はじめに 変化(身)のスピードの著しい現在,昨日と同じことを,今まで通りに,今のままで,過去の延長線上で,やろうとすれば,たちまち取り残されてしまう。変化とは,“新しさ”への許容度が大きいこと,逆に言えば,新しさとは変わること,だ。現状の中に,昨日までのやり方の中に,これまでの発想に埋没することを,状況は許さない。それができると思っているのは,国内からしか見ない,過去からの流れから出ない,自分たちの組織からしか見ない,自分たちの仕事の仕方から出ないからにすぎない。変わるためには,まず,自分たちの現状に,「これで(このままで)いいのか」という,問題意識をもつこと,そしてそれを解決すべき課題として立てることである。そこからのみ,自らの変身を通じて変化の主体になることが可能であり,そこにわれわれに創造性が必要な理由がある。 研修の狙い 「創造性」とは,「新しさ」をカタチにすることである。しかし,それ自体が目的ではない。問題の解決,現状の打開,行き詰まりの突破,新しい商品の開発,新規事業の立ち上げ等々のために,新しい何かが必要とされる。 その出発点は,現状への不満,疑問,願望,夢である。現状に,「いまのままでいいのか」「いままでのままでいいのか」「こんなことでいいのか」と,強い問題を感じること,これが “問題意識”である。それを出発点に,次の3つのステップを踏む。「新しさ」とは変化である。現状を変えることである。それには,皆が見過ごしている,気づかない,当たり前としている等々,発見する問題が「新しい」ものでなくてはならない。 ←創造性の要件1;発見した問題は新しいか 「発見した問題」は,新しいカタチにまとめなくてはならない。そのとき,ありふれたカタチやいままでの前例や慣習にしたがっていたのでは「新しさ」が消える。 ←創造性の要件2;解決のカタチは新しいか「解決のカタチ」の実現は確実か。どこまで実現可能かの具体化。 ←創造性の要件3;実現の方法は新しいか研修では,この3つのステップを経験できるように,次のようなプログラムを用意している。 @問題の掘り起こしのスキル→自分の先入観を崩すためのスキルの実習 A問題の掘り起こし方→たとえば,新聞記事からどれだけ多角的に問題の裾野を読み取るか B問題の発見→解決アイデアのまとめ方の基本スキル→欠点列挙法をとおして,新しいカタチをまとめるまでの流れを習得する 研修の進め方 基本的な創造性のステップをまず身につけることを主眼に,研修では, @《問題意識の掘り下げ》→《問題の核心を探り出す》という問題意識を高める2つのプロセスを実践する。 A「問題」は誰にも見えている限り,「問題」というよりそれを放置する無為無策や無責任という別の「問題」でしかない。「問題」は,こちらが問わない(問題にしない)限り「問題ではない」(問題にならない)。その「問い」の掘り下げ方の鍵は,「多角的な問いをどう立てるか」と「仮説をもってどう問題の核心に迫る情報を集約するか」の2つである。 B掘下げた「問題」をどう解決のカタチにもっていくか,その一連の流れを,「欠点列挙法」で実感して戴く。 研修プログラム 【第1日】
【このプロセスの狙い】 ここでは,創造性というものへの先入観をぬぐうことが主眼である。創造性は何か新しいことを創り出すことではある。しかし,それは目的化されてはならない。何のために,誰にとって新しくなくてはならないのか。それによって,何が解決されるのか。実務で求められるのは,ここである。
【このプロセスの狙い】 ここでは,創造性を妨げる「固定観念」を崩す仕掛けとして,「ブレインストーミング」を確認。以降のグループワークの基調づくりとなる。キャッチボールを通して,いかにものの見方の幅と奥行を広げる鍵となるかを確認する。
【このプロセスの狙い】 ベイトソンの問いのように,こちら側が,どれだけ問題意識を持っているかが出発点である。そこから,は情報収集のスキルとして,第1に「何をしたいのか」「何をはっきりさせたいのか」「何を解決したいのか」がはっきりしなくては,海岸の砂から一粒の砂金を探すようなものである。第2は,「どこが問題になるか」「どこがつぼになりそうか」「ここがあやしい」といった仮説が必要となる。自分なりに“当たり”をつけなくては情報の当たりもつかない。
【このプロセスの狙い】 アイデアを見つけるための発想の基本スキルは,「分ける」「グルーピング」「組み合わせ」「類比(推)」があり,発想技法と言われるものは,その4つのスキルを組み合わせ,@まだないものをカタチあるものにするための発想技法,Aいまあるものを新しいものに創り直すための発想技法,Bいまあるものを改善・改良/応用・転用するための発想技法,に3分類される。講義では,この仕掛けを概説する。 なお,新聞記事から,テーマを選ぶのは,そのテーマを欠点列挙法を使って,アイデアを具体化していくためである。そこでは,日頃の問題意識が問われている。時代の変化への,自社の環境についての,強味・弱味についての,危機とチャンスについての,自社のコアコンピタンスについての,自社の組織についての,自社製品についての,等々。
【このプロセスの狙い】 「欠点列挙法」は,「欠点」という切り口で,あえて「問題」化し,「問題」を掘り起こす。意識的にケチをつけることで,日常見逃している「問題」を無理やり顕在化させ,その解決をカタチにしていこうとする。バラバラ化し,それを「グルーピング」し,「組み合わせ」て,新しいカタチの発見につなげていく。 【第2日】
【このプロセスの狙い】 欠点列挙法は,改良型の技法されているが,そう決めつけてしまうと先入観になる。この場合も,徹底的に問題をクリアしようとすると,本来のモノの枠組みを超えないと解決できないことがある。そのとき,元のカタチにこだわれば,それに収まってしまうが,それを打破しようとすると,改良型の発想を超えることになる。 この技法は,情報集約→原因追及→解決案の発案,という問題解決の基本ステップを踏んで,情報を処理していくため,情報をカード化して,集約していく技法(代表的にはKJ法)や,その集約したものにウエイトづけをしていくスキル(代表的には,クロス法)を含んでおり,「欠点」を別の着眼点(例えば,希望点,特性等)に代えることで,問題解決のさまざまな側面に応用できる基本的なスキルである。
【このプロセスの狙い】 アイデア自体を,レビューするためのシートである。その意図(目的),何をするものか(テーマ,使い方)を明確にし,イメージするアイデアの骨格をまとめ,市場の大きさ,可能性の見込まれるユーザー像,技術的な問題,リスク,流通(サービス提供)システムとの適合性等々をチェックする。
※プログラムの流れは,変更する場合があります。
|
ご質問・お問い合わせ,あるいは,ご意見,ご要望等々をお寄せ戴く場合は,sugi.toshihiko@gmail.com宛,電子メールをお送り下さい。 |