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情報力とは【その後】


  • 万博については,こんな評価が出ている。一つは,直前のアンケート。

目前に迫った愛知万博に魅力を感じるか
万博,「意義ある」は4割

 

2005年3月から愛知県で日本国際博覧会(愛知万博 愛・地球博)が開催される。万博といえば,高度成長期の1970年に開かれた大阪万博が,多くの人に強い印象を残しているが,目前に迫った愛知万博について,読者はどのように思っているのだろうか。

まず,万博を開催する意義があるかどうかを聞いた。結果は,「あると思う」と答えた人が41.9%,「あまりないと思う」が半数を超え53.1%となった。全体としては,やや懐疑的な見方が多いようだ。

「ある」とする回答者が挙げた理由として最も多かったのが,「国際交流が活発になるから」(72.1%),次いで「経済効果が見込めるから」(68.1%)となった。自由回答からは,「万国博覧会はものづくり,文明の進化を示す大きなイベントのひとつ。日本をもっと世界にアピールできるよい機会になるだろう」(49歳,男性)など,日本の強さを再認識するきっかけになるという声もあった。

一方,意義が「あまりない」と回答した理由としては,「万博に魅力を感じる時代は終わったから」(87.9%)が最多。「万博は経済が発展途上の国での産業の起爆剤としての意義が大きく,成熟した国で開催する意義が分からない。自由に海外に行けない国民が世界の国々に思いを馳せたり,万博をきっかけに海外から投資を受けたりすることができるが,今の日本にその必要はない」(40歳,男性)という指摘に代表される見方だ。以下,「税金の無駄遣いになるから」(69.0%),「開催により環境に悪影響を与えそうだから」(43.1%)と続いた。

愛知万博に行きたいと思うかどうかを聞いた質問では,「いきたいと思う」とした回答者が,30.4%,「行きたいとは思わない」が49.3%となった。

Q1 日本で万博を開催する異議はあると思いますか?

出典;日経文ビジネス2005年1月10日号「ビジネス世論」より

  • 万博開催6ヵ月後は,こんなアンケート結果になった。

6ヵ月の開催期間を終えた愛知万博
「意義あった」5割超える

 

愛知県で開催されていた愛知万博(愛・地球博)が9月25日に閉幕した。当初は人気薄を懸念する声もあったが,8月18日に目標の入場者数である1500万人を突破。最終的な入場者数は2000万人を超え,1985年に開催されたつくば科学博の記録を抜いた。今回は愛知万博について聞いた。

まず,愛知万博を開催する意義があったかどうかを聞いた。結果は「あったと思う」と答えた人が52.2%,「あまりなかったと思う」は31.4%だった。1月10日号で同様の質問をした時は,「あると思う」が41.9%,「あまりないと思う」53.1%だった。

「あった」理由は,「経済効果が得られたから」(64.9%)が最も多く,次いで「国際交流の発展につながったから」(51.1%)となった。「我が家には小学生低学年の娘がいる。言葉だけで外国を知る年齢の者にとって,よその国を知る機会になったようだ。愛知万博から帰った後,しきりに地球儀を見るようになった。よその国を改めて感じるきっかけになったと思う」(40歳,女性)というように,実際に会場へ足を運んだことで意義を見出した人は少なくないようだ。

一方,意義が「あまりなかった」理由は「税金の無駄遣いになったから」(46.0%)が最も多く,「会場の開発が環境に悪影響を与えたから」(41.6%)などが続いた。自由意見の欄では「環境万博という触れ込みなのに,会場が自動車優先の設計で虚しい感じがした」(48歳,男性),「夜間に電飾をしたり,ちぐはぐなイメージしか残っていない」(34歳)というように,テーマである「環境」がいまひとつアピールできていなかったことを指摘する意見が目立った。

アンケート時点で愛知万博に行ったかを聞いたところ,「行った」が27.9%,「行く予定あり」8.8%,「行く予定はない」が63.2%となった。

Q1 今回の万博を開催した意義はあったと思いますか

出典;日経文ビジネス2005年10月3日号「ビジネス世論」より


  • コンセプトそのものを崩しても,やることありきで強行したものに,理念が見えるはずはない。行けば行っただけの面白さがあるのが当たり前。しかし何のために開催したのか,が開催 された展示の中に,施設の中に,明確に表現できていなければ,それは開催することを目的にしたという以外の何者でもない。経済効果が開催の意義の最大なのは正直な答えだ。つまり,そのために理屈をつけて開催しただけだ。 何が何で゛も新幹線を全国に通そうとするのと同じだ。それによって瞬間的に仕事にありつき,経済的に実入りがある。しかし,そのつけは未来に必ず来る。企業は世界に通用しないし,国は,弱体化していく。目先の利益ではないもののために動くもののいない国も企業も人も,滅びる。

  • 結局,何事も,強行してしまえば,それなりの結果は出る。しかし,大阪万博と比べるのもなんだが,いま成熟した日本で,これだけの投資とエネルギーを注いだ価値があったのかどうか。いつも,目に見えるハードにしか投資できない日本は,そのつけを必ず,蒙る気がしてならない。この投資金額を,研究開発の施設か,そのファンドにまわすリーダーは,結局出なかった。「米百俵」の逸話を政治的に利用する政治家はいても,その本来の趣旨と精神を,現実に生かす力を持つリーダーはいなかったということだ。

  • この結果から,全体を語ることはできないが,結局大阪万博でも,「千里より天理」をスローガンに,万博に出展しなかったシャープは,その資金を液晶開発に投資した。その結果が,いまのシャープに見ることができる。今回の万博に,何が残ったかより,この万博に関心を示さなかった企業が,どんなことをそのときしていたかの方が大事なのだと思う。


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