないところに必ず失敗がある。これが“不運”と言われるものである。」

 1913年の夏,ロンドンに住むノルウェー人実業家,スコルセンは,子供が学校で,「南極点の到達者はムーアである」と教えられたと聞かされる。それは真実ではない。が,学校での教えは子供にとって権威ある真実なのだ。ノルウェー人としての誇りということだけではなく,真実がないがしろにされていいはずはない。イギリス人ムーアとノルウェー人オルセン,この2人の極点到達競争は正確にはどんな経緯と,どういう結果をもたらしたのか,客観的に明らかにしなくてはならない,とスコルセンは決意した。

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インバスケット,インシデントを使った研修については,ここここをご覧下さい。

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インシデントケース分析のポイントは,ここをご覧下さい。

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ケーススタディ研修頁

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ケースの構造

ケーススタディ研修の進め方
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問題解決関連参考文献
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