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企画力開発研修プログラム3


  • はじめに

    • 企画を見るとき,何を見るか。それによって,何を達成しようとするかが,明確となっているかどうかであり,それが実現可能性が高いかどうか,あるいはそういう説得力があるかどうかである。つまり,“企画”は立てることが目的ではなく,達成ないし解決しなくてはならないことを解決して見せることでなくてはならない。

    • しかし,今起きている問題なら,今解決すればいいことである。企画の「企」の字は,「人」の「止」(足)であり,「足を爪立てて(遠くを)望む」の意味でありるが,「企画」とは,いまの解決ではなく,現状より先の解決をすべく実現プランを立てることである。それは,「もっと何とかならないか」「ここはこうならないか」「もっとこうできないか」「こうなればいいのに」「こうできたらなァ」等々(これを“問題意識”と呼ぶ),現状の問題の発見であり,それを何とかしたい,という自分の“思い”である。だから,「現状より先の解決」とは,現状への不満,疑問,願望への解決である。そうした思いのない企画は,自分が実現したいという熱意のない企画であり,相した企画に他人を巻き込む説得力があるはずはない。

  • 研修の狙い

    • 企画づくりの基本的な流れを理解し,それを実際に“企画づくり”をしていく体験を通して,企画づくりの全体像を身につけて戴く。それは,自分の問題意識をきちんと企画のカタチにしていくプロセスである。通常,組織では企画は,上位者からテーマが指示されたりするケースが多いが,そのまま企画を立てると,指示するものの意図と外れることが多い。それは,上位者が,何を解決しようとして,企画を意図したのか,目的を明確にしないまま,テーマの字面から,企画を立てるためだ。企画は,立てることが目的ではなく,何を達成するためなのかが明確でなくてはならないとは,上位者が何を問題意識としたのかまで,確認しなくてはならない,ということを意味する。それは,自分の問題意識を掘り下げることと同じなのである。

  • 研修の進め方

    • 具体的には,次のような作業手順となる。

    • 問題意識の掘下げ→問題の絞込み→問題から「課題」への絞込みを通して,何を解決しようとするかを明確にしていく。

    • 「問題」を解決するために何をするかを絞ることで「課題」となり,「課題」を解決するために何をするかで「テーマ」へと落とし込む。「テーマ」は行動目標として具体化される。

    • 「テーマ」のウエイトづけを通して,テーマのコンセプトを明確化する。コンセプトは,企画の“へそ”(コアアイデア)であると同時に,企画づくり作業の“へそ”(コアビジョン)でもある。コンセプトづくりでは,“スクランブル法”を使う。これによって,企画テーマの条件,意味を洗い出し,その意味づけをしていく。

    • コンセプトを実現していくのが「企画」である。企画構想は,@コンセプトを明確にし,その実現に必要な機能,働きを洗い出す「コンセプトの具体化」,Aその機能を実現するためにどうしたらいいか具体的に検討する「コンセプトの実現策づくり」の作業に別れる。@はコンセプトのプロファイル化,Aはコンセプト実現手段分析。企画は,それを実現する手段の具体化とそれを実行する行動プランができて初めて完結する。

    • 1頁企画書の形で,企画構想の具体案を集約する。企画をペーパープランにしないために,リスク分析,現実性分析で,企画づくり作業は完了する。

 以上のように,現実にひとつの企画を立ち上げ,まとめていくプロセスの体験を通して,@企画づくりの基本ステップとプロセスの確認,Aグループ作業を通して,チームとしての企画実現作業の経験,をして戴く。


  • 研修プログラム

【第1日】

時間

内容

進め方

9:00

 

 

 

10:00

はじめに・企画づくりの基本スタンス〜問題意識に始まり問題意識で終完結する

企画に必要なのは,それが,自分にとって達成しなくてしならない,あるいは解決しなくてはならない問題であるという主体的な意味,あるいは思いである。それは,このままでいいのか,これでいいのかという現状への問題意識から出発する。自分に意味のない企画が,人に意味や価値を感じさせるはずはない

