条件転換法は,高沢公信の創案になる技法。モノやコトのもっている条件を変えるとどれだけその意味や見かけが変わるかを試みるものである。例えば,商品は,使用対象や使用条件によって一定の特色をもっているが,健康ブームの中で,減塩や低コレステロール化等のように,競合条件や社会状況が変われば,前提としてきた条件は崩れ,新たな条件に適応する商品に変えざるをえない。こうした条件変化への対応をモデル化したものがこの技法である。対象としたモノやコトの条件変化を意識的に設定し,その新しい条件に適応するように,モノやコトを作り替えていく。ここでは,競合条件の変化に焦点を当てて検討する。高沢公信のオリジナルである。
「条件転換法」は,そのもの(そのこと)の構成「条件」をバラバラにすることで,意識的に「問題」を創り出し,その組み合わせの中に,新しいカタチを見つ出していくところに第1の狙いがある。しかし,この技法の本当の狙いは,新しいモデルを創り出すことだけにあるのではない。そのモデルに,市場での競争条件を意識的に設定して「問題」を創り出し,それを解決するカタチに変えていこうとする,二重構造になっています。いわば,内的条件を変えて創り出したカタチを,あえて競争相手を設定することで,目に見えない問題を掘り起こし,それを解決していくものです。新しい解決のカタチを見つけるだけでなく,それを競争相手と対比しながら,再度創り直していくところに,眼目があります。 条件転換法のすすめ方 1, 取り上げるテーマ決める。 2, 取り上げたテーマについて,“対象層”,“使用目的”,“使用機会”,“使用方法”の4軸について,それぞれの軸別に,ありうる要因を洗い出す。
⇒各軸毎に,1件1枚で,できるだけたくさんの要因を列挙し,書き出すこと。 要因の列挙は,できるだけ個別・限定した具体例を洗い出すこと。例えば, @誰が(誰に)(使用者,消費者は誰か)=“対象層” A何のために(どういう目的で,どういう便益を求めて)=“使用目的” たとえば,嗜好品,必需品,ファッション品,社会性(環境保護)等。 Bいつ・何処で(どういう状況・場・機会に使うか)=“使用機会” Cどう(どういう方法で,どれくらいの量・頻度・予算で)=“使用方法” 3, 4軸の各要因を1つ1つ組み合わせて,テーマとしたモノ・コトのイメージに最適の組み合わせを見つけ出していく。 4, 対象としたモノ・コトのイメージが明確となったら,その対象と競合するモノ・コトを,列挙して検討する。 5, 列挙した競合相手を,比較検討しながら,テーマとしたモノ・コトの有力な競合相手とするものを絞る。
6, 決定した競合相手について,テーマと同様,“対象層”,“使用目的”,“使用機会”, “使用方法”の4軸別に,要因を洗い出す。
⇒各要因の整理の仕方として,2通りが可能である。 @4軸をテーマと同様に,1つに絞っておく A4軸の要因は絞らず,できるだけ競合可能性を幅広く検討するため,要因は,そのまま残す 7, テーマの競合対象とを比較し,相手に勝つ(あるいは負けない,もしくは生き残る)ために,“対象層”, “使用目的”,“使用機会”,“使用方法”のどれを変える必要があるのか,どれを強化する必要があるのか,“方針”を決める。
8, 以上の検討結果に基づいて,新しくテーマ対象をどうつくり直したらいいかを,結論としてまとめていく。
テーマと競合相手との比較は, @テーマの限界を考える とんでもない競合と比較することで,そのできること,できないことの限界が見え,テーマの極限イメージ,極限状況(極端な状態)を考えることになる。 Aテーマの市場を限界まで拡大して考える こんなところにもユーザーがいる,ということを,競争相手を通して,その向こうに,競争相手がターゲットとしているユーザーを実感することになる。 Bテーマの前提の見直し あたりまえとしてきたテーマの見方を多角的に検討することになる。当然テーマの4軸の決め方で,競合条件は変わる。
@競争相手と同じ土俵に乗っているか?→見当違いのところで競争しているのではないか? A本当に相手に勝っているか?→相手に勝っても,それでユーザーを満足させられるか? B相手の大事な条件を見逃していないか?→戦いやすいところでアイデアをまとめただけで はないか?
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