はじめに ・企画を見るとき,何を見るか。それによって,何を達成しようとするかが,明確となっているかどうかであり,それが実現可能性が高いかどうか,あるいはそういう説得力があるかどうかである。つまり,“ 企画”は立てることが目的ではなく,達成ないし解決しなくてはならないことを解決して見せることでなくてはならない。・しかし,今起きている問題なら,今解決すればいいことである。企画の「企」の字は,「人」の「止」(足)であり,「足を爪立てて (遠くを)望む」の意味でありるが,「企画」とは,いまの解決ではなく,現状より先の解決をすべく実現プランを立てることである。それは,「もっと何とかならないか」「ここはこうならないか」「もっとこうできないか」「こうなればいいのに」「こうできたらなァ」等々(これを“問題意識”と呼ぶ),現状の問題の発見であり,それを何とかしたい,という自分の“思い”である。だから,「現状より先の解決」とは,現状への不満,疑問,願望への解決である。そうした思いのない企画は,自分が実現したいという熱意のない企画であり,相した企画に他人を巻き込む説得力があるはずはない。研修の狙い 企画づくりの基本的な流れを理解し,それを実際に“企画づくり”の実習を通して,身につけて戴く。それは,自分の問題意識をきちんと企画のカタチにしていくプロセスである。通常,組織では企画は,上位者からテーマが指示されたりするケースが多いが,そのまま企画を立てると,指示するものの意図と外れることが多い。それは,上位者が,何を解決しようとして,企画を意図したのか,目的を明確にしないまま,テーマの字面から,企画を立てるためだ。企画は,立てることが目的ではなく,何を達成するためなのかが明確でなくてはならないとは,上位者が何を問題意識としたのかまで,確認しなくてはならない,ということを意味する。それは,自分の問題意識を掘り下げることと同じなのである。 研修の進め方具体的には,次のような作業手順となる。 (1)問題意識の掘下げ→問題の絞込み→問題から「課題」への絞込みを通して,何を解決しようとするかを明確にしていく。 (2)「問題」を解決するために何をするかを絞ることで「課題」となり,「課題」を解決するために何をするかで「テーマ」へと落とし込む。「テーマ」は行動目標として具体化される。 (3)「テーマ」のウエイトづけを通して,テーマのコンセプトを明確化する。コンセプトは,企画の“へそ” (コアアイデア)であると同時に,企画づくり作業の“へそ”(コアビジョン)でもある。コンセプトづくりでは,“スクランブル法”を使う。これによって,企画テーマの条件,意味を洗い出し,その意味づけをしていく。(4)コンセプトを実現していくのが「企画」である。企画構想は,@コンセプトを明確にし,その実現に必要な機能,働きを洗い出す「コンセプトの具体化」,Aその機能を実現するためにどうしたらいいか具体的に検討する「コンセプトの実現策づくり」の作業に別れる。@はコンセプトのプロファイル化,Aはコンセプト実現手段分析。企画は,それを実現する手段の具体化とそれを実行する行動プランができて初めて完結する。 (5)1頁企画書の形で,企画構想の具体案を集約する。企画をペーパープランにしないために,リスク分析,現実性分析で,企画づくり作業は完了する。 以上のように,現実にひとつの企画を立ち上げ,まとめていくプロセスの体験を通して,@企画づくりの基本ステップとプロセスの確認,Aグループ作業を通して,チームとしての企画実現作業の経験,をして戴く。 研修プログラム 【第1日】
【このプロセスの狙い】 ここでは,問題意識の端緒となるもの,またそれを掘り起こすために不可欠のキャッチボールの意味等々を,ブレインストーミングのウォームアップを交えながら確認する。その基本スタンスは, @まず問題意識が出発点となる。 A問題意識を掘り下げるためのスキルとして,キャッチボールの重要性を,ブレインストーミングによるウォームアップを通して体験していただく。これもまた,研修全体を通しての課題となる。 B現状の変化に対する各自の幅広い問題意識を,自分たちなりにまとめあげる。成否を問題にするのではなく,時代の変化をどこまで自覚しているかか,そこで分かる。お互いに問題意識を刷り合わせながら,グループとして,現在の環境が,自分たちの組織にもたらしている危機とチャンスを分析し,何をしなければならないかをまとめていく
【このプロセスの狙い】 この具体化を進めるには,目的手段分析を使う。それは目的(達成,実現)のためにどういう手段があればいい(何をすればいい)のか,その手段(を目的として,その達成,実現)のためにどういう手段があればいい(何をすればいい)のか,その手段(を目的として,その達成,実現)のためにどういう手段があればいい(何をすればいい)のか………,という問いのブレークダウンによって,具体化の作業を繰り返していく。この考え方は,企画づくり全体で一貫した思考スタイルになる。
【このプロセスの狙い】 “スクランブル法”で,「テーマ」に必要な条件,要素を洗い出し,それを組み合わせる中で,自分たちがめざすもののウエイトをつけ,「テーマ」の意図や狙いを鮮明にする。これをコトバやイメージで表現したのが 「コンセプト」である。しかしこのままでは,未使用の風船でしかない。どこまで大きく膨らむものなのか確定しているわけではない。どこまで膨らむかは,まだ単なる「そうなるはず」の可能性にすぎない。「企画」は,その風船に込めた“思いの大きさ”以上に膨らむことはない。とすれば,企画がどこまで膨らむかは,風船に設計したユメの規模次第なのである。それを確定するのが“コンセプトのプロファイル化”である。【第2日】
【このプロセスの狙い】 “コンセプト”づくり以降は,現実のさまざまな障害との,自分の弱気や妥協との勝負なる。そのため,どこまで慣れや惰性を脱した発想で,コンセプトを具体像に仕上げることができるか。ともすれば結果を出しやすい方への妥協を迫られる。「こんなもの」「これ以上は無理」ではなく,「どうすれば可能になるか」の視点での発想がどこまでできるか。そのためにこそ,グループでのキャッチボールが有効である。 具体化は,「コンセプト」を目的として,その実現に必要な手段を徹底的に洗い出す。その「目的」実現のためにどういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか) →その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)………と,手段を次々にブレイクダウンしていく。問題の絞り込みプロセスと同じである。
【このプロセスの狙い】 コンセプト具体化のアイデアがまとまると,次はそれをどう実現するかを考える段階となる。その“ コンセプトの具体化案”を実現するためには,次の3つの“構想”を練っていくことになる。●「企画アイデア (解決案)」の全体像を組み立てる●「企画アイデア (解決案)」を実現していくための「仕組み」と「仕掛け」をつくる●どこから,どんな手順で実施していくかの実施プランニングを立てる
【このプロセスの狙い】 企画を,「どうすればもっと面白くなるのか」「どうすればもっといいアイデアになるのか」「どういうやり方にした方が実行しやすいか」等々,「プラス面を強化する」視点から,相互に企画をチェックし,評価する
なお,プログラムの流れ,使用するワークブックは,変更する場合があります。
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