進め方の基本は,ブレインストーミングである。これがもつキャッチボール効果を終始徹底して確認して戴く。そのために,グループワークのウォームアップをかねて,基礎訓練も交える

《使用するもの》

 ・ツール
  ブレインストーミング

【このプロセスの狙い】

 ここでは,問題意識の端緒となるもの,またそれを掘り起こすために不可欠のキャッチボールの意味等々を,ブレインストーミングのウォームアップを交えながら確認する。その基本スタンスは,

@まず問題意識が出発点となる。

A問題意識を掘り下げるためのスキルとして,キャッチボールの重要性を,ブレインストーミングによるウォームアップを通して体験していただく。これもまた,研修全体を通しての課題となる。

B現状の変化に対する各自の幅広い問題意識を,自分たちなりにまとめあげる。成否を問題にするのではなく,時代の変化をどこまで自覚しているかか,そこで分かる。お互いに問題意識を刷り合わせながら,グループとして,現在の環境が,自分たちの組織にもたらしている危機とチャンスを分析し,何をしなければならないかをまとめていく

時間

内容

進め方

10:00

 

 

 

 

 

 

 

12:00

問題意識の前提となるもの〜自分のポジショニングと役割行動のチェック

役割意識のないところ問題意識はない。自らのなすべき課題は,組織での自分の位置に求められている目的を果たすために何をすべきかというチェックなくしてはありえない。

  ・組織の目的・ビジョン 
     ↓それを達成するために
  ・本年度の目標
      ↓それを達成するために
  ・自分の役割は何か

  ・中堅社員という役割のポジショニングを考える

役割は与えられるものではなく,自らが創り出していくものである。

●自身の役割を,全社の中でのポジションの自覚から始める必要がある。各自の結果をめぐり,グループ討議,全体討議におけるキャッチボールを通して,自身の現状をチェックする。

 

 

《使用するもの》 

・ワークシート
  目標と役割の明確化
  ポジションの機能と役割行動

・ ツール
 ブレインストーミング

【このプロセスの狙い】

 役割は,公式に求められるものだけではない。それなら,誰がその任についても同じとなる。自分が,その役割を主体的にどう位置づけ,何をしようとするかを,主体的に考える姿勢こそが必要となる。それが明確化されて初めて,環境分析から得られた課題は,自分の役割から,「何ができるか」「何をしなければならないか」が,主体的な課題として,明確化しえる。

時間

内容

進め方

13:00

 

 

 

 

15:00

講義1・企画発想のスキルとステップ

実習2・問題から課題課題からテーマへ〜問題意識の掘下げ,問題の絞込み,課題の絞込みとテーマ設定

企画の鍵となるのは,自分たちが問題としていることが企画に値するかという問題への批判精神だ。それには,ザックバランのキャッチボールを通して,相互に刷り合わせ,最適テーマを探り当てていく。同じ問題でも,課題は異なり,同じ課題でも,そのための解決テーマは異なる。

各自の日頃の問題意識を刷り合わせながら,企画とすべき問題を絞り込み,それを解決するために何をすべきか,というカタチで,課題,テーマへと企画を絞り込んでいく

《使用するもの》

 ・ワークブックT

 ・ツール
   ブレインストーミング

 

昼      食

15:00

 

 

17:00

実習2・問題から課題課題からテーマへ(続き)

現状で取り上げた「問題」を,「何をすべきか」まで個別化する。たとえば,「問題意識」(このままでいいのか→何とかならないか)→「問題」(何がどう問題なのか)→「課題」(その解決のためにどうしたらいいか)→「テーマ」(その解決のために何をしたらいいか)

