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以下の基本マインドと基本スキルを,実習を通して身につけて戴きます。
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自身の仕事,職場に対する問題意識のないところに問題解決力は必要ないということ
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それを前提に,現状への問題意識を掘り下げるにはどうしたらいいのか
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情報を分析し,読解し,何をすべきか(何ができるか)=課題を見つけ出していくにはどうしたらいいのか
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その課題の解決案を立て,実行プランニングをどう立案していくか
現実の問題を素材にして,問題は何か,それを解決してどうしたいのか(期待値の確認),それをどう解決していくか,実現していくかの実践的解決プランニングづくりにウエイトをおきます。
基本的な問題解決力を身に付けて戴くことを主眼に,
@研修では,《問題意識の掘り下げ》→《問題の核心を探り出す》という問題意識を高めるプロセスを実践致します。
A「問題」は誰にも見えている限り,「問題」というよりそれを放置する無為無策や無責任という別の「問題」でしかない。「問題」は,こちらが問わない(問題にしない)限り「問題ではない」(問題にならない)。その「問い」の掘り下げ方の鍵は,「多角的な問いをどう立てるか」と「仮説をもってどう問題の核心に迫るか」の2つです。
B各自の持ち寄った「日常の気になる」ことから,チームとしての課題を絞り込み,その解決プランを立てていきます。自分一人の問題解決力があればいいのではありません。チームとしての問題解決力を高めるためには,いかに,メンバーの問題意識を見逃さず,チームとしての問題意識とし,チームとしての課題につなげていくかが求められます。それが役割意識であり,目的意識です。職場で問題解決力が必要な理由はそこにあるのです。
【第1日】
問題意識を研ぎ澄ますものは何か
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内容 |
進め方 |
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9:00
11:30 |
オリエンテーション
「この研修のめざすこと」
《個人作業》
「自分のポジショニングと役割期待」
《実習》
「問題の掘り起こし方の基礎訓練」T
《講義》
「ものの見方・もののとらえ方」
−ものの見える人と見えない人の差は何か
《実習》
「問題の掘り起こし方の基礎訓練」U |
◇問題意識が課題形成の前提だが,問題意識はあるのではない。目的意識のないところに役割意識はなく,役割意識のないところに問題意識はない。問題と課題とを分けるのが,自らの解決意思の有無にあるように,自らが解決主体とならないところに問題意識はない。その自己確認を出発点とする。
◇発想を妨げる「固定観念」を崩す仕掛けとして,「ブレインストーミング」を再確認。いかにキャッチボールがものの見方の幅と奥行を広げる鍵となるかを確認する。同時に,議論の集約におけるリーダーシップの重みも確認。これは,チームとしての発想力にとって不可欠のスキルとなる。
《使用するツール・スキル》
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ワークシート
自分のポジショニング
求められている役割期待
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ブレインストーミング
チェックリスト |
【プロセスの狙い】
@まず問題意識が出発点となる。そのためには,「何のために」という問い(それが目的意識であり,それなしには問題意識はない)に鍵があり,それが研修全体を通しての宿題でもあることを,冒頭に確認する。
A問題意識を掘り下げるためのスキルとして,キャッチボールの重要性を,ブレインストーミングによるウォームアップを通して体験していただく。これもまた,研修全体を通しての課題となる。
B現状の変化に対する各自の幅広い問題意識を,自分たちなりにまとめあげる。成否を問題にするのではなく,時代の変化をどこまで自覚しているかがそこで分かる。お互いに問題意識を刷り合わせながら,グループとして,現在の環境が,自分たちの組織にもたらしている危機とチャンスを分析し,何をしなければならないかをまとめていく
