【第1日】
【プロセスの狙い】 @まず問題意識が出発点となる。そのためには,「何のために」という問い(それが目的意識であり,それなしには問題意識はない)に鍵があり,それが研修全体を通しての宿題でもあることを,冒頭に確認する。 A問題意識を掘り下げるためのスキルとして,キャッチボールの重要性を,ブレインストーミングによるウォームアップを通して体験していただく。これもまた,研修全体を通しての課題となる。 B現状の変化に対する各自の幅広い問題意識を,自分たちなりにまとめあげる。成否を問題にするのではなく,時代の変化をどこまで自覚しているかがそこで分かる。お互いに問題意識を刷り合わせながら,グループとして,現在の環境が,自分たちの組織にもたらしている危機とチャンスを分析し,何をしなければならないかをまとめていく C固定観念とは,自分の知識と経験そのもののことだ。いままでの経験でものを見るとき,時に,それが新しい事態を見通す妨げになることがある。その点の確認が主体となる。
【プロセスの狙い】 課題はあるものではなく,課題にするものだ。こちら側がどれだけ問いを幅広く,奥行き深く立てられるかにかかっているか,その結果どれだけ具体的な分析に差が出てくるかを確認するのが狙い。 @ベイトソンの問いのように,こちら側が,どれだけ問題意識を持っているかが出発点である。 A情報収集のスキルとして,第1に「何をしたいのか」「何をはっきりさせたいのか」「何を解決したいのか」がはっきりしなくては,海岸の砂から一粒の砂金を探すようなものである。 B第2は,「どこが問題になるか」「どこがつぼになりそうか」「ここがあやしい」といった仮説が必要となる。自分なりに“当たり”をつけなくては情報の当たりもつかない。
【第2日】
【プロセスの狙い】 課題設定力では,最後には集めた情報から「何を読むか」「どれを選択してどれを捨てるか」「そこで何を優先させていくか」という情報の読解を通して,「何をすべきなのか」の行動への決断が問われる。いかに正確に情報を集めて分析しても,その優先度や決定が間違っていれば,何にもならない。まして読解しても何もしないのでは,「課題」探求力は無用の長物です。 ここでは,複数与えられた情報から,何かを読み取り,それを仮説として,その結果何ができるか(何ができないか),何をすべきか(何をすべきでないか)をまとめ,それを具体的な例証で補完していく。必要なら,許容時間内で,情報収集,確認に街へでかけることもOK。その説得力の根拠は,何かを実習する。 (注)情報の分析・読解の基本スキルには,「分ける」「グルーピング」「組み合わせ」「類比(推)」がある。 ●「分ける」は,分解してみる,細分化してみる,新たに分けてみる,分け方を変えてみる等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける ●「グルーピングする」は,くくり直す,束ね方を変える,一緒にしていたものを除く,区分の基準を変える,一緒でないものを一緒にする等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける ●「組み合わせる」は,異質の分野のもの,異なるレベルのもの組み合わせる等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける ●「アナロジー(類比/類推する)」は,似たもの,異分野の例になぞらえる,参照にする等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける
【プロセスの狙い】 各人の「気になるシート」の中から,グループとしての課題を一つ選び出し,グループとしてそれを解決していくための“解決プランニング”を立てていく。 @各人の課題の刷り合わせには,個別職務,業務のタイトルや名称にとらわれず,その具体的な事案,対象を通して,組織としてのポジション(意味と構造)を確認する。 A各人の課題の中から,グループとしての課題を,単に足して二で割るのではなく, 全体の仕事の構造を代表するケース,共有化される問題構造をもっているケース 等々から,主体的な課題としてひとつ立てる。この刷りあわせプロセスが,メンバーとの共通する土俵の確認につながるはずである。「そういう問題があるのか」「それは自分が経験したことと共通する」「そこは同じ行政課題につながる」等々。それを通じて,共有化できる課題を絞り込む。採択事例の提供者が,情報提供者となり,問題解決に必要な情報を提供しなくてはならない。
【第3日】
【プロセスの狙い】 問題とは,期待値(目標あるいは求める水準)のギャップである。問題は,@気になること(問題にする)だけでは,明確にならない,Aそれをどう(解決)したいのか(どう言う状況になったらいいのか,どうしたいのか),という期待値ないし目標が明確になることで,それに対比して,Bいまどういう状況になっているかが,具体化し, 初めて,C問題(期待値と現状との距離)が明確になる。期待値が異なれば,同じ現象でも,問題の仕方は変わる。 とすれば,問題はあるものではなく,問題にするものだ。こちら側がどれだけ問いを幅広く,奥行き深く立てられるかにかかっているか。まず,問題の幅を確定するところかにらはじめなくてはならない。何を解決しなくてはならない「問題」と意識するかは,その人が何を問題と思うかで,違ってくる。問題とは,現状と基準とのギャップだから,何に基準を置くかで, このギャップが問題だから,
【プロセスの狙い】 問題があるから問題にするのなら,なすべきことをしていないだけだ。それは,考える前に,なすべきことをしなくてはならない。それができていないのだとすると,問題の側に問題があるのではなく,なすべきことを見落とし,放置している行政の組織と仕事の仕方に問題があることになる。そういう問題の発見も当然ありうる。 いまひとつは,組織してなすべき目標や方向性から考えて, 対応がとれていないこと,遅れていること,あるいは変化についていけていないこと,打った手が現状から外れていたこと等々が,問題として明確化されることもある。その場合,何をしようとしているかがまず明確にされなくてはならない。 問題は分析することが目的ではない。数値を羅列し,整理することも目的ではない。その問題をどう解決するかが目的でなくてはならない。とすれば,問題の分析は,その距離(期待値と現状の)を埋めるための物でなくてはならない。
【第4日】
【プロセスの狙い】 問題の分析とは,問題(期待値と現状との距離)を何で埋められるかを検証することである。 たとえば,以下では,問題=ギャップをクリアすべき課題@ABのうち,課題@をクリアすべき要因(手段1と呼んでもいい)abc,要因aをクリアすべき要因(手段2と呼んでもいい)イロハ……と解決手段をブレイクダウンしていくプロセスを例示する。 ※要因は,目的手段分析では手段,原因分析では原因と読みかえる。 @ギャップの距離を埋めていく 期待値と現状との距離を解決要因(解決行動)で埋めていくことになる。たとえば,ギャップを埋める大きなも問題を@ABあるとすると,たとえば,問題@の距離をうめるために,同じように解決要因で埋めていくことになる。それを要因abcとすると,たとえば,要因aの距離を埋めるために,同じように解決要因で埋めていくことになる。それを要因イロハとすると,たとえば要因イをの距離を埋めるために,同じように解決要因で埋めていくことになる。同じ作業を繰り返すことで,問題@をスモールステップ化していくことになり,同じように,問題ABも繰り返すことで,ギャップ全体をスモールステップ化していくイメージになる。 Aギャップのツリー構造それをツリー構造に描きなおせば,下図のようになる。目的・手段分析型では,ギャップを埋める手段を洗い出し,最適解決行動につなげるようにしていく。目標達成のための必要手段を洗い出していくことになる。 目的手段分析は目的のためにどういう手段があればいいのか、その手段のためにどういう手段があればいいのか、その手段のためにどういう手段があればいいのか………、と手段をブレークダウンすることによって、具体化していく。これが、モノ(商品)やコト(システム、制度等)の場合は、機能や働きの目的機能分析になる。
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