グループでのディスカッションを通して,問題意識,課題,テーマについての共通意識づくりのプロセスともなる。目的を共有化することで,発想の共通土俵ができる

【このプロセスの狙い】

 この具体化を進めるには,目的手段分析を使う。それは目的(達成,実現)のためにどういう手段があればいい(何をすればいい)のか,その手段(を目的として,その達成,実現)のためにどういう手段があればいい(何をすればいい)のか,その手段(を目的として,その達成,実現)のためにどういう手段があればいい(何をすればいい)のか………,という問いのブレークダウンによって,具体化の作業を繰り返していく。この考え方は,企画づくり全体で一貫した思考スタイルになる。

【第2日】

時間

内容

進め方

9:00

 

 

 

 

 

 

 

14:00

講義2・コンセプトの意味と狙い〜企画のコアと企画づくりのコア

実習3・コンセプトをつくるスクランブル法

コンセプトづくりコンセプトのプロファイル化→コンセプトプロファイルシートづくり

「テーマ」の意味にウエイトづけすることを通して,テーマのコンセプトを明確化する。コンセプトは,企画の“へそ”(コアアイデア)であると同時に,企画づくり作業の“へそ”(コアビジョン)でもある。コンセプトづくりでは,“スクランブル法”を使う。これは簡易版のKJ法(親和図法)を基にしたもので,これによって,企画テーマの条件,意味を洗い出し,その意味づけをしていく。この作業によって,立てたテーマの達成基準(どこまでやるか)を明確にし,自分たちが何を目指しているかを“旗”として立てることである。

コンセプトは,テーマへの自分たちの“こだわり” を具体的に示すことになる。何を重視しているのか,何に面白さを感じているのか,何を新しいと考えているのか等々。コンセプトとは,テーマの私的意味づけ,私的方向づけなのである。

 

《使用するもの》

 ・ワークブックU

  スクランブル法

  コンセプトプロファイルシート

 ・ツール
  ブレインストーミング

【このプロセスの狙い】

“スクランブル法”で,「テーマ」に必要な条件,要素を洗い出し,それを組み合わせる中で,自分たちがめざすもののウエイトをつけ,「テーマ」の意図や狙いを鮮明にする。これをコトバやイメージで表現したのが「コンセプト」である。しかしこのままでは,未使用の風船でしかない。どこまで大きく膨らむものなのか確定しているわけではない。どこまで膨らむかは,まだ単なる「そうなるはず」の可能性にすぎない。「企画」は,その風船に込めた“思いの大きさ”以上に膨らむことはない。とすれば,企画がどこまで膨らむかは,風船に設計したユメの規模次第なのである。それを確定するのが“コンセプトのプロファイル化”である。

時間

内容

進め方

14:00

 

 

 

 

 

17:00

講義3・コンセプトをどう具体化するか〜コンセプト実現のアイデアを練る

実習4・コンセプト実現構想の具体化

コンセプトを実現していくのが「企画」である。企画構想は,@コンセプトを明確にし,その実現に必要な機能,働きを洗い出す「コンセプトの具体化」,Aその機能を実現するためにどうしたらいいか具体的に検討する「コンセプトの実現策づくり」の作業に別れる。@は,コンセプトのプロファイル化,Aは,コンセプト実現手段分析。企画は,それを実現する手段の具体化とそれを実行する行動プランができて初めて完結する。

「コンセプト」をどう実現していくか,コンセプトを目的に目的→手段分析の要領で,実現手段をどれだけ具体化できるかが,解決をカタチにする作業となる

 

《使用するもの》

 ・ワークブックV

 ・ツール
  ブレインストーミング

【このプロセスの狙い】

“コンセプト”づくり以降は,現実のさまざまな障害との,自分の弱気や妥協との勝負なる。そのため,どこまで慣れや惰性を脱した発想で,コンセプトを具体像に仕上げることができるか。ともすれば結果を出しやすい方への妥協を迫られる。「こんなもの」「これ以上は無理」ではなく,「どうすれば可能になるか」の視点での発想がどこまでできるか。そのためにこそ,グループでのキャッチボールが有効である。

