1.企画は3つの問い直し 7.コンセプトをつくる 8.コンセプトのプロファイル化 9.コンセプトの実現手段を煮詰める 10.コンセプト実現手段の具体化手順 11.企画構想をまとめる 12.行動計画を練り上げる 13.企画にまとめる “コンセプト”具体化をすすめる上での基本的な考え方を整理しておかなくてはならない。 ●コンセプト具体化の手順 コンセプト具体化の手順を一覧化するなら,下図のように構造化できる。 ここでは,便宜的に2段階までしか降ろしていないが,手段が特定されなければ何段でも落とさなくてはならない。手段を,できるだけ特定の行動目標にまで落とすことがここでの目的である。すぐに「何から着手すればいいか」「何を調達するか」「何をするか」がわかるくらいの行動レベルまで絞り込めたかどうかである。 このやり方は,「コンセプト」を目的として,その実現に必要な手段を徹底的に洗い出す,下記の目的−手段分析の考え方に基づく。「目的」実現のためにどういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか) →その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)………と,手段を次々にブレイクダウンしていく。これがモノなら,そのモノの働き(という目的)を実現するためのどういう機能が必要なのか,という機能分解に当たる。 上記はラフな機能系統だが,こうした目的−手段分析による機能整理に基づいて,機能評価をし,どう価値改善をするかを検討していくことになる。ここでは,価値分析よりは,機能分解を通して,機能間の整理統合,たとえば,「ガスの放出と着火の作業を一体化できないか」とか,機能の省略,たとえば,「手の力を伝える」部分をカットし,「手の力を受けたら即着火につなげることはできないか」という発想の着眼点になる部分にウエイトを置いておきたい。 ともかく,こうして最終的に,個別の「何」「何をする」にまで具体化されるほど手段を細分化していく流れは,行動目標を特定することにつながるはずで,それは,そのまま必要なものを,何をどこで調達するかの段取りのステップにつながるはずである。たとえば,「醤油味」を具体化して,どういう味にする→「薄口」→「〜メーカーの何々」と特定化していくと,何をどこで調達するかが特定されるということがイメージしやすいはずである。
●手段の最適組み合わせを見つける こうしてブレイクダウンした手段をすべて使うのではない。そのどれとどれを一体化するか,どれを省くか,どれとどれを組み合わせるか等々,この目安は「コンセプト」である。あくまで,コンセプト実現の手段を洗い出しているのだから,コンセプトのイメージを羅針盤に,どういう組み合わせがコンセプトにふさわしいか,構成要素とその実現手段の最適化を図るため,手段を大胆に取捨選択し,組み合わせる。「選択」とはウエイトづけ,「最適組み合わせ」とは注力する焦点を絞ることでなくてはならない。この場合,次の3つを最終案に絞っていく「原則」としたい。 @ 総花化するな!目玉を作れ!多機能化とは,何でもあるが,他に抜きん出たもの(=目玉となるもの)が何もないということにほかならない。何かを選択するとは,何かを捨てることである。たとえば,問題や欠点を解決しようとして陥りやすいのは,「〜がない」から「〜をつける」という発想だ。これは本質的な解決ではない。エレベータの待ち時間を短くするのはハードとしてのエレベータを増設するだけでなく,長く感じさせない工夫もあれば,運行ソフトの工夫もある。それをハードや多機能でカバーしてきたモノづくりの発想転換が必要となる。 Aハコやカタチを作ることにこだわるな! 雑木林をそのままにする,野っ原をそのままにする,森をそのまま残す,古い町並みをそのまま活かす,等々どうすれば「何も作らない」「何も手を加えない」「何もない空間を残す」ことができるか,ということも企画たりうる。ハコづくりやモノづくりだからといって,何かをカタチにすることとは限らない。空間の使い道,空き(何もない)そのものをどう作るかということも含まれる。何も創らないという創造もある。 B企画しようとするな! いかにも「企画」らしい,もっともらしい「企画」を疑うことだ。既にどこかにあるもの,誰かの成功したものにとらわれてはつまらない。何か「企画」らしいカタチにしないと気がすまないのは既に先入観だ。冒険や挑戦には失敗はある。少なくとも,そこそこ成功するようにまとめようまとめようとするのは,「企画」の目的,何を解決したいと思ったのか,という初心を忘れている。もちろん,だからと言って,ペーパープランでいいということではない。それは別の問題だが,広大な野っ原を残すだけのことだって,それで当初の「問題意識」が解決されるなら,立派な企画となる。 ●アイデアをまとめていくスキル
アイデア出しのポイントは,自分の知識と経験の枠組みをどう崩し,いままなでの知識の整理棚をシャッフルできるかどうかにかかっている。発想というのは,結局,自分の“知識と経験の函数”であり,もっていないものを生み出すのではない。とすれば,既存の知識と経験を,どうすれば新しい枠組みや組み合わせが見つけられるか,つまり,自分の手持ちの駒である知識と経験を最大限に活かすにはどうすればいいか,そこにアイデアづくりの仕掛けがある。
アイデアづくりの構造を参照
アイデアづくりのスキルは,「分ける」「グルーピングする」「組み合わせる」「アナロジー(類比・類推)」の4つである。
しかし,このスキルを効果的にするには,バラバラ化の徹底が前提となる。バラバラ化は,既知の知識や視野をシャッフルするのが目的である。ブレインストーミングも,チェックリストも,既知の知識の眼鏡で見たり見なれた視界に配置してしまう既成概念を強制的に崩すところに狙いがある。だから,“バラバラ化”なのである。崩した知識の枠組みや分類を,どう再整理するかが基本スキルの役割である。
●コンセプト具体化の要点
コンセプト実現手段を具体化する流れは「分ける」に当たる。具体化が足らなければ更に落とす。それを,(コンセプトを基準に)束ね直し(「グルーピングする」に当たる),更にはいくつかを「組み合わせる」,場合によっては他の事例(「客の並ぶ店」の例でいえば,ファミリーレストランの例や生そば屋の例),行列をつくるという意味ではゲームの新作発売,アイスクリーム等々も参照にしながらアイデアにつなげていく。 そのためには,総花的に具体化した手段を羅列するのでなく,どう特色ある(売りになる)目玉(コンセプトの意図を実現できる,他とは違う何か)をカタチにするかが重要になる。従来と違う組み合わせ,異業種の行列の例を参考にする,別のものと組み合わせてみる等々の発想を試みる。何かを引き立てるには,何をどれだけ捨てるか,も鍵になる。ひとつひとつはありふれて特色がなくても,いまあるものをなくすだけでも変わるし,いくつかをくっつけたり,組み合わせることでもガラリと様相が変わる。 次ページへ ページトップへ |
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