C固定観念とは,自分の知識と経験そのもののことだ。いままでの経験でものを見るとき,時に,それが新しい事態を見通す妨げになることがある。その点の確認が主体となる。
| 時間 |
内容 |
進め方 |
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11:30
16:30 |
自分のポジショニングと役割行動のチェック
役割意識のないところ問題意識はない。自らのなすべき課題は,組織での自分の位置に求められている目的を果たすために何をすべきかというチェックなくしてはありえない。
・組織の目的・ビジョン
↓それを達成するために
・本年度の目標
↓それを達成するために
・自分の役割は何か |
◇ここでは,問題意識とは何か,それを掘り下げるとはどういうことかを,与えられた情報の断片からどれだけの幅と奥行きを読み取ろうとするかということを通して実習して戴く。
具体的には,@与えられた新聞記事から,どれだけ判断と事実(データ)を区分し,そこから読めるのは何かを抽出する,Aそこに隠された「問題」を洗い出すために,どういう情報が必要なのかを多角的に検討し,どういう問いの立て方(設問の仕方)をするのか,を実習を通して体得して戴く。
《使用するツール・スキル》
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ワークシート
・
ブレインストーミング
・ チェックリスト |
【プロセスの狙い】
課題はあるものではなく,課題にするものだ。こちら側がどれだけ問いを幅広く,奥行き深く立てられるかにかかっているか,その結果どれだけ具体的な分析に差が出てくるかを確認するのが狙い。
@ベイトソンの問いのように,こちら側が,どれだけ問題意識を持っているかが出発点である。
A情報収集のスキルとして,第1に「何をしたいのか」「何をはっきりさせたいのか」「何を解決したいのか」がはっきりしなくては,海岸の砂から一粒の砂金を探すようなものである。
B第2は,「どこが問題になるか」「どこがつぼになりそうか」「ここがあやしい」といった仮説が必要となる。自分なりに“当たり”をつけなくては情報の当たりもつかない。
【第2日】
情報分析と読解のスキル
| 時間 |
内容 |
進め方 |
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9:00
15:00 |
《講義》 「情報分析のスキル」 《実習》
「情報の探索と読解−必要情報の探索・分析によって何をすべきかを読み解く」
個人研究
↓
グループ研究
↓
発表
↓
講評/コメント
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課題探求のためには,仮説を立てながら,情報の薄皮を1枚1枚剥いで核心に迫っていく作業が必要ですが,そのためには,集めた情報から何を選択し,何を捨てるかという読解力が不可欠です。そこでは,目的と照らしながら,どんな仮説(いってみればストーリー)が立てられるかが鍵となる。その仮説の説得力とは何かを実習を通して体験して戴く。
《使用するツール・スキル》
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ブレインストーミング
・
チェックリスト
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【プロセスの狙い】
課題設定力では,最後には集めた情報から「何を読むか」「どれを選択してどれを捨てるか」「そこで何を優先させていくか」という情報の読解を通して,「何をすべきなのか」の行動への決断が問われる。いかに正確に情報を集めて分析しても,その優先度や決定が間違っていれば,何にもならない。まして読解しても何もしないのでは,「課題」探求力は無用の長物です。
ここでは,複数与えられた情報から,何かを読み取り,それを仮説として,その結果何ができるか(何ができないか),何をすべきか(何をすべきでないか)をまとめ,それを具体的な例証で補完していく。必要なら,許容時間内で,情報収集,確認に街へでかけることもOK。その説得力の根拠は,何かを実習する。
(注)情報の分析・読解の基本スキルには,「分ける」「グルーピング」「組み合わせ」「類比(推)」がある。
●「分ける」は,分解してみる,細分化してみる,新たに分けてみる,分け方を変えてみる等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける
●「グルーピングする」は,くくり直す,束ね方を変える,一緒にしていたものを除く,区分の基準を変える,一緒でないものを一緒にする等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける
●「組み合わせる」は,異質の分野のもの,異なるレベルのもの組み合わせる等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける
●「アナロジー(類比/類推する)」は,似たもの,異分野の例になぞらえる,参照にする等々で,新しいカタチ(つながり)を見つける
| 時間 |
内容 |
進め方 |
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15:30
17:00 |
グループとしての共通課題を設定する
個人の問題を,グループの課題としてまとめていく。個々の課題は,目的がある。共通の目的達成のための手段である。その観点から,共通目的達成のために何をすべきかという,課題を見つけ出し,その原因を洗い出し,解決策を案出することを通して,課題解決プロセスを共有化する。

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◇問題は,組織の問題である以上,個人の問題意識から出発していようとも,全体の問題として,解決しなくてはならない。そのためには,個人の問題から,どう全体の課題へとまとめていくかが常に求められる。
《使用するもの》
・ワークシート
気になるシート
課題設定シート
・ツール
ブレインストーミング
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【プロセスの狙い】
各人の「気になるシート」の中から,グループとしての課題を一つ選び出し,グループとしてそれを解決していくための“解決プランニング”を立てていく。
@各人の課題の刷り合わせには,個別職務,業務のタイトルや名称にとらわれず,その具体的な事案,対象を通して,組織としてのポジション(意味と構造)を確認する。
A各人の課題の中から,グループとしての課題を,単に足して二で割るのではなく,
全体の仕事の構造を代表するケース,共有化される問題構造をもっているケース
等々から,主体的な課題としてひとつ立てる。この刷りあわせプロセスが,メンバーとの共通する土俵の確認につながるはずである。「そういう問題があるのか」「それは自分が経験したことと共通する」「そこは同じ行政課題につながる」等々。それを通じて,共有化できる課題を絞り込む。採択事例の提供者が,情報提供者となり,問題解決に必要な情報を提供しなくてはならない。
【第3日】
問題発見のフィールドワーク
| 時間 |
内容 |
進め方 |
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9:00
15:30 |
現地調査
対象は基本的にふたつ,
@ひとつはサービス窓口を外から見ること,
Aサービスの対象となる分野から見る
自分たちの関心に合わせて絞る。対象を全体で一つにする必要はない。 |
◇問題はあるのではない。問題にするから問題になる。それは,問題にする側に,期待値(こうあるべきだ,こうしたい,こうなっていなくてはならない等々)があるからこそ,問題が見える。問題発見とは,組織側の目的意識,目標意識があるのかどうかを逆にあぶりだすものになるはずだ。その整理とは,自分たちが何を目指しているのか,その目指しているものの目的は明確なのか,を改めて問いただすものになるはずだ。
《使用するもの》
・ワークシート
フィールドチェックシート
・ツール
ブレインストーミング |
【プロセスの狙い】
問題とは,期待値(目標あるいは求める水準)のギャップである。問題は,@気になること(問題にする)だけでは,明確にならない,Aそれをどう(解決)したいのか(どう言う状況になったらいいのか,どうしたいのか),という期待値ないし目標が明確になることで,それに対比して,Bいまどういう状況になっているかが,具体化し,
初めて,C問題(期待値と現状との距離)が明確になる。期待値が異なれば,同じ現象でも,問題の仕方は変わる。

とすれば,問題はあるものではなく,問題にするものだ。こちら側がどれだけ問いを幅広く,奥行き深く立てられるかにかかっているか。まず,問題の幅を確定するところかにらはじめなくてはならない。何を解決しなくてはならない「問題」と意識するかは,その人が何を問題と思うかで,違ってくる。問題とは,現状と基準とのギャップだから,何に基準を置くかで,
@理想との乖離を問題だと思う(理想との差を問題にする)
A立てた目標や基準の未達や逸脱を問題と思う (目標未達を問題にする)
B不足や不満を問題と思う(欲求や満足の満たされないことを問題にする)
C価値や判断の基準からの逸脱を問題だと思う(価値や意味との距離を問題にする)
等々に分かれる。

このギャップが問題だから,
@こちら側が,どれだけ問題意識を持っているか
Aそのために,第1に「何をしたいのか」「何をはっきりさせたいのか」「何を解決したいのか」がはっきりしなくてはならない。
その結果,当初の「問題」とは異なる大きなギャップが問題として浮かび上がることもある。
| 時間 |
内容
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進め方 |
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15:30
17:00 |
《実習》「問題分析のスキル〜問題のとらえ方」
問題分析の鍵は,期待値の明確化と現状の正確な把握である。こうなっていなくてはいけないのに,こうなってほしいのに(期待値),そうなっていない(現状)。問題があるから対処するのではない。それなら,単に問題処理をしているだけだ。
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◇問題分析のスキルには,
@原因分析
A目的・手段分析
の2つのアプローチがあること,しかし@は,トラプルやクレームなど,「できて当たり前」のことができていないためであり,それよりは,より高い目標とのギャップをどうクリアしていくか,というAのアプローチの方が,創造的問題解決にふさわしい。
《使用するもの》
・ ワークシート
課題分析シート
・ ツール
ブレインストーミング |
【プロセスの狙い】
問題があるから問題にするのなら,なすべきことをしていないだけだ。それは,考える前に,なすべきことをしなくてはならない。それができていないのだとすると,問題の側に問題があるのではなく,なすべきことを見落とし,放置している行政の組織と仕事の仕方に問題があることになる。そういう問題の発見も当然ありうる。
いまひとつは,組織してなすべき目標や方向性から考えて,
対応がとれていないこと,遅れていること,あるいは変化についていけていないこと,打った手が現状から外れていたこと等々が,問題として明確化されることもある。その場合,何をしようとしているかがまず明確にされなくてはならない。
問題は分析することが目的ではない。数値を羅列し,整理することも目的ではない。その問題をどう解決するかが目的でなくてはならない。とすれば,問題の分析は,その距離(期待値と現状の)を埋めるための物でなくてはならない。
【第4日】
発見した問題の分析
| 時間 |
内容 |
進め方 |
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9:00
17:00 |
《実習》「問題分析のスキル〜問題のとらえ方」(つづき)
《実習》
「分析結果の発表」
《まとめ》
解決策立案のポイント |
◇問題の構造化とは,問題=期待値と現状の距離を,以下にスモールステップにブレークダウンしていくかである。その組み合わせが解決策になる。
《使用するもの》
・ワークシート
問題分析シート
・ツール
ブレインストーミング
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【プロセスの狙い】
問題の分析とは,問題(期待値と現状との距離)を何で埋められるかを検証することである。
たとえば,以下では,問題=ギャップをクリアすべき課題@ABのうち,課題@をクリアすべき要因(手段1と呼んでもいい)abc,要因aをクリアすべき要因(手段2と呼んでもいい)イロハ……と解決手段をブレイクダウンしていくプロセスを例示する。

※要因は,目的手段分析では手段,原因分析では原因と読みかえる。
@ギャップの距離を埋めていく
期待値と現状との距離を解決要因(解決行動)で埋めていくことになる。たとえば,ギャップを埋める大きなも問題を@ABあるとすると,たとえば,問題@の距離をうめるために,同じように解決要因で埋めていくことになる。それを要因abcとすると,たとえば,要因aの距離を埋めるために,同じように解決要因で埋めていくことになる。それを要因イロハとすると,たとえば要因イをの距離を埋めるために,同じように解決要因で埋めていくことになる。同じ作業を繰り返すことで,問題@をスモールステップ化していくことになり,同じように,問題ABも繰り返すことで,ギャップ全体をスモールステップ化していくイメージになる。
Aギャップのツリー構造
それをツリー構造に描きなおせば,下図のようになる。目的・手段分析型では,ギャップを埋める手段を洗い出し,最適解決行動につなげるようにしていく。目標達成のための必要手段を洗い出していくことになる。

目的手段分析は目的のためにどういう手段があればいいのか、その手段のためにどういう手段があればいいのか、その手段のためにどういう手段があればいいのか………、と手段をブレークダウンすることによって、具体化していく。これが、モノ(商品)やコト(システム、制度等)の場合は、機能や働きの目的機能分析になる。
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