 具体化は,「コンセプト」を目的として,その実現に必要な手段を徹底的に洗い出す。その「目的」実現のためにどういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)→その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか) →その手段(を目的として,その実現のために)どういう手段があればいいのか(何をすればいいのか)………と,手段を次々にブレイクダウンしていく。問題の絞り込みプロセスと同じである。

【第3日】

時間

内容

進め方

9:00

 

 

 

 

 

 

12:00

講義5・企画構想をどうまとめるかどう実現するかを具体化する

実習6・企画実現構想のプランニング

コンセプト具体化手段の洗い出し→企画構想のスケッチ化→企画構想の集約→企画案づくり

企画は,立てることが目的ではなく,実現することが目的である。それには,現実のさまざまな障害との,組織の前提や前例との,自分の弱気や妥協との格闘が不可避である。いかなる高邁なユメも,まがいものの実践ではそれを実現できない。実現できない「企画」は企画ではない。とすれば,どうすれば可能なのか,どうすればどこまでが可能になるのか等々の視点からの詰めが企画構想である。

1頁企画書の形で,企画構想の具体案を集約する。企画をペーパープランにしないために,リスク分析,現実性分析で,企画づくり作業は完了する

 

《使用するもの》

 ・ワークブックW

  企画構想のスケッチシート

  1ページ企画書

 ・ツール
  ブレインストーミング

 

昼      食

13:00

 

 

 

 

 

14:00

実習6・企画実現構想のプランニング(続き)

実現することが目的だとしても,当初の意図(問題意識)に反したものを実現しても意味はない。とすれば,何が企画の中核なのか,それがなければ,企画としての意味が無くなってしまうのは何かを明確にしておくことが不可欠である。その上で,それは,どうすれば実現できるのか,いまは無理でも,時間が実現を可能にするのか,それはどういう手順なら可能になるのか,等々が具体的に検討されることになる。

企画書に書き込むことが目的ではなく,企画の意味を,いかにアピールするかが,企画書の目的である。

《使用するもの》

 ・ワークブックW

  1ページ企画書

  企画実現計画書

 ・ツール
  ブレインストーミング

【このプロセスの狙い】

コンセプト具体化のアイデアがまとまると,次はそれをどう実現するかを考える段階となる。その“コンセプトの具体化案”を実現するためには,次の3つの“構想”を練っていくことになる。

 ●「企画アイデア(解決案)」の全体像を組み立てる

 ●「企画アイデア(解決案)」を実現していくための「仕組み」と「仕掛け」をつくる

 ●どこから,どんな手順で実施していくかの実施プランニングを立てる

時間

内容

進め方

14:00

 

 

 

 

16:30

実習7・企画案の発表(プレゼンテーション) 〜企画案を評価する

発表するのは,企画書ではなく,「企画」である。何のために(目的),何を(企画の中身,対象),どうする(企画実現の方法の具体策),誰に対して(自分たちの立場,企画提案の相手)を明確にする。

 

何にウエイトをおいて企画したのかが明確に相手に伝わるように企画ポイントをクローズアップさせる

 

《使用するもの》

 ・ワークブックW

 ・ツール
  ブレインストーミング

【このプロセスの狙い】

企画を,「どうすればもっと面白くなるのか」「どうすればもっといいアイデアになるのか」「どういうやり方にした方が実行しやすいか」等々,「プラス面を強化する」視点から,相互に企画をチェックし,評価する

時間

内容

進め方

16:30

 

17:00

まとめの講義・企画力アップの条件

企画の出発点は,何に問題意識をいだくかだ。問題を解決しようとする意思のないところに,そもそも企画は必要ない

企画力というものがあるのではなく,解決したい問題があるからその解決として企画が必要になる

なお,プログラムの流れ,使用するワークブックは,変更する場合があります。


  • 御社の事業特性,商品構成にあわせたカスタマイズプラン可能です。


  • 企画の立て方・作り方については,ここをご覧下さい。

    • 企画・発想・創造性に関する参考文献一覧については,ここをご覧下さい。

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