●課題と問題は違います 他にもある問題の中で,それを課題(解決すべき問題)とした以上,それによって目的が達成されるものでなくてはなりません。課題とは,自分が解決主体として,選び取ったものだからです。それを選び取る根拠は,目的意識です。目的達成のための課題だからです。 ●“課題探求力”は目的ではありません 現実において, ・現状での,(このままではどうにもならない)“停滞感”, ・(いまのままでは解決できない)“行き詰まり感”, ・(これまでのやり方ではこれ以上ムリという)“限界意識”, ・(このままではまずいという)“危機感” 等々,今のままでは,今までのやり方では,過去の延長線上では,まずいいのではないか,事態を打開できないと感じたとき,初めてその人にとって「問題」が,自分の問題として意識されたことになります。 ●問題意識がなければ課題はない この「このままでいいのか」との“思い”は,現状(の環境・条件,組織のあり方,組織の仕事の仕方,組織の考え方,業務の処理方法等々)への疑問,批判,不満等々です。それが,問題意識です。それは,「現状を何とかしなくてはならない」との思いと言っていいはずです。これがなければ課題探求力は,その人に必要ではないのです。課題探求力は,いま当然しなければならないのにやっていないことでも,過去の仕事のつけとして発生したトラブル処理や,昨日遣り残したことのために必要なのではありません。それは,現状を何とかしなくてはならないという(切実な)思いを切り開いていくためのスキルです。 ●目差すもの ・自身の仕事,職場に対する問題意識のないところに課題探求力は必要ないということ ・それを前提に,現状への問題意識を掘り下げるにはどうしたらいいのか ・情報を分析し,読解し,何をすべきか(何ができるか)を見つけ出していくにはどうしたらいいのか ・情報の編集・加工を通してどう新しいカタチを見つけ出していくか
基本的な課題探求力を身に付けて戴くことを主眼に, @研修では,《問題意識の掘り下げ》→《問題の核心を探り出す》という問題意識を高めるためのプロセスを実践致します。 A「問題」は誰にも見えている限り,「問題」というよりそれを放置する無為無策や無責任という別の「問題」でしかない。「問題」は,こちらが問わない(問題にしない)限り「問題ではない」(問題にならない)。その「問い」の掘り下げ方の鍵は,「多角的な問いをどう立てるか」と「仮説をもってどう問題の核心に迫る情報を集約するか」の2つです。そこは,新聞記事を素材に,どこまで深められるかを実習して戴きます。 B複数の情報から,意味を読み取り,仮説(「こうなるに違いない」「こうはならないだろう」等々)を立てて,それを例証する例を挙げて,説得力ある結論をまとめて戴くプロセスを通して,情報分析・読解を実習します。 C情報の編集・加工によってどう新しいカタチを見つけ出すかを,「欠点列挙法」で実習して戴きます。
自分一人の課題探求力があればいいのではありません。チームとしての課題探求力を高めるためには,いかに,メンバーの問題意識を見逃さず,チームとしての問題意識とし,チームとしての課題につなげていくかが求められます。それが役割意識であり,目的意識です。職場で課題探求力が必要な理由はそこにある。研修では,そこにも力点を置きます。
【第1日】問題意識を研ぎ澄ますものは何か
【プロセスの狙い】 ここでの基本スタンスは, @まず問題意識が出発点となる。そのためには,「何のために」という問い(それが目的意識であり,それなしには問題意識はない)に鍵があり,それが研修全体を通しての宿題でもあることを,冒頭に確認する。 A問題意識を掘り下げるためのスキルとして,キャッチボールの重要性を,ブレインストーミングによるウォームアップを通して体験していただく。これもまた,研修全体を通しての課題となる。 B現状の変化に対する各自の幅広い問題意識を,自分たちなりにまとめあげる。成否を問題にするのではなく,時代の変化をどこまで自覚しているかか,そこで分かる。お互いに問題意識を刷り合わせながら,グループとして,現在の環境が,自分たちの組織にもたらしている危機とチャンスを分析し,何をしなければならないかをまとめていく C固定観念とは,自分の知識と経験そのもののことだ。いままでの経験でものを見るとき,時に,それが新しい事態を見通す妨げになることがある。その点の確認が主体となる。 【第2日】問題意識を掘り下げる設問のスキル
【プロセスの狙い】 課題はあるものではなく,課題にするものだ。こちら側がどれだけ問いを幅広く,奥行き深く立てられるかにかかっているか,その結果どれだけ具体的な分析に差が出てくるかを確認するのが狙い。 @ベイトソンの問いのように,こちら側が,どれだけ問題意識を持っているかが出発点である。 A情報収集のスキルとして,第1に「何をしたいのか」「何をはっきりさせたいのか」「何を解決したいのか」がはっきりしなくては,海岸の砂から一粒の砂金を探すようなものである。 B第2は,「どこが問題になるか」「どこがつぼになりそうか」「ここがあやしい」といった仮説が必要となる。自分なりに“当たり”をつけなくては情報の当たりもつかない。 【第3日】情報探索と読解のスキル
【プロセスの狙い】 課題探求力では,最後には集めた情報から「何を読むか」「どれを選択してどれを捨てるか」「そこで何を優先させていくか」という情報の読解を通して,「何をすべきなのか」の行動への決断が問われる。いかに正確に情報を集めて分析しても,その優先度や決定が間違っていれば,何にもならない。まして読解しても何もしないのでは,「課題」探求力は無用の長物です。 2日目の応用編となる。複数与えられた情報から,何かを読み取り,それを仮説として,その結果何ができるか(何ができないか),何をすべきか(何をすべきでないか)をまとめ,それを具体的な例証で補完していく。必要なら,許容時間内で,情報収集,確認に街へでかけることもOK。その説得力の根拠は,何かを実習する。 (注)情報の分析・読解の基本スキルには,「分ける」「グルーピング」「組み合わせ」「類比(推)」がある。 ●「分ける」は,分解してみる,細分化してみる,新たに分けてみる,分け方を変えてみる等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける ●「グルーピングする」は,くくり直す,束ね方を変える,一緒にしていたものを除く,区分の基準を変える,一緒でないものを一緒にする等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける ●「組み合わせる」は,異質の分野のもの,異なるレベルのもの組み合わせる等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける ●「アナロジー(類比/類推する)」は,似たもの,異分野の例になぞらえる,参照にする等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける 【第4日】情報編集のスキル
【プロセスの狙い】 「欠点列挙法」は,「欠点」という切り口で,あえて「問題」化し,「問題」を掘り起こす“問題解決型アプローチ”の技法。この技法は,改良型の技法されるが,そう決めつけると先入観になる。徹底的に問題をクリアしようとすると,本来のモノの枠組みを超えないと解決できないことがある。そのとき,元のカタチにこだわれば,それに収まってしまうが,それを打破しようとすると,改良型の発想を超えることになる。 この技法は,情報集約→原因追及→解決案の発案,という問題解決の基本ステップを踏んで,情報を処理していくため,情報をカード化して,集約していく技法(代表的にはKJ法)や,その集約したものにウエイトづけをしていくスキル(代表的には,クロス法)を含んでおり,「欠点」を別の着眼点(例えば,希望点,特性等)に代えることで,問題解決のさまざまな側面に応用できる基本的なスキルである。 (注)発想スキルは,そのニーズに応じて,“手直し型”,“組み替え型”,“理想設定型”に分類